メリークリスマス!優しくて働きもののサンタクロースのお話。
『サンタが街にやってくる』
クリスマスの前夜、サンタさんは忙しい。良い子の家にソリを停め、煙突に跳び込んで靴下にプレゼントを詰め込む。その後、再び煙突に駆け上がり、ソリに乗り込んで次の家へと移動する。そんな「サンタ活動」の対象となる家庭は世界で約1億1000万世帯。地球の自転とともに移動すれば、24時間「夜勤」となり、1秒間に1200件を宅配することになる。…やれやれ。
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子供の頃。「今夜こそ、サンタさんに会うんだ」と決意も固く、私はベッドに入った。「ひと晩じゅう起きていよう」と、目をしっかり見ひらくものの、ねむ〜い。…と、ふと気がつくと、すでに夜が明け、枕もとにはプレゼントが置かれていた。「あ!サンタさんが来たんだ。でも、見えなかったよ」。…がっかり。
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ある英国人の計算によると、「サンタさんの持ち時間をすべて移動に費やした場合、トナカイは秒速1000キロ以上で走らなければならない」という。これは、音速の約3000倍で、戦闘機の1000倍以上の速度である。「はや〜い。だから、サンタさんが見えなかったのね」。…納得。
2003年12月5日岐阜新聞掲載
『ジングルベル』
4世紀。司教ニコラウスは、貧しい子供たちを訪れるたびに、窓越しに贈り物を与えていた。ある日、身売りされようとしていた娘を助けるために、金貨の入った袋を煙突から投げ入れた。それは暖炉のそばに干してあった靴下の中に見事、命中。サンタクロース伝説の由来である。
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子供の頃、私はある深刻な問題に直面した。我が家には煙突がなかったのだ!「サンタさんが入って来れない」。涙ぐむ私に、母は「サンタさんなら、玄関から来られるよ」と慰めてくれた。なのに、就寝前になると、さっさと窓や玄関にカギをかけてしまう。「どうしよう」と、不安にかられながら、私は靴下を「仏壇」の前に置いて手をあわせた。
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この世界に「愛」や「思いやりの心」がある限り、聖ニコラウスの優しさは永遠に生きつづけ、サンタクロースは確実にやって来る。そして、100年後も1000年後も、サンタクロースは子供たちに「夢」や「ときめき」を運んでくれるだろう。それにしても、あの翌朝、サンタさんの贈り物にデパートの「値札」がついていたのは、なぜ?
2003年12月22日岐阜新聞掲載
最後までお読みいただき、ありがとうございます。岐阜県のピアノ講師高岡紀美子先生のエッセイを紹介しています。クリスマスの今日は、サンタクロースのお話を2本ご紹介しました🎁世界は目まぐるしく変わっていきますが、サンタさんのような思いやりの心を忘れずに、夢をもって生きていきたいものです🤗