レーザー星人です。~「行 灯」について、後半編です。
前回は、物が完成するまでに陥りやすい失敗や、事前に考えておくべきこと
なんかやらかしたときにどう対処すべきか等、お話しました。
この行灯につきましても、当然なんだかんだはあったわけですが、無事完成しそっからどうなったのと言うことを引き続きお話ししようかなと思うんですがその前に「なんで、これ作ったの?」という話が抜けていることに遅ればせながら気が付きましたので、ここで、ちょっと一節。
当時は、コロナなんぞという厄介なものが、顔をのぞかせ初めたぐらいで
世界を一変させるとんでもないものと言う認識などまだなく、昨日と同じ日常が普通に続いていくと思っていた頃でした。
だもんで、当時もいろいろと新しいことに取り組んでいく体制でした。
その中で、地球の、しかも日本に来た外星人(外国人と同じ使い方。
シン・ウルトラマンをご覧になった方にはストンと収まる表現かと)としまして作品に日本の伝統文化を取り入れたいと言う思いが強く、その一環として江戸組子の勉強をしておりました。
現代においても非常に人気があり珍重される伝統工芸で、組子職人というだけでなんかカッコいい!って、憧れる存在でした。
こう見えてもレ-ザ-星人、結構年喰ってて、今更職人修行もないもんで得意のレーザ-でそれに近いものを手っ取り早く、物にしてやろうと思いそれからそれなりの努力を経て、伝統組子より繊細でしかも安く早いというレ-ザ-組子(組子もどき)というジャンルを習得いたしました。
ここで、元々の組子という技術ですが、読んで字のごとく子部品を組んで作るというもので、精度よく削られた大量の部品を、総体のバランスを見ながら精度よく組み上げていくという、細かな細かな大変なものです。また伝統的なパタ-ンは定まっているのですが、そのパタ-ンをどう展開させるかについては制限がなく、伝統的技法でありながら新しいものが次々と生み出せるジャンルの芸術です。
レーザ-組子が、伝統組子に対して、どのようなアドバンスを持っているかちょっとご紹介しておきます。
・組子パタ-ンを素材から切り抜きで作成するため組む工程がない。
・子部品の製作工程がない。
・パタ-ン自体が小さくできる。
・外観とサイズが同じ場合製作時間が短い。
・子部品の管理が不要。
・接着しないため、断面積の少ない、かなり薄い素材まで加工できる。
と、結構いいことずくめなんですが、これ逆説的に言うと、伝統組子は
ほんと、とんでもない技術の塊なんだなと、再三、憧れちゃいます。
後、ついでにレーザ-組子のデメリットも少々・・・。
・カットした断面は焦げる。
(但し、これ、見方を変えると、シャドウ効果の一種とも取れ少し斜めから見たときの立体感や、縁取的な感じが、意外と好評だったりします。)
・焦げた匂いが残る。
(但し、木質材の場合。これがかなりの確率で、香ばしいとかコ-ヒ-を挽いてる感じとか、封を開けたときに、
フッといい香りが!などと結構ポジティブなご意見が。)
まあ、焦げに付いては、気の小さい、クレ-ムに弱いレーザ-星人の
ことですから、ふき取れるところはふき取って「衣類に焦げが付いた」
などというお叱りを受けないように努力しているからですけどね。
それから匂いの話ですが、これ書いてる通り木質材の場合でして
大きい声では言えないんですが、牛革等、動物系の材質(鼈甲とか
水牛の角とかもやってます。)になりますと、これはもう、お勧め
できない匂いが・・・。
以上、伝統組子とレーザ-組子のメリット、デメリットをご紹介しました。
(レーザ-組子って、組んでないじゃん、と言うご指摘もありますが
ここは比較対象として、あえての表現ということでご勘弁を。)
あっ、毎度の脱線癖ですが、この時点で「なんで、これ作ったの?」という
本題からの逸脱が激しいので、上記の組子の話を一応踏まえた上で「なんで・・」と言う本線へ復帰します。
で、「なんで・・・」と言う話ですが、これは伝統組子を見れば見るほど、その精緻さと、個々の職人さんのセンス、アイデアに感動したからであり、遠くに見ている世界から、触れることのできる現実世界へという欲求、欲望が芽生えたと言うのが最も核心に近い心理です。
また、伝統技術ではありませんが、レーザ-加工という技術を用いれば「遠くの世界にワープできる」という挑戦の土壌がありました。
そこで、伝統組子の伝統的パタ-ンを踏襲していくことから始め、新しいパタ-ンの創造、そして、そのパタ-ンの具象化(パタ-ンどまりではコースタ-程度で終わる)に進み、アート的な立体造形物でありながら、ある程度実用性も兼ねちょっとした時に「あってよかった!」的に役に立つ物という感じで思考を進めた結果の一つとして「コンセント不要で伝統美を備えたお気軽照明」として、「行灯」がいいんじゃないか?「うん作りたいな」という心境に至ったわけです。
デザインに付いては、移動用に持ち手のついた箱型とし、各4面に立て格子
と創作組子の矢車くずし、乱れ菱、また、扇、鳥居、きつね、瓢箪の和風柄も。後、脚部は、照明の入る火屋(ほや)とは独立させた4本脚とし、上下方向に変化を付けました。
そして、活用できるチャンスがあるかどうか?確率は低いと思うのですが
火屋には、ちょっとしたギミックが・・・。
これ、後で出てくるキット販売にも関連してきますが、製作時、要所要所を
接着やくぎ打ちなどで固定して作る構造ではなく、基本、差し込みとその
抜け止めで造形化してゆく作りになっており、火屋はユニット的な部品に
なります。
火屋の各面は、可動可能な関節を有しており、ちょうど3曲4面の屏風に近い
構造なんです。で、どゆとき使うのって話なんですが、床の間に一輪差しの花器を置いたりする時に、そのバックにさりげなく置くと、何となくいいと思いません?てな風に、主題をさりげなく演出する小道具的なアイデアでどうでしょう?
(最後は、説明なのか?提案なのか?懇願なのか?何、言ってんのか
わかんない感じですが・・・。)
で、次は軽く材料の話。
分かってますって、もうお腹いっぱいなんでしょう!軽くです、軽く!
相変わらず、天然木は人気ですが、SDGsが声高に叫ばれ、それに加え
ウッドショックも発生している昨今、天然木や輸入材の採用は避けたい
という思いが強く、以前から提携しております、国産間伐材を活用した
エコ素材の製造企業さんとの関係をさらに強化して、時代性と供給性に
優れた国産MDF材を選定しております。(木目はありません。)
まだ先の話ですが、この国産MDFと「大泉と成田がボケまくる」テレビ
コマ-シャルでおなじみのTOPPAN社製エコシ-トを組み合わせた
木目付きMDFの開発もほぼ終了してますので、木目好きの方にも訴求
できる商品展開も考慮中です。
すいません、後編のつもりが中編に、次回ほんとに後編で締めますので
また、読んでくださいね 心霊スポット行ってから、妙にほがらかになった
レーザ-星人でした。