【ブリッジ】バルで4枚サポートの弱い手の捌き方【2022後期日本リーグⅠ部前半②】
値上げしてもマック好きなので行きます。KKTです。
日本リーグの前半戦続きから振り返っていきます。R4はお休みして、2日目の朝のR5から。
R5 vs 仙谷さんチーム
相手は普段お世話になっているプロとお客さんのペア。
1Mオーバーコールに対して、バルで4枚サポートの弱い手をどう捌くか
あなたはウエスト
#9 we vul 4th
QJ87
93
T6
J7643
(1H)-1S-(P)-?
アクションの方針はどうしますか?
テーブルで考えたのは、
・こちらだけバルなのでプリエンプトの効果が小さい。
・3Sとジャンプする場合には点数は少ないもののシェイプのある良い手を示しそう。3Hでコンストラクティブレイズができるので4枚サポートの7-9は無いとして、4-6点の良い感じの手を持っていそうな感じ。
・今回の手はダブルトン2つと5枚スーツがあるものの、ルーザーも多い。パートナーが弱めの手の時は3Sが2ダウンとかするかもしれない。悪い時にはダブルがついてもおかしくないし、3Sはリスクがある。
・2Sとパスで比較したら2Sが良さそう。パスしてしまうと適切に競れなかったり4Sをルーズしてしまうリスクがある。9枚フィットしているから、2Sで流れるなら良いコントラクトになりそう。
・バルのフリービッドだから、フリーランの2Sよりは強い手を期待されるだろうけど、もしパートナーに4Sまでジャンプされたとしてもダブルトンとか5枚スーツとか4枚サポートとか、何かしらが活きれば4Sメイクしてもおかしくない。
ということでちょっと頑張り気味に2Sをビッドしてパートナーに任せることにした。初手で頑張ってビッドするのはその後のゲスが少なくなるのも良い。
実際のハンドと展開は、
(1H)-1S-(P)-2S;
(3C)-3D-(3H)-P※;
(P)-X-(P)-3S///
P※=NF(3Sとビッドすると3Sをプレーしたいという意味になるので、P>3Sとはならない)
4Sが良いコントラクトだったがルーズしてしまいました。終わった後にパートナーに聞いてみると「切り札に点数ある4枚サポートは最初に3Sで良いと思います。あと3Hにダブルはミニマムに対してラストトレインしているから、4Sをビッドした方が良いかと。」と言っていました。
自分としては2Sで精いっぱいだったので、その後何が来てもサインオフと考えていました。イーストの手はフリーランの1S-2SでもINVする手だから、バルのフリービッドの2Sには4Sまでビッドしていいと自分は考えています。
難しいので有識者に聞いてみました。
「ウエストが2Sと3Sどっちを選ぶかは好みの問題だと思う。イーストは3Cにダブルする選択もあった。赤いスーツどっちにヘルプが有っても良いし、3D言うより良いのでは。もし流されたらウエストの責任。」
「Wは初手3Sが自然ですし、3HにはPではなく3Sが自然だと思います。Eは3Hにダブルして3Sにはパスになりそうです。」
「私はWのハンドでは3Sを選びます。プリエンプトですから、2ダウンしても驚きませんが、Sの内容が良いのでパートナーがミニマムでも3Sダブルのコントラクトになる可能性はかなり低いと思います。むしろ有り得るのは相手をゲームに押し上げてしまう事ですが、それはプリエンプトの宿命なので…。Eastのハントを持ってパートナーの2Sにどうビッドするかは、はっきり言ってギャンブルでしょう。パートナーがCに点数を持っているとマックスでも出来目の無いハンドが出て来るかもしれませんが、無かったらミニマムでもゲームが出来そうです(SQJ & DK)。どうせギャンブルするなら、バルですからゲームビッドしそうですけど。」
「Eastのハンドは2Sを見てゲームビッドすべきですし、Westも3Hにはパスせず3Sとビッドすべきです。ただ、僕はWestのハンドで最初に3Sとレイズします。」
「Wのファーストアクションは2Sに賛成だ。ハンドはプリエンプトに向いているが、バルと噛み合っていない。
サウスがノコノコ出てきた理由はクラブバリュー以外考えづらい(E, Wともに既知)。ハートがフィットしているとすると、Wは3154みたいなシェイプが本線だが、これで3Sすらやりたくないというのは辻褄が合わない。よってハートはほぼ2枚ある。
ダイヤとスペードに絵札が集中しているなら3Sと競るから、これもなし。
以上から考えられるのは、
①スペード絵札のミニマム
②ダイヤ絵札のミニマム
の2択。
どこかのペアみたいにサポート至上主義でないなら、自発的に2Sとレイズするのは前者が多そう。つまり、3HにパスでWのハンドは伝わっていると考える。
これが分かった上でのEのアクションとして、まずWが32xxではほぼ無理、4234もトランプリードだと足りなそう。できるとしたら4225ぐらいだから、3HにXではなく3Sを選びたい。Wが4225ならルーザーをそこそこカバーしているから、それをレイズする。3Hに対するXがRe-INVかどうかを検討するには、この余白は狭すぎる。」
「1Sオーバーコールに3Sレスは約束ですが、最近は7-9 S4のレイズが
主流でWはvulのpreemptive3Sにも弱く2Sが限度です。EもパートナーがS 4枚なら4S行きたいが3枚だとダメそうです。そもそもCKのリードで4Sはかなり怪しいです。」
「NがHとCにアナー持ってそうだから、Eが1人で4S言えばいいと思います。バルでWが3Sレイズはやりすぎかな。このオークションでは3Hでミクストレイズできるから3Sはシェイプ寄りで、シングルトンがあるか、5枚サポートがあるか、そうでなければミクストレイズにはわずかに弱いくらい。」
「自分としてはWが2Sというのに賛成です。3Sは1ダウン以上する可能性がそこそこありそうなので。EはHの持ち方がよいのと、オポの3Hを見てHが2巡目までラフられなさそうというのもあるのでもう少し頑張っても良さそうです。」
「ウエストは2Sが良いと思います。そして自分がイーストなら4Sビッドします。ウエストは2Sの後、パートナーの3Dに3Sをビッドするべきだと思います。3Hを守る気が無いからです。」
「イーストはシングルレイズと3C聞いたら4S置くのが良いです。ウエストもゲームトライに3S言います。ディフェンスが無いので。パスはディフェンス向きになりますね。」
「ウエスト最初3Sを反対しませんが、2Sで良いと思います。また、イーストは直接4Sで良いですが、3Dも反対しません。ウエストは3Hの後3Sを言って、ハンドの情報を出せば、ビッドの微妙さを解消して4Sに行けたかと思います。」
2Sと3Sで意見割れました。たしかに、スペードアナーを抑えておけば相手にペナルティされる頻度は少なくなるし、バッドブレークでマスター発生しにくくなるから3Sxで捕まるリスクは小さくなりそうです。2S選んだとして、3Hにはすぐ3Sビッドすれば良かったです。3Hを守れない=オフェンシブなミニマムと伝わるので、イーストは4Sをビッドできそうです。勉強になりました。
続いて、
タータン2の使いどころを考える
あなたはウエスト
#10 both vul 3rd
QT863
J3
AJ542
6
P-(P)-?
アクションの方針はどうしますか?
テーブルで考えたのは、
・通常なら1Sとパスの選択だが、我々は2SオープンにS+mのウイークを採用しているから1Sと2Sとパスの選択。
・2Sオープンするにはバルとスペードの内容があまり良くないのが気になる。P-(P)-2S-(P);P-(X)///とかなれば500くらい取られてもおかしくない。
・でもパスは控えめすぎる。パートナーにサポートがあれば2Sとか2Dとかメイクできるかもしれないし、2Hが良いコントラクトの時もあり得る。
・1Sから入れば2D, 2H, 2Sどれも狙えるので1Sが良さそう。
ということで1Sから入ってみた。
実際の展開は、
P-(P)-1S-(P);
2C-(P)-2S-(X);
P-(3C)-P-(P);
X-(P)-
と来て追い込まれました。パートナーのダブルはクラブのアナーをしっかり持ったペナルティか、クラブの枚数+サイドのバリューを持つオプティマルか、どちらか分からないです。一応ビッドをサウスに聞いてみると、スクランブリング2NTを使っているらしいのでクラブは5枚程度持っていることが多そう。でもこちらの3Sはダウンしそうだし、相手の3Cxは落ちるかもしれないので3Cxをパスして守ることにしてみました。
T1:S3-5-A-4
T2:D7-8-A-3
T3:D5-6-C2-T
T4:S7-K-6-J
T5:C5-6-K-4
T6:CJ-9-7-S8
となってT7はダミーからで下の状況。
ディクレアラーは長考してHKをプレー。イーストはHAで上がってCQをプレーしたので、ディクレアラーはCAで勝ってDKをアンブロックしてHQで入ってDQの下にS9を捨ててジャストメイク。HKをダックするとダミーエントリーが切れて3Cxがワンダウンしていたので惜しかったです。
3Cダブルをパスして勝負するか3Sにコンバートするかは難しいですが、そもそもこのゲスになることを避けるようにアクションするべきでした。積極的にタータン2Sで仕掛けてパートナーに任せるのも良いし、パスして控えめに立ち回るのも良いです。
1Sでオープンすると1Sに期待される手より弱い手を持つから、パートナーからオプティマル系のダブルが返ってきたときにアクションが難しくなってしまうのが良くなかったです。
R5はこの2ボードの失点が大きくて19IMP負けで5VP弱でした。お昼を食べて午後のラウンドへ。
R6 vs たかやま
オポーネントはwomenのプロとユースの後輩のペア
まずは我々のスラムトライの失敗から
自分はサウスにいて、二番手で1Dオープン。そこからフリーランで、
1D-2D;3S-4C;4H-4S;4NT-5H;6D///
2D=D4+,FG
3S=SPL
サウス目線はD9枚フィットでスーツ向きのミニマムなので、3SでSPLしてパートナーに任せるのが良いと考えました。ノースはスペードショートを目の前にしたらあまり冴えないので3NTが良さそうです。その3NTに対して自発的に越えてくるくらいのバリューがサウスに無いとスラムは厳しい印象です。たしかに15点と17点で向き合ってお互いに動けずスラムルーズということも有り得ますが。
次は我々が得点したハンドを紹介します。
ビッドはサウスから
1S-(P)-1NT-(P);
2S-(P)-P-(X);
P-(2NT)-X-(P);
P-(3C)-X///
でウエストの3Cxになって3ダウンさせました。2NTに対してダブルすることでPENの準備をして、相手の3Cを捕まえて12IMP取り。#18の失点を見事に1ボードで取り返していました。こうやって自分から動かして稼ぐのもプロの技の一つなのかなと思いました。自分もこういうのを技として取り入れていきたいです。
最後は表裏でグランドをビッドしたボード
どちらもイーストの1Dオープンからフリーランで同じビッド展開で下のようになりました。
1D-1S;3D-4D;4S-4NT;5D-5H;5S-7D///
5D=03
5H=DQ ask
5S=DQのみ
ウエスト目線でイーストのハンドは、
A?
???
AKQxxx(x)
???
という感じです。3161は必ず取れて、スペードの5枚目も切ってエスタブリッシュすれば取れそうだから12個は有りそうです。CK無いことが確定しているとすれば、SJ、HQ、D7枚目、CQJ のどれかがあればS5枚目のトリック込みで13個になります。3Dリビッドを15-17だとして、余力が2~4点あるので何かのチャンスは有りそうです。もし何もなくてもAxのスペードがあれば33につきメイクするサブプランもあるから、7Dは良いコントラクトに見えます。
自分もウエストにいて同じビッド展開なら7Dをビッドしてそうですが、トラベリングは6Dとか6NTが多いみたいでした。サウスが3Cで介入したとかでしょうか。
そんなこんなで大荒れした試合展開になりましたが、こちらの方が手数が多かったので9IMP勝ちで12.55VP取れました。最終ラウンドへ。
R7 vs BUNTA
このラウンドは9番ボードからスタートして序盤中盤良い感じに稼いで、最後の3ボードで大きく取り返されてしまいました。失点したラスト3ボードを振り返ってみます。
#6
まずは全体のハンドから
自分はサウスにいて、ビッドはイーストの1Dオープンから、
(1D)-1S-(X)-2S;
(P)-P-(3S)-P;
(3NT)///
でイーストの3NTになって、SJをリード。
T1:SJ-2-3-5
T2:S4-C5-Q-K
T3:D3-7-A-2
T4:DK-4-6-C8
T5:H2-3-A-4
T6:HJ-Q-K-6
となってジャストメイクされ。ハート当てられてメイクは結構普通かなと思いましたが3NTを作られたのは我々だけ。T4でクラブじゃなくてハートを捨てればハートを逆にフィネスしてくれたかもしれないです。
ちなみに裏のビッドは、
1D-(1S)-X-(2S);
P-(P)-X///
で2Sxになって2ダウンさせでした。ウエストの二回目のダブルはいわゆるオプティマルダブルで、FG程度のバリューを持った他のビッドをしにくい手が本命です。例えば、Qx KQxx AJx Qxxxのようなバランスハンドが多くなりそうです。今回のイーストの手はダイヤサポートを持っていてスペードショートなので3Sをビッドして3NTか5Dを目指すのが良さそうと考えます。もしパートナーから4Dが返ってくれば、5Dはバリュー不足と見て4Dでストップしそうです。
続いて、
競り合いのスラムトライ
あなたはサウス
#7 both vul 1st
AJ865
AJ7
T5
AK4
1S-(3D)-4D-(P);
?
ビッドの方針はどうしますか?
テーブルで考えたのは、
・ダイヤの打ち抜きを確認したい。
・5Dは自分にダイヤのコントロールがあるスラムトライなので、ビッドできない。
・5Sにジャンプするのはダイヤのコントロールがあるなら6Sをビッドしてほしいという意味になる。伝わるなら5Sも良いかもしれない。
・でもスペースがあるから、普通にキュービッドすればダイヤのコントロールは確認できる。
ということで5Cで普通にキュービッドすることにした。
実際の展開は、
1S-(3D)-4D-(P);
5C-(P)-5D-(P);
6S///
5Cでトレー回してから、4Hをビッドできたことに気付きましたが時すでに遅し。7トライすることが出来なくなって7Sをルーズしました。4Hをビッドしていればノースが4NTでRKCB、キーカードを答えてKaskにCKを答えて7Sに到達できていたでしょう。こういう勿体ないミスは減らしていきたいです。
最後のボードは、
(2D)-P-(P)-?
で回ってきて2Sをビッドしたら、それが流れてサウスの2Sに。
T1:DA-2-6-3
T2:C5-2-Q-A
T3:S3-9-8-2
T4:C8-6-9-J
T5:SA-Q-H3-6
T6:S4-C4-D4-T
となって、ここからイーストはスペードを2巡キャッシュ。自分はダイヤが61でブレークしていると考えていて、HAはイーストにマークしていたので、ダミーからダイヤを全捨てしたらダイヤを全部取られて4ダウンしました。ウエストの2Dオープンに上手くやられてしまいました。というかイーストが5413だったらT2でウエストはハートにシフトしそうだからD52を想定するべきでした。
あとはバランシングポジションで2Sでなくてダブルした方が良かったです。パートナーが流すなら2Dxは結構美味しそうですし、パートナーが2Hや3Cをチョイスしてきたとしてもアナー2枚付きの3枚サポートがあるから耐えてそうです。2Sは自分のスペードの内容が悪すぎてパートナーのスペードが2枚とかだとマスターが3つくらいあって厳しいです。たまにパートナーがM44で9枚フィットのスペードを尻目に7枚フィットの2Hをプレーすることになるかもしれないですが、そのリスクを背負っても2Dxや2H,3Cを探しに行く方がバランス良さそうです。
テーブルでは、7番は失敗したけど他は運が悪かったくらいに思っていました。でも改めて見て見ると8番も改善すれば防げた失点でした。結局この3ボードで28IMP失点して22-37で負けて6VP。後半はこういう負けを減らせたらいいな。
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