
【ボーボボ 5メガネ】キバハゲデュエルは遊戯王の真炎の爆発が元ネタだった!?
キバハゲデュエルって何してるの?
「キバハゲデュエル」
ボボボーボ・ボーボボの中でもとりわけ異質なギャグで
本来なんでもツッコミをしてくれるビュティさえも
『全然わかんないわよー!!』
とへっぽこ丸をぶん殴るほど狼狽させました。
その独自すぎる世界観から、長年ファンの間でも考察が難しいとされてきましたが
今回は「キバハゲデュエルの意味」ついて解説していきたいと思います。
キバハゲデュエル とは
まず基本情報をおさらいしましょう。
【基本情報】
登場:6巻 奥義63話 155ページ
描写:ボーボボとキバハゲが特定行動をしながら勝敗を競う
描写の中には
『仕方ない!!ここで雑巾を発動だー!!!!』
『アンチルールによりウーロン茶をかぶるぜ』
と一見して意味の分からない言葉が並ぶため、
『どうせノリと勢いで描いたのでは…?』
と思われがちです。
キバハゲデュエルのセリフ
まず、対戦している二人のセリフを文字におこしてみました。
□ボーボボ
〇キバハゲ
□ 5メガネ!!!!
〇 なんの!!わりばし!!!!
□な…フェイントだと!!?じゃあ この明太子は使えない!!!!
〇 そしてこのウーロン茶でオレの暗黒コンボは完成する
□ しまった暗黒コンボか!!!!
□ 仕方ない!!ここで雑巾を発動だーーーー!!!!
〇 バカな2枚もだと!!?コイツ正気か!!?ちいいっ!!
□ アイルトンセーナー
〇 くっ…オレの5目半負けか…
□ フチなしのメガネだったらオレがヤバかった…
〇 アンチルールによりウーロン茶をかぶるぜ
〇 次はキサマがステージを決める番だ!さっさと領収書を切れ
□ 領収書は切らん 使い方がわからんからな
〇 バカな 自殺行為だぞ!!!!
□ メガネがあればそれでいい
〇 なるほど ヒットポイント回復に当てるというわけか!!
〇 ならばオレはセカンドコートからいくことにするぜ ククク…
□ くっ!!外道が!!
『雑巾を使っていなかったらオレ達も死んでいた…』
このやり取りを見た首領パッチは
『ボーボボが雑巾を使っていなかったらオレ達も死んでいた…』
という言葉を漏らし、その激闘ぶりを伺わせます。
ではどのような戦いが繰り広げられていたのか、紐解いていきましょう。
キバハゲデュエルは決闘者へのメッセージだった
結論としては
「環境デッキだけを使わず、自分なりの考え方で遊戯王を楽しんでほしい」
という熱いメッセージだったのです。
どうして遊戯王なのか
まず、キバハゲデュエル単体で見ても遊戯王との関係は明白です。
最初のセリフ「5メガネ(6巻/156ページ右上)~明太子が使えない」のシーンをもう一度よく見てみましょう。
①全て種類がちがう
②一度に5つ並べている
③明太子に使おうとしていた
つまり、①②の特徴をもつムーブから③につなげようしたのです。
そう…決闘者なら既にお気づきでしょう。
「5メガネ」は真炎の爆発のオマージュ
真炎の爆発です。
墓地の守備力200の炎属性モンスターを可能な限り特殊召喚することができる
それをS素材として活用し戦うカードです。
①②つまりボーボボは「ラヴァル」デッキを使っての高速展開を目指し
③明太子の赤色や細長いフォルムを見れば一目瞭然、ラヴァルバル・ドラグーンを起点にしたワンショットキルで勝負に出た場面だったのです!
さらに複数の要素が遊戯王の描写であることを後押ししているのです。
5年ぶりの戦い
実はこの2人の戦いは5年ぶりなのです。
1つ前の155ページにて
「ボーボボ…キサマに食われて早5年」
「やっとキサマを殺すチャンスが巡ってきたぜ」
とキバハゲが啖呵を切ります。
この5年という年数…何か思い出しませんか?
そう、原作15周年を迎えた遊戯王が劇場版を製作するにあたり
なんと5年ぶりに風間俊介氏に武藤遊戯のCVを依頼したのです!
2016年公開「劇場版 遊☆戯☆王」は素晴らしい作品でした。
そして本作の骨子となる「次元領域デュエル」は「ボーボボワールド」のそれと類似点も多く、キバハゲが遊戯王との接点が多いという強い論拠となっているのです。
ペンギンとドラゴン
これだけではありません。
キバハゲデュエルを収録した奥義63話「こころん」では
2週にかけてドラゴンが登場し、プロ野球球団ペンギンズの代打として登場しています。
ドラゴンは「俺を呼ぶ声がする…」
ペンギンは「ゲームセット!!!!ペンギンズ退場!!!!即刻退場ーー!!!!」
とそれぞれ『ドラゴンを呼ぶ笛』『否定ペンギン』を示唆する役割を与えられており
作者澤井氏がこの回特に遊戯王要素を散りばめていたことがわかります。
キバハゲデュエルをOCGで解説してみた
ここまでで、キバハゲデュエルは遊戯王を下敷きにしていることが分かりました。
では、具体的にどのような攻防を繰り広げられたかを見て行きましょう。
5メガネ!!!!~暗黒コンボ
5メガネ!!!!
明太子、つまりラバァルバルドラグーンへのS召喚を狙っています。
これが通れば、大量展開から「シューティング・クェーサー・ドラゴン」をフィニッシャーとして用意していたのでしょう。
この時点でリスクを負って勝負を決めにいっていることが分かります。
なんの!!わりばし!!!!
ボーボボの直後のセリフは『な…フェイントだと』
ここから妨害札はないとの読みをキバハゲがうまく外して
採用率の低い手札誘発「ドロール&ロックバード」で展開を封じたものと思われます。
そしてこのウーロン茶でオレの暗黒コンボは完成する
そしてウーロン茶、つまり遊戯王で最も有名な暗黒的飲料水「体力増強剤スーパーZ」で
攻撃を受けきり、返しのターンでの反撃を用意したのでしょう。
キバハゲは爆発を使った返しのターン、ラバァルデッキは受けの耐久性が高くないことを見抜いていたのです…!
雑巾2枚発動
仕方ない!!ここで雑巾を発動だーーーー!!!!
しかし、そこは主人公。勝負に出ます。
この後のセリフ「バカな2枚もだと!!?」「アイルトンセーナー」とのセリフから
・同名カードを2枚は発動
・乗り物モンスターで止めを刺した
であることが伺えます。
シンクロデッキで普通はピンざしでピンポイントに効果を発揮するカードといえば
イージーチューニングでしょう。
カードイラストは機械モンスターのオイルが少し垂れているように見え、
これをふきとる、つまり雑巾を使いたくなるのは妥当な発想であります。
雑巾を、しかも同一ターンで2枚発動されるとはキバハゲも驚いたでしょう。
そして、ラバァルデッキのお供といえば「驀進装甲ライノセイバー」
手札を捨てることで攻撃力をアップできるF1並みの瞬間火力を持つフィニッシャー
・雑巾を連想するイージーチューニング
・アイルトンセナを髣髴とさせるS乗り物モンスター
なるほど一撃必殺に偏った尖ったデッキ構築は
「コイツ正気か!!?」
と叫ぶにふさわしい展開でしょう。
5目半負け~フチなしメガネ
くっ…オレの5目半負けか…
これは囲碁の用語「コミ5目半」に由来するものです。
先手が有利なゲームの為、後手はハンデとして5目半分の追加ポイントが与えられます。
先行が有利と言われる遊戯王
ハンデである先手をもらったのにそれを活かせず負けてしまった自分への不甲斐なさを表現した詩的なセリフなのです。
フチなしのメガネだったらオレがヤバかった…
これもおしゃれなセリフです。
メガネの発明は15世紀イタリアに起源がありますが
レンズを保護するためフチのあるメガネが20世紀まで普通でした。
しかし、機能性やファッション性を追求した結果、逆にフチなしのメガネの方が現在の主流となっています。
環境至上主義への警鐘
遊戯王も最新のカードプールはたしかに便利です。
しかし、昔のカードや考え方、構築が現環境に一泡吹かせることは少なくありません。
5メガネを使ったタイミング、つまりキバハゲに妨害されたタイミングで
汎用エクストラや妨害札しか手札になければ暗黒コンボにやられていたのはボーボボだったのでしょう。
自分を信じた、一撃必殺の雑巾(イージーチューニング)を、カードを信じた勝利をフチなしのメガネに例えたのです。
お互いの教養や表現力の高さがうかがえます。
アンチルール~ヒットポイント回復にあてるというわけだな
アンチルールによりウーロン茶をかぶるぜ
ウーロン茶を逆さまにしています。
つまり、3番勝負だから先手後手を逆にするぞと言っているのです。
次はキサマがステージを決める番だ!さっさと領収書を切れ
領収書を使うタイミングを考えてみましょう。
それは高い買い物をする時、つまり高額な汎用カードを購入するときです。
『領収書は切らん 使い方がわからんからな』とは
『安易に高価なカードを揃えるのではなく、自分のカードを信じる』という
主人公力の高いセリフです。
たしかに、人によれば自殺行為です。
ぶっちゃけ真炎デッキよりソウルチャージのような、より汎用性の高いカードの方が良い気もしますが
メガネがあればそれでいい
しびれる一言です。
先刻の戦いは少しのライフポイントが勝敗を分けました。
暗黒コンボ(手札誘発パーミッション×ライフ回復)を
5メガネ(爆発→イージーチューニング×驀進装甲ライノセイバー)が少しのライフ差で倒し切ったところからもキバハゲの『ヒットポイント回復に当てるというわけか!!』に重みをもたせているのです。
セカンドコートからいくことにするぜ
ボーボボはデッキコンセプトを変えない宣言をしました。
どうしても勝利したいキバハゲは相性のよいデッキを用意したのでしょう。
外道が!! と言われようと、コートの名を冠するモンスターをセカンド(2体)用意できる【紋章神コート・オブ・アームズ】を主軸としたデッキで勝ちにいったことを表しています。
まとめ
キバハゲデュエルについて、いかがだったでしょうか。
ボーボボには遊戯王特有の勝利至上主義への警鐘、安易な考えよしとしない若者の模範となるべきであるという素晴らしい要素が詰まっていると言っても過言ではないでしょう。
原作/作者であります澤井先生の健康を勝手ながらお祈りさせていただき、終わりとさせていただきます。
ここまで読んでいただき、誠にありがとうございました。