【ブリッジ】ダブラーの二回目のアクションを考える【木村六郎②】
ウネルミナモかっこよすぎ。ウネルミナモのためにパーティ作ってランクマッチに潜ることを真剣に考えているKKTです。
木村六郎杯の2日目は朝から雨でした。滞在期間中の大阪はずっと天気が悪くて若干曇りがちな気持ちでした。でも切り替えてブリッジは前向きに臨みました。早速午前のラウンドを振り返っていきます。
まずは良いディフェンスができたハンドから。

自分はウエストにいて、下のようなビッド経過でサウスの4Sに。
P-(P)-P-(1S);
P-(2S)-P-(4S)///
オープニングリードはCTを選んで、CK勝ち。SA, SK, SQと続いて、HQ-4-9-2。HK-A-T-7となりました。6202とトリックが10個見えるので、EWはダイヤを取るしかない。パートナーにAK無いとダメだけど、サボらずにダイヤ出したら3つ取れました。パートナーのハートのフォローが2→7だったのもダイヤ出しやすかったです。こういうのをちゃんとやるとたまに報われます。
次はパートナーのナイスビッドを紹介します。

自分はウエスト。ビッドはノースから、
(P)-P-(P)-1C;
(1D)-1H-(1S)-3C;
(P)-5C///
パートナーの5Cへのジャンプが良いビッド。こういうので3NT探しに行ったり、4Cでインビテーションしてみたりする選択もありますが、5Cがかなり良さそうです。決め切ってビッドしてくれる方がジャッジの負担も軽減されてブリッジしやすいです。
続いて、
ダブラーの2回目のアクションを考える
あなたはウエスト
#13 both vul 4th
9732
QJ
AKJ8
AKJ
(1H)-P-(P)-X;
(P)-2C-(P)-?
アクションはどうしますか?
テーブルで考えたのは、
・アクションはパス、2H、3Cの三択。
・パートナーの2Cは0-8くらいのレンジ。でも8点でハートストッパーのある手なら1NTをビッドしているかもしれないので、点数が多い時はハートストッパーが無いことが多そう。
・自分の手は19点あるけどあまり良い手ではない。ハートのアナーは役に立たない可能性が高いし、バランスハンドでトリックが多くないから。2Hでゲームフォースするにはパワー不足。
・パスしてしまっても良いかもしれない。あんまりいいゲームがあるように見えないので。
・一方で、パートナーにハートストッパーとクラブ4~5枚の6点くらいがあれば3NTが良いコントラクトかもしれない。そういう手を救うには3Cとレイズしてみるのが良いかも。弱い手なら3Cでストップできるし、良い手なら3NTを狙えるから。
19点で陰湿なパスをするのも気が引けるし、3Cとつけてみることにした。
実際の展開は、

(1H)-P-(P)-X;
(P)-2C-(P)-3C;
(P)-3H-(P)-3NT///
パートナーは3Hでバリューを示して、自分はイーストのハートTxxに期待して3NTをビッド。
SKリードをSAで勝ってトップクラブを引いてみた。サウスは一瞬考えたものの、スモールをフォローしたのでCA, CKとしてみたらCQ落ちてこず。仕方ないのでダイヤ4つ取ってスペードを負けに行くと、ノースはスペードをキャッシュして4巡目のスペードでエグジット。サウスが間違えてスペードの下にクラブを全部捨てたのでCJが勝ってミラクルメイク。
ラウンドが終わった後パートナーに「3Cの中でハイカード多い方だけどそれでも3NTできないし3Cはパスした方が良いんじゃない?」と聞いてみると、「3Cはもっと強い手があると思います。2Cが3点程度の強さだから2Hでキュービッドするのは22点以上になるので、3Cは21点くらいまであります。そしたら3Hでストッパーアスクするのが妥当でしょう。」と言ってました。
自分としては3CはNFだから15-19くらいのレンジで、15点の手は4135とかシェイプ+クラブサポートがあるような感じ、ハイカードで強い時は18-19くらいが上限ではないかと思ってます。例えば20点でクラブ4枚あるような手は少し頑張って2HでFGして良いと考えます。そうやって3Cのレンジを狭くしないと3Cをビッドされたときのアドバンサーが難しいので。
ちなみに他フライトのトラベリングは、


3Cとか4Cが多いので、2Cはパスせずに3Cとかつけた可能性が高そうです。フライトAで3Cをパスしたのは3テーブル、イーストが3Hと続けて4Cになったのが2テーブルと見えます。フライトBの方も似た感じでした。フライトCはノースの2Hとか2Cで終わったテーブルもあるので控えめなアクションが多かったのかもしれないです。
ジャッジを有識者に聞いてみました。
「H止まれば3NTは悪くないから、3NTになってしまうのはそんなもんかなとは思います。2Cに対するWは適切なビッドが見当たらないけど、頑張るなら止まってないけど2NTかなあ。ゲームできるなら3NTしかなさそう。HQJでは駄目だと思うなら、パスでしょう。3枚で3Cは気持ちはわかるけどCのプレイに耐えられないことが多そうなので選びたくないです。Wの3Cに対してEはパスはありえないですね。自分ならWで2Cをパスします。」
「3NTやって落ちていいと思うからEより。ただ、中央値3点はどうかなーという気がする。バランシングポジションのダブルに10点4枚クラブで3cに跳ねるのキツいので2cから入るかも?Wが最初に2NTって18-19バランスって言って3NT落ちるかな、自分2人なら。EのDQがCQになってる手より弱いとか、ハートボロ3は感触悪いとか3cパスする要素はあるからE冴えなかったね、とは思わなくもないけどしゃーない気がする。wはwで、スペード帰ってこなかった上に手のハートがQJダブルトンであることを踏まえると、点数が少し過剰な3NTの時だけできるって考えて2cに2NTってハンドをダウングレードして表現する手もある。5点のメジャーミスフィットのハーフストッパーで3NT行って落ちるのはしゃーない。そこすら回避しようとすると大変。」
「Wのビッドは合理的ではないです。3Hに3NTをビッドするのであれば、最初のアクションはXではなく2NTになるべきです。Eの判断は全体的に正しいです。僕だったらバランシングで2NTをビッドして、3NTになりダウンするか、ダブルから入り3Hには3Sで3NTをビッドするには微妙であると表現し、Eが4Cとビッドして終わることになるでしょう。2HはGFになるからビッドできないです。」
「1H-P-P-XのWはパートナーが2♣言えばスペードは無い10点以下のハンドが分かります。5mは厳しそうなので唯一可能性あるのは3NT。2Cビッドの後2Hとハートストッパーあるかないか聞いてみていいのではないですか?Eは無いから3Cと言いWがパスするのが良いと思います。」
「バランシングだしeastは3Cパスしそうですね。5Cは流石に厳しそうですし、パートナーがハート止まってるのにNTを一回も言わない理由はないと思います。むしろwestが雑に2NTオーバーコールした結果3NTになるかもしれないなと思いました。」
「Eは3Cをパスするべきです。私の理解では3Cは16-19くらいだからゲームは遠いです。20点くらいあれば2Hとか3NTとかビッドしそうです。」
「Wが1819のバラハンなら2NTが言えたかもしれないので、ハートストッパーはあっても薄いはず。ハートシングルトンなら5Cのチャンスがあるかもしれないけど、とても良い内容の9枚フィットを持ったNSが1Hしかビッドしていないのは違和感がある。なので、ハートボロ2枚をもった19点前後の可能性が高そうと考えて3Cをパスする。または、Eは1NTとか3Cにテイクアウト、あるいは最初に3COCを言えたかもしれないけど実際は2Cなので、Wで2Cをパスする。どちらががんばるか決まっていれば解決しそう。ちなみに自分はウエストにいて3Cにレイズした。パートナーは3Cをパスして3Cになった。」
「2クラブは0から9(10)では。3クラブはインビ、16から18くらいでは。要は3クラブパスでいいような。0から9(10)へのインビは、(5)6から9(10)のマックスでのれ、という意味では。」
「まず言いたいのは、両者の言い分はとてもリオープニングダブルを前提としたものには思えない、ということです。一般的にはリオープニングではKing transferの考え方が推奨されています。だとすると、2Cに3Cは明らかにアンダービッドで、eastも3Hをビッドすべきだとは思えません。幸いにも二人の考え方が一致していたので、3Cに対する反応が同調していましたが、それでもEastはパスすべきと思います。3C自体がほとんどHのストッパーを否定しているので、3Hをビッドするには本当にハーフストッパーが必要だと思います。一番手での1Hオープンにはxxxでの3Hは考えません。もっともEastは3Hをストッパーアスキングと考えたのかしれませんが、ストッパーを持っていたのなら3Cではなく2NTをビッド出来たと考えるべきで、5Cを狙えないハンドならパスすべきだと思います。実際EastがH10を持っていたら3NTはメイクします。つまりHCPの問題ではないです。King transferの考え方は、リオープニングする人は2番手でビッドするよりもK1枚分弱くて良く、そのパートナーはK1枚分控えてビッドするという考え方です。ですからリオープニング ダブルは10HCPなくてもありえて、2Cのノンジャンプ レスポンスは11、12HCPくらいまでありえます。ですから2Hキュービッドは単に1RFでゲームへの強いインビテーションでしかありません。3Cもインビテーションで、パートナーが良いハンドならゲームを狙えるというビッドにすべきだと思います。」
「このハンドはHQJダブルトンがネックですね。よくあるパターンではありますがWはXレス2Cに2Hはビッドすべきです。Eはパートナーが2NTビッドしていないので3Hはやり過ぎだと思います。3Cで自重してください。2Hはワンラウンドフォース。イーストは3Cをビッドしてウエストがパスして3Cになります。」
「私はWが2Hをビッドするべきと考えます。別に20点は保証しない1ラウンドフォースです。例えば(1H)-X-(P)-1S;(P)-2Hというビッドは、Axx xx AKxx AQxxのような手のイメージです。こういう手で2Hをビッドできないとダブラーは2回目のアクションで困ります。もちろん強い手も2Hなのですが。」
有識者の意見割れました。2Hがどれくらいの強さを保証しているかによって3Cの強さも変わるのでそれによってジャッジが変わるみたいです。とはいえウエストにハートのストッパーあればバランシングで2NTオーバーコールとか、2Cに対して2NTや3NTをビッドすることが出来たはずです。ハートは止まらなさそうだから3NTは厳しいですし、5Cは遠いから3Cをパスするのが良いと自分は考えてます。
個人的には2HはF1、3Cは16-18程度とするのが良さそうなのかなと思ってます。バランシングダブルに対する2Cのレンジが0-10くらいで広いので、ダブラーの3Cのレンジが広すぎるとレスポンダーがジャッジに困るし、16-18くらいのストッパー無し4243みたいな手を2Hとビッドして3NTを探しに行く仕組みが便利そうなので。ここからスラムトライすることも少ないでしょうし、2HをF1にしてゲームを狙いに行くメリットが大きいです。3C=16-18、2H=F1の取り決めならイーストは3Cを簡単にパスできます。というかダイレクトポジションのダブルでも、ダブラーのキュービッドはF1の取り決めが良さそうです。まずはゲームを探しに行きたいことの方が多いからです。勉強になりました。
次はシステムで得点したハンド

自分はウエスト。ビッドはパートナーの1Dオープンから、
1D-(P)-1H-(P);
2S-(P)-2NT-(P);
3D-(P)-3NT///
で自分の3NTになってクラブリードから4メイク。裏は1Dが流れて1D6メイク。スタンダードの1Dなら4枚保証なのでウエストがレスポンスするかパスするか微妙なところですが、自分たちは1Dがダイヤ5枚+アンバランスハンド(もしくは4441)を保証するから、ウエストは1Hレスポンスがしやすいです。
その後のパートナーの2Sに対しては3Dと返すほうが良かったです。パートナーがシェイプのある手ならダイヤコントラクトの方が良いかもしれないので。3Dビッドして、次は3NTか5Dをビッドするくらいがちょうど良さそうです。
6Dに到達するのは難しそうと思っていましたが、フライトAのトラベリング見たら6D多くてびっくりしました。


フライトAにはフライトBの1Dと同じくらいの数の6Dがいました。フライトAは流石です。フライトCも6Dが3テーブルあって、5Dとか3NTも多いので、フライトBよりもEWのアベレージスコアが大きいです。
次も我々が上手く守ったハンド

自分はウエスト。ビッドはイーストから、
1C-(X)-1H-(2D);
P-(2H)-P-(5D)///
1C=ショートクラブ
1H=スペード4枚以上
でノースの5Dになりました。パートナーはSAをリード。自分がS4をフォローしたのを見てC3にシフトして3ダウン。こういうSPをちゃんと見てくれるので守りやすいです。裏はSAの後にハートシフトしたので1ダウンで5IMP取り。
自分はこの5Dをイーストがダブルして良いと思っていますが、パートナーは5Hに直されたら困るからダブルしないらしいです。でも5Hがメイクするなら相手の5Dビッドが外れているし、明るく5Dをダブルして500取りに行って5Hになってもダブルして良さそうな気がします。
次もシステムで得点したハンド

自分はウエスト。ビッドは下のように展開してパートナーの5Cに。
(P)-1D-(P)-1NT;
(P)-3S-(P)-5C///
1D=D5+, 11-21, アンバランス
1NT=C5+, 6-10
3S=SPL, C4+, FG
1Dに2DとレイズするとD3枚のNFを示すから、1D-1NTのレスポンスは3325からクラブの枚数が増える方向にずれていきます。イーストのC5枚以上と6-10点が分かれば、ウエスト目線は5Cが良いコントラクトに見えます。でもスペードに2ストッパーあるときは3NTが良いので、3SでSPLしてスペードストッパーを確認して5Cに。1Dの保証枚数を増やすとビッドにメリハリがついてジャッジしやすいのが良いです。
次は競り合いのグランドスラムトライについて

自分はウエスト。ビッドは、
(P)-1H-(2S)-3S;
(4S)-5D-(P)-5S;
(P)-6D-(P)-6H///
でウエストの6Hになって、クラブリードからCA、ハートフィネス、SA、ハートという感じでプレーしてジャストメイク。裏は4Hでストップしたので13取りでした。
イーストが5Dに対して、グランドトライの5Sと、サインオフの6Hどちらをビッドするか。イーストの手は3Sでスラムトライした中ではハイカードバリューはミニマムだし、RKCBでのキーカードの確認ができないのが厳しいです。
もしウエストが5Sを見たらSA+CA+余力を期待するはずです。余力にハートアナーを期待されたらキーカード不足が起きるし、余力にトリックを期待されたらトリック不足が起きそうです。どちらも期待に応えてないから、自分がイーストなら7Hのトライは諦めて6Hをビッドします。
ユースの監督も、「競り合いのスラムトライとかで怪しい展開になったらグランドは諦めて6を置き切ってスコアを守った方が良い。裏が4S6メイクで、自分たちが7S1ダウンになったら勿体ないから。」と言っていましたが、自分もこれに賛成です。特にフライトBなら相手が4Mでストップすることも普通にあるのだから、5Sでグランドトライするのはキーカードもバリューも十分な手を選びたいです。Ax Kxx xxxx AKJx とかならバリューもキーカードも期待に応えてるから5S良さそうです。
ちなみに他フライトは、


フライトAのトラベリングは6Hが少なかったです。ノースで2S入らないと意外と4Hで終わるのかもしれません。それでも#14の6Dよりはビッドしやすいような気がしますが。
2日目午前の2ラウンドは24ボードで+90IMPデータムが浮きました。裏ペアも調子が良くて37VP強を取って1位になりました。1日目の1位チームがこのセッションで8VPしか取れなかったのも自分たちにとってラッキーでした。後半へ続く。