【コントラクトブリッジ】フィットを示すか、自分のスーツでプレーするか【春季②】
香港航空券のキャンペーンが気になっているKKTです。
春季リジョナルの予選グループを2位で抜けて準々決勝に進みました。KOは14ボード前後半でボード数が多いので実力差が出やすい形式です。我々の相手はシニア世代の熟練チーム。
vs SKOTTI
前半戦
まずはうまく相手を捕まえたハンドから
自分はウエスト。ビッドは下のように進んで、
(P)-P-(1NT)-X;
(XX)-P-(2C)-X;
(2H)-X///
1NT=14-16
XX=TRF to 2C
2C=アクセプト
2H=ハート1スーターのサインオフ
サウスの2Hダブルになりました。ノースの2Cがアーティフィシャルなので、パートナーのダブルはクラブを示してそうです。2Cへのダブルがクラブを示すとすれば、サウスの2Hをダブルしたらペナルティになります。サウスに2Dをビッドされたらどうしようと思ってたので、2Hをビッドされたのは助かりました。
ディフェンスはSKリードをSAで勝たれて、続くSJをSQで勝って、クラブシフトしてCJの勝ち。CK、CAラフをH6でオーバーラフ。ダイヤシフトしてDQの勝ち。パートナーはクラブバック、ディクレアラーはダイヤ捨て、H7でラフ。ダイヤ出してDAの勝ち。
ここでパートナーはクラブの5巡目を出した。ディクレアラーはラフして自分の出番。HJでラフしてHKを使わせるか、パートナーにHAxを期待してディクレアラーに勝たせるか。
イーストにDAQ, CAKJまで見えて14点。パートナーはHAを持っていないとダブルしないだろうから、パートナーにHAもありそう。HJでラフすると損する可能性が高いのでディクレアラーに勝たせました。いずれハートが2つ取れて4ダウンは1100取り。イースト目線はウエストにマスターを使わせたくないはずなので、クラブの5巡目を出すよりもダイヤの3巡目を出すほうがパートナーが間違えなくて安全そうです。裏はウエストの2Sが4メイクだったので14IMP取りとなりました。
そんなこんなで前半14ボードは表裏調子良くて36-8で28IMPリードして後半14ボードへ。
後半
2mと5mのジャッジ
あなたはウエスト
#19 we vul 2nd
T
K
AKJ876543
53
(1D)-?
1D=D2+,11-15
相手はプレシジョンです。試合前の打ち合わせで2Dはナチュラルオーバーコールと決めています。アクションはどうしますか?
テーブルで考えたのは、
・2Dでオーバーコールして捌くか、5Dにジャンプして皆さんにお任せするかの二択。
・5Dにジャンプすると相手にプレッシャーをかけることが出来るのが良い。後の自分のジャッジが少なくなるのも良い。
・相手に4Mあって、こっちの5Dもメイクみたいなのもあり得るかもしれない。
・一方で、バルが悪いので5Dダブルで500とか取られると寒い。
・2Dから入って、ビッドする機会があれば4Dをビッドする作戦もあり得る。ダイヤで9トリック程度あって4Dまでなら安全そうだし、それを見たイーストが2トリックあれば5Dまでビッドしてくれるかもしれない。
今回のバルにつき安全策を取ることにして2Dから。
実際のハンドは、
(1D)-2D-(2S)-P;
(3S)-4D-(4S)///
ノースの4Sになってジャストメイクされました。初手で5Dビッドしておくとウエストの5Dでスタンドして1ダウンも有り得ました。こういうの2Dと5Dどっちが良いのか難しいところですが、迷ったら5Dを選ぶのが失敗が少なくて良いかもしれないと考えてます。次は5Dビッドします。
ちなみに裏は
1C-(1D)-2S-(P);
3S-(4D)-4S-(P);
P-(5D)-P-(P);
5S-(P)-P-(X)
でノースの5Sダブルになってワンダウン。11IMP取られとなりました。サウスはノースのフィットジャンプを見たら4Sまでビッドして良さそうですが、多分ウイークジャンプと勘違いしたのかなと予想しています。いずれにせよウエストに5DまでビッドされたらNSは厳しいです。
次は我々がゲームルーズしたハンド
自分はウエスト。ビッドは下のように展開してウエストの1S。
(P)-P-(1D)-1S;
(P)-P-(P)
1D=D2+,11-15
イーストはパス、2S、3Sの三択です。どれも有り得そうですが、今回はパスが外れでした。4枚サポート+1Aとはいえ、ラフィングバリューも無いし、ノンバルでゲームメイクの見返りが小さいからパスする選択は有ります。
自分だったら3Sで繋ぐ選択をしそうです。4枚サポートが伝わるのが大きいです。パートナーが4Sにレイズするときはメイク目ありそうですし、3Sで流れるのも悪くないです。ウエストの1Sには55や64などのシェイプのある15-17くらいの強い手が有り得ます。4枚サポートはトランプコントロールを保つのに役立ちますし、1Aは短くても長くても役立ちます。そういう向き合いのときに4Sへ行けるのが大きいと考えてます。
なお裏はイーストの5Sが2ダウンしていたので7IMP取りでした。どんなビッド展開だったのでしょうか。
次は裏の3NTのディフェンスを考えてみます。
あなたはサウス
#23 both vul 1st
J53
J732
J9
QT65
P-(P)-P-(1NT);
P-(2C)-P-(2H);
P-(3NT)///
で右の3NTになりました。オープニングリードはC5を選択。ダミーは「間違えてステイマンしちゃった」とコメントしながら下のハンドを広げました。
876
K4
AK642
942
T1:C5-2-J-A
T2:D8-9-2-T
T3:C7-3-T-4
次に何を出しますか?
実際のハンドは、
サウスはCQを出してクラブ振り込んで、その後ハートとスペードのシュードスクイズにかかってジャストメイクされでした。
サウスはCT勝った後に何を出すか難しいですが、ビッドからイーストのシェイプがスペード3枚以下、ハート4枚が分かります。ディクレアラーにダイヤ3枚持たれてたら落ちなさそうなので、ディクレアラーに3424を想定してスペードを出すのが良いディフェンスでした。スペードはあまり振り込むことも無いですし、ノースのスペードが厚ければスペードシフトのみ落ちるかもしれないです。
ちなみに我々のテーブルでは1NT-3C;3D-3NTでパートナーの3NTになって、T3まで同じ展開。T4でサウスはハートシフトして、H2-4-8-T。パートナーはHK負けに行って、ノースはハートコンティニューしてHQの勝ち。DA, DK取ってハンドからはスペード捨て。SA、SKと取って、4枚目のハートでサウスにスローインしつつダミーのC9を捨ててアンブロック。サウスからクラブを打ち込ませてジャストメイク。パートナーのナイスプレーでプッシュ。
続いて、
切り札の判断
あなたはイースト
#26 both vul 1st
3
AKQJ642
J
K873
1H-(P)-2C-(2D);
?
ビッドの方針はどうしますか?
実際のハンドと展開は、
1H-(P)-2C-(2D);
3S-(P)-3NT-(P);
4C-(P)-4D-(P);
4H-(P)-6C///
4C=RKCB
4D=14
4H=CQ ask
でウエストの6Cになって2ダウンでした。4mRKCBの事故もあったみたいですが5Cも落ちるからセーフです。裏はイーストの4Hオープンがそのままスタンドして5メイクだったので13IMP取られとなりました。
パートナーに終わった後ビッドを聞いてみると、「ウエストにクラブ5枚あるかもしれないし、トリックも多いから3SでクラブにセットしてSPLするのが良いと考えました。だいたい5Cまでは問題ないでしょう。」と言っていました。
自分としては3Sじゃなくて3Hでハートをセットする方が良いと考えてます。クラブは8枚フィットだったときにマスターが発生するかもしれません。特にノースが2Dで入っているときはサウスに長めのクラブがいることも多そうです。一方でソリッドなハートを切り札にすれば対面が短くても問題無いです。トリックが十分あるから7Cできて7Hできないということも無いでしょう。ハートにセットして自分からRKCBすれば5H、6H、7Hのどれが良いか決められるのもシンプルで良いです。
有識者にも聞いてみました。
「イーストは3NTに4Hの方が雰囲気出そう。4Hはパスありだと思う。ウエストはパートナーの短いスーツにKQ、Kは最悪だし、C4枚だから4Hパスで良いと思います。EがC5枚なら4Cだろうし。」
「3ntに4hで良かったのでは。4Cや4Dでないので、やりたいでは。3NTの人には、エースと、エースクイーンの5枚クラブは有り得ないのでは。スペードリードきて大丈夫なスペードかと。3Sで、クラブキングと、ハートAKQって、想定の範囲になるのでは。3Sに3Nは、3Nは悪くないコントラクトだ、5クラブが手堅くはない、という意味では。なので、3Nの時点でスラムは諦める。」
「私は3Sでなくて3Hをビッドします。ハートの内容は切り札にするのに十分でしょう。実際のビッドでウエストの3NTはスペードに2ストッパーある弱い手なので、イーストはスラムトライを継続せずに4Hでサインオフが良さそうです。伝わるかどうかの問題がありますが。」
「私は3Hをビッドします。このシェイプと切り札のクオリティを考えればクラブでやるメリットが無くて、ハートを切り札にすれば良いからです。1624でダイヤを捨てられるとか、ハートの内容が悪いならクラブに向かうのは有りです。ちなみに3S-3NTとなったらイーストは4Hでサインオフ。というか3NTに4Hを言わないなら3Sから入ってはいけない。4Hはキュービッドでなくてプレー。パスされても文句言えないキュービッドはしない主義なので。」
「イーストはどうにかハートをもっと主張すべきです。H7-0でもハートのスラムはクラブより良い可能性がある。3Sだとスペースを使っている割には問題解決しないと思います。クラブの可能性を捨てたくなければ2Hですが、私は3Hにジャンプしてセットします。」
3S派と3H派に分かれました。3Sをビッドした場合にはパートナーの3NTを見てスラムを諦めて4Hという意見が多かったです。3Hにセットした後のビッド展開についてのコメントは無かったですが、3HでセットしてパートナーがキュービッドしたらRKCBしてAの枚数を確認すれば5H~7Hをジャッジできそうです。
最後にちょっと不運だったハンド
自分はウエストで、
(2H)-P-(P)-3D;
(P)-3NT///
でサウスからSQリードで3NT3ダウンしました。裏はノースのパスからのサウスの2Sオープンにウエストが3Dオーバーコールして流れて5メイクで10IMP取られました。こういうのは仕方ないけど悲しいです。
後半戦は20-56で36IMP負けでした。前半の28IMPリードを捲られて逆転負け。こちらのチームのミスも多かったですが、逆転した相手も見事でした。フライトAで勝つのはなかなか難しいと感じた試合になりました。春季はいつも惜しいです。2日目のスイスラウンドへ続く。