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小池光特集(2)の紹介(「短歌研究」2023年9月号)

 またもでました。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CF2TY4N3/klage-22


 公式告知。
https://twitter.com/tankakenkyu/status/1693443029041119408

 今号は、若草色の猫の表紙です。

 第2特集が「続「ここまでやるか。小池光研究」」です。

 以下、記事紹介とつけたし。


四人の選者によるテーマ別「小池光傑作選」


内山晶太/花笠海月/寺井龍哉/山下翔

 10首×2テーマ=20首を選び、選をもとにして文章をつけました。「解説」とありますが、鑑賞文といったところです。今回は「アイロニーのある歌」「文語や修辞の見事な歌」の2テーマを設定しています。この記事はテーマを変えて毎回掲載です。あと1回載ります。10首×2テーマ×4人×3ヶ月ということで240首紹介予定です。

 内山さんは「面妖」「マクロの修辞」といった独自のワードが印象的。内山さんの文章は割とこういう独自ワードが出てきて、それが説明されているかというとそうでもないのですが、こうとしか言えないのだろうなという体重をのせられた感があります。全体的にウェッティな選という印象を受けました。
 寺井さんは砂糖パンの一連から歌を選んでいます。解説とは関係ないのだけど、自転車は小池さんの歌で独自のなにかを持っていて、そんなことを思い出しながら読みました。ベーブマットの甘さについてのところがいい。
 山下さんは最後の一文が長くて、でもそれがリズムがあってかっこいい。
選にかならず(でもないか?)他の人がいれないような駄洒落の歌を入れてくるのも独特だなあと思う。
 『梨の花』の爪の歌はいいよね。


花山多佳子「小池調なるもの」

 花山多佳子さんと小池さんはご縁のある歌人のはずなのに、あまり書いていらっしゃるものを見た記憶がありません。今回を機会に読むことができてうれしいです。
 さすがリアタイ読者という含蓄。そして歌の選も有名歌をおりまぜつつ、独自の選もありつつの5ページです。読み応えあるなーと思って読んでいたらどんどんつづいていって、これもうれしいおどろき。ベーブマットについてはてらいさんの鑑賞とちがっているところがおもしろいです。
 そして「細み」「限定的」と小池さんのうたをつらぬく特徴をいうとき、じつに簡潔に述べる。その気持ちよさ。
 おおむね『草の庭』までをていねいにたどる文章で、つづきが読みたいとなりました。

 梨田さんの会は私は行ってないのだけど、そんなことがあったのかーとすこし笑ってしまいました。

堂園昌彦による歌集解説(2)

 3回連載の2回目です。今回は第4~第7までの紹介。『草の庭』『静物』『滴滴集』『時のめぐりに』です。
 前回、小池さんの文章の紹介もあってよかったと思ったけれど、今回もあります。堂園さんの文章は歌集の紹介をしつつ、小池さんがそのころ何を考えていたのかをつねに探っているような印象。なので、『草の庭』までがメインの多佳子さんの文章のあとに掲載されているのはとてもよくて、なんだかつづきのような気持で読みました。


森岡貞香/武下奈々子/小池光「歌の言葉、ことばの歌」


 推薦して載せていただいた記事です。すでに「短歌人」で読んでいる人はごめんなさいなのですが、すでに四半世紀の年月が経っているので再読の方もあらたな気持で読むことができるのではないかと思います。
 小池さんも武下さんも深く森岡さんを尊敬していて、森岡さんもおふたりを信頼しているというのが伝わってくる鼎談です。

 激押しのあまり、勝手に解説文を書いたので読んでください。

 この鼎談は、短歌人の夏の大会の際に企画されたものです。

 当時、森岡さんは当時八十一歳。小池さんと森岡さんは生年で三十年ちがう。これくらいの年齢差だと、歌人としてはるか前をゆく大先輩だろう。そうはいっても歌人はながく活躍する。なんだかんだで(おたがい歌をつづけていれば)三十年以上つきあうような年齢差でもある。伝説というほどでもなく、おいつけないけれど背中は見えているくらいではないかと思う。
 このときの森岡さんは、七年前に出た『百乳文』が最新歌集で、小池さんと武下さんは三年前に出た『草の庭』『不惑の鴎』が最新。そういう時期の鼎談だった。
 この鼎談の見どころのひとつは、小池さんが『白蛾』について「非常に官能的な感じがしますよね」と切り込んでいくところだろう。森岡さんは「そう、官能的だと思いますでしょ」とサラリと返したあと、当時の御自身を振りかえられる。小池さんは、文庫の『白蛾』の解説を書き、二〇二一年の『森岡貞香全歌集』で全歌集の解題を執筆している。そのときは、このような直截な書き方はしていない。こうしたやりとりは夏の会という場だからこそ、引き出されたものといっていい。
 後半の作品に即してのコメントもおもしろい。「瀬戸際の名人芸」「初句の意表をついた破格な表現」「自在感がたまらない」などなど。短歌のあらっぽい話をするのは楽しい。精緻な読みができるのが前提の間柄であればなおさら通じあって、話が飛んでもうまくころがっていってしまう。こうしたところに、森岡さんと小池さん、武下さんとの信頼関係が感じられる。
 すでに四半世紀前のことで、壇上の様子などはよくおぼえていない。記事を読みかえして違和感のないと思う程度だ。ぼんやりとした記憶で書くと、森岡さんは自作について語ることへのためらいはなく、よどみなく答えておられた。池田裕美子さんが起こすときに要約したからでなく、実際にこのように端的にお答えになっていたように思う。
 例年どおり、講演の後さらに呑む席が設けられた(短歌人では「深夜サロン」と呼ぶ)。深夜サロンに森岡さんがいらしたのかどうかどうしても思い出せない。このとき、森岡さんのエスコートをされた鶴田伊津さんにお尋ねとしたところ、森岡さんは休憩ののち深夜サロンに参加されたという。小池さんと茂吉の話、お好きだという日本酒の話などをされていたそうだ。席がはなれていたので私はそういったことは知らず。今思うとそちらも聞きたかったと思う。夏の会のゲストは一泊ののちお帰りになる(二日目の歌会に参加される方もいらっしゃいます)。森岡さんは、鶴田さんに駅まで送られてお帰りになったと聞いている。

 この年の夏の大会は、1998年8月1日~2日です。鼎談は1日目。
 「短歌人」1998年12月号に書き起こしが「夏の大会公開鼎談「うたの言葉、ことばの歌」」というタイトルで掲載されました。記事には8月2日と書かれていますが、これはたぶん誤植です。すぐ下に掲載されている写真に日付が入っていて(そういうカメラがあった)、こちらは8月1日です。※

※「短歌研究」でも記事を踏襲して8月2日になっています。また、タイトルが変更になっていて「うたの言葉、ことばの歌」が「歌の言葉、ことばの歌」になりました。

 たまたまみつかった案内のハガキを見ると、会場は「越後湯沢温泉・湯沢東映ホテル」とある。そして「送迎バスあり、約2分。徒歩10分」と書かれていた。駅を出て、なだらかにくだる道をてくてくと歩いていった記憶がよみがえる。あの日はよく晴れていたと思う。

1998年の夏季集会の案内ハガキ(部分)。
※ホテルなので気づかい無用かと思いますが、電話が別施設に変わっていたりする可能性を考えて伏せました。



つけたし

 (発売日が安定していない)電子版などもあります。電子はながく売られますから、セール待ちというのもひとつの手です。興味のある方は、ご都合のよい手段でご覧いただければと思います。


20230824の追記

 8/28に電子版発売です。

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CGHBM8V3/klage-22



関連記事まとめ

小池光特集(1)の紹介(「短歌研究」2023年8月号)
https://note.com/klage/n/n1f7f2e0f7d58

小池光特集(2)の紹介(「短歌研究」2023年9月号)
https://note.com/klage/n/nff1c9dc1f8e7

小池光特集(3)の紹介(「短歌研究」2023年10月号)
https://note.com/klage/n/n26f9e0f98758

togetter
「短歌研究」小池光特集まとめ【随時更新】
https://togetter.com/li/2191131















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