レール

「尋ねるプロジェクト」4-2

確かにつけられている値段が予想以上にお手頃なものだ。
中には千円札1枚で購入できるものもある。

「ご自分でも何か描かれるんですか?」

ご主人に急に聞かれ、焦ってしまった僕は、

「昔から絵を見ることは好きですが、自分自身は全く・・・」

「絵はまず自分で購入することから始まります」

ご主人はそう言った。

「うちはほとんどが版画なので値段も手ごろですし・・・」

実のところ、僕はすでに何枚かを手にして買う気になっていた。1枚は油絵、もう1枚は版画なのか手書きなのか素人の僕には判別つかないものだった。ご主人に2枚の絵を手渡すと、薄い紙に挟んでから気泡入り緩衝剤(要はプチプチ)と茶色の模造紙で包み、最後に紙袋の取っ手部分だけのパーツを貼り付けてくれた。この梱包自体が一つの作品のようだった。(購入した作品は「ドリームキラー2」という記事の写真に使っています。)

「この版画は?」

僕は少し気なっていた版画についてご主人に尋ねた。(実はこちらが欲しかったのだが、予算を若干オーバーしていた。)

雨の中を飛ぶ複葉機、トンネルから外に出る廃線のようなレール、etc.

サイズは小さいがモチーフが幻想的であり、一つひとつの物体を表現する細かい線が本当に緻密だった。

「久保崎麦さんという作家の作品です」

すでに購入したものより若干だけ値の張る小さな版画から僕はなかなか目が離せなかった。

「年に数点だけ作られる作家さんです。すごく緻密で素晴らしい作品です」

僕は懐具合と相談して、その中の1枚を選んだ。

複葉機


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