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アウフヘーベン
先日まで「スチュワーデス物語」というドラマが、関西のみ(MBS系列)で再放送されていました。
平日午前中の放送だったので毎回観ていた訳ではありませんが、癖になる面白さで、終盤は意識的にチェックしていました。
最終回を視聴後、スチュワーデスの歴史について調べまくるほど。
スチュワーデス物語
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女性の花形職業である、今でいうCAさん。私も憧れたことがありました。
英語を駆使して、給仕や物販など高度なサービスを行い、乗客の命を預かり保安業務も担う。多くの仕事をてきぱきこなす姿はかっこよくて尊敬に値します。制服もおしゃれで可愛い。
男女平等の観点で呼び名が「客室乗務員」や「CA」に変わり、徐々に定着していったようです。
昔のドラマは、現代のコンプライアンス的にありえない設定や、ザ・昭和な雰囲気に中毒性があります。
1983〜84年に放送されたということで、約40年前!
当時のオリジナリティを尊重するためそのまま放送します…と注意書きが付く。
「ドジでのろまな亀」という言葉が流行し、社会現象を起こしたんだとか。
私も運動音痴だし、英語や計算も苦手ながら奮闘してきたので、初々しい主人公を若い頃の自分に重ねて、応援したくなる気持ちも。
教官が信子さんに言った「根暗」というワードにもビックリ。
後に褒め言葉が続きますが、実際に言われたら傷ついちゃいそうだな…
どうやら昭和を抜きにしてもぶっ飛んだ設定や演出が多かったようですが、良くも悪くも人同士の絆と繋がりが深く、古き良き時代の友情に心が温まる部分もあり。
素敵だなと思ったのが、同期の機上訓練先(海外)から送られてきた
絵はがきです。
今ではスマホとSNSの発達に伴って手紙を書くことがどんどん減り、切手代も上がってしまいました。
小学生の頃は郵便番号が5桁だったし、20歳前後には遠くに住むネット友達と文通をしたり、ハガキが50円だったのも、90円でエアメールが送れたのも懐かしい話になりそう。
スチュワーデスに限らず、昔はお笑いなどの「養成校」や職業に特化した「訓練校」がたくさんあったと思います。
全てにおいて、同期など”横の繋がり”の尊さを感じた良いドラマでした。
麻倉未稀さんの歌に載せて、教官と478期のスチュワーデス達が颯爽と歩くエンディング映像も好きでした。
洋楽に日本語の歌詞をあてたカバー曲で、古さを感じないテンポに歌唱力が素敵。
一度は海外で暮らしたかった
先日12月19日は、私の人生初の単独海外渡航記念日でした。当時の思い出を振り返ってみます。
数年前に30歳を迎える直前、いわゆるギリホリでワーキングホリデービザを取得し、短期間だけでも海外生活を体験してみたいと思い、ヨーロッパへ飛びました。
※カバー画像は、フィンエアーの飛行機です。ヘルシンキ経由でドイツへ。
私は第二外国語としてスペイン語を履修していたので、本来はスペインに行く予定でした。
「星の旅人たち」の映画を観て、サンティアゴ巡礼に憧れたのがきっかけ。最終的に、スペインには立ち寄ることもできず…(笑)
スペインはワーホリビザ取得時に、申請と受け取りで2回は東京の大使館に足を運ぶ必要があります、盛大なミスをやらかして取得を断念。
そこで私は航空券を払い戻し、思い切って渡航先をドイツへ変更!
大阪のドイツ総領事館で無事、ワーホリビザを入手できたことから、独学でドイツ語を叩き込んで滞在することに。
蓄えが少なく2ヶ月ほどで帰国しましたが、一生ものの思い出です。
日本のありがたみを痛感
実際のドイツ生活はどうだったかというと…
苦難の連続だったけど、とても良い経験ができたと思います。
冬季うつ気味に
ご飯が合わない
公共交通機関が難しい
直前までバイトしていて、渡航日ミスったなぁと後悔したのが、
現地は長いクリスマス休暇の真っ只中で、役所はもちろんお店などもほとんど閉まっていて、やることがありません。
そして、8時過ぎてから日が昇り、16時には日が落ちて暗くなる日照時間の短さ。曇りが多く、雪も降る。
明るいうちに散策していましたが、寒くて外に出るのが億劫な日もありました。日光に当たる機会が極めて少なく、セロトニン不足でうつ状態になりやすいそう。
スペイン語で、メリークリスマスのことを
¡Feliz Navidad! と言いますが、クリスマス期間が終わる1月6日頃まで使える挨拶なのが面白い。
最近SNSでドイツの食事について、下記の記事が話題になっていましたが、日本の温かいご飯のありがたみが身にしみます。
日本のようなコンビニはないけど、KIOSKにはよく行ってスナック菓子やサラミばかり買って食べていたり、
温かいご飯が恋しくなっても日本食レストランは割高なので、ハングルのパックご飯を買ったり、
ジャパレスよりお手頃なマクドに行ってたのが懐かしく思いました。それでも結構痩せました…
そして、電車・トラム・バスが一つの切符で全て乗れて、駅に改札がない。
と仕組みが難解で、いつも正しく買えているのか自信が持てずにいました。
あとは、トイレがない鉄道駅も多く、お手洗いは有料のところを使うことが多かったです。
気候・食事・インフラ・トイレ・お風呂…
私たちは当たり前に享受していますが、本当にありがたいことなんですよね。日本を出て改めて気付きました。
昨今の物価上昇や、時間・体力的にもこれ以降なかなか海外とのご縁がなく、10年パスポートを切らしてしまいましたが、社会復帰してお金を貯めて、いつか必ず。
アウフヘーベン
「アウフヘーベン」という言葉が出て、Mrs. GREEN APPLEを思い浮かべました。
ドイツの哲学者さんが提唱された「弁証法」の中で提唱した概念のことを指すようです。
2019年頃にミセスの「ENSEMBLE」というアルバムにハマっていて、収録曲のひとつが「アウフヘーベン」で、久しぶりに聴いてみました。
キーボードの存在感が溢れる独特な曲調にダークな歌詞が印象的です。
当時は、曲の世界観と「アウフヘーベン」の言葉の定義をWikipediaで調べてもピンときていませんでした。
一言でいえば、2つの対立する物事の間を取る ということ。
「まだ生きたりないな」「もう死にたいな」
「もう嫌だ逃げていたいな」「あそこが羨ましいな」
ならもう 間を取ってみましょうか そうはいかないな
サビ直前の歌詞です。生死には「間を取る」という選択ができないからこそ悩みますよね。
生きることは苦しい時もあるけれど、だからといって死にたい訳ではないという人間らしい葛藤がストレートに表現され、共感できる歌詞です。
大森元貴さんが高校生時代に作った曲なんだって…才能がすごい。
ミセスの曲は、辛い心に寄り添ってくれます。この曲はもちろん「ENSEMBLE」は名曲揃いなので是非!
相手ありきの「アウフヘーベン」だと、意見が対立して擦り合わせる中で喧嘩になったり、どちらかの意見が却下されるなど「弁証法」が有効にならない場面もありますが、
試行錯誤して新しい考えを追及するのは、とても意味があることです。
多様性が叫ばれる世の中で、男女、結婚、子育てなどで分断が起こることが増えて、実際に体感もしてきました。
仕事も家庭も両方大事にできて、あなたも私も尊重したいと多くの人が願える世界であってほしいと願うばかりです。
曲やドラマも、年を重ねて触れてみるとまた違う良さや味わいがあって感慨深いものがあります。
まとまりがなく、長くなってしまいました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。