伊是名夏子氏「北欧の教育最前線」要約
2021年6月5日(土)に開催されたオンラインイベント「北欧教育の今を紐解く」(主催:北欧教育研究会)における、伊是名夏子氏講演「北欧の教育最前線」の要約です。
※講演内で紹介された写真、動画は掲載していません。
■自己紹介
【デンマークでの家族写真】
・職業はコラムニスト
・東京新聞、ハフポストなどに連載中
・障害者の話以外にもパートナーシップや
ジェンダー、自分はフェミニストなので
女性の話など色々な視点からコラムを
書いている。
・家族はパートナーと子供2人の4人家族
・デンマークに住む友人との交換日記を
「でんでんにちにち」と言うタイトルで
noteにアップしている。
■デンマークについて
・2004年に4か月の留学、子供が生まれる前に
パートナーと2人で、最近では2017年に家族
で訪れている。
■電動車椅子(以下車椅子)について
【デンマークで子供が車椅子に乗った写真】
・私は身長が4〜5歳児位しか無いので、
子供に隠れているが3人で乗っている。
・車椅子は私の足であり、子供達を抱っこ
出来ないため、移動手段としても必要。
・子供達も「疲れた車椅子乗せて」と言ってく
る。
・幼稚園の帰りに寝てしまったら、こうやって
移動している。
【片手で女児を抱え車椅子で移動する動画】
・車椅子の横にバックを掛け、携帯など自分
の荷物は片手で出せるようにしている。
・子供が大きくなり3人では座れなくなった
ため、今は後ろに踏み台をつけ立てるよう
改造した。
【子供が車椅子の後ろに立ち移動する動画】
・日本ではあまり見ないが欧米では生活に合わ
せて車椅子を改造する事が浸透している。
■デンマーク留学について
・アメリカ留学中に、超競争社会のアメリカと
は違い、デンマークでは6歳迄読み書きを教
えない、14歳までテストが無いと聞き、帰国
後すぐ留学した。
・留学先は生徒が全部で15人程度の小さな
フォルケホイスコーレ。
・高齢者施設や小学校を見学したり、生徒の
発案で税金の安いドイツにビールを買いに行
くという授業もあり自由な感じだった。
■デンマーク人の印象について
・初対面の相手に自分の得意なこと苦手な事を
明確に伝えてくる。
(掃除は苦手だがゲームは得意等)
・出来ない事を恥ずかしいとか怠けていると
は考えず、健常者でも出来ない事苦手な事は
サポートを受ける。
・デンマーク留学前に校長から「一人で来る
の?」と何度も聞かれた。
・私は骨折しやすい体だか、いろいろ工夫して
アメリカ留学中は1人で生活していたので
質問の意味がわからなった。
・デンマークで生活してみると自分のような
障害者は留学生でもヘルパーを使うのが当た
り前、むしろ同伴しないのはおかしいという
考え方の社会で、校長が何度も確認してきた
意味が分かった。
■デンマークの鉄道について
・長距離列車を車椅子で利用する場合、デンマ
ークでも48時間前までに乗車介助を依頼す
る必要があると聞き驚いた。
・実際には障害者には車が支給され、依頼すれ
ばヘルパーが送迎する代替制度があるので
電車で長距離を移動する障害者は少ない。
あえて長距離列車を利用するなら事前申請が
必要というだけだった。
・一方ローカル線は完全バリアフリーで車椅子
でも一人で乗降が可能。
・ローカル線には通常車両の他にベビーカーや
車椅子、自転車が持ち込める車両、ペット可
や静かにする(携帯・おしゃべり禁止)の車
両も設定されている。
・1つの電車でも様々な選択肢を用意するのが
デンマーク流の合理的配慮。
■デンマークで学んだ事について
・日本の合理的配慮とは障害者が電車に乗れ
ない・お店に入れない・階段を使えないよう
な時、どこまでサポートできるか電車の人お
店の人と障害者が話し合い合意を得る事。
・日本ではペットや自転車と電車に乗りたい言
うことはワガママ、車椅子で電車に乗れない
乗るまでに時間がかかるのは仕方がないとす
る風潮がある。
・電車に乗る事は当然の権利で人権のひとつ。
こんなサポートが欲しい・こう乗りたいと主
張するのはワガママではないとデンマークで
学んだ。
・デンマークから帰国後、出来ない事を時間を
かけて頑張るのは止めヘルパーさんヘルパー
制度を使って行こう。出来ない事は出来ない
と堂々と言って生きて行こう考えるようにな
った。
■心のバリアフリーについて
・障害者の話になると日本では心のバリアフリ
ーという言葉が出てくる。
・心のバリアフリーとは、健常者が頑張る事、
障害者を理解しサポートする心を持つ事。
・考えは悪くないが、障害者が何かサポートを
受けるとき、健常者側の心の持ち方で、サポ
ート内容が左右される可能性がある。だから
私はこの言葉に疑問を持っている。
・心のバリアフリーも大切だが、デンマークの
電車のように、障害者の人権を守るための制
度と選択肢が用意される事が大切。
■最後に
【ゲームで木を投げる伊是名氏の写真】
・学校は自然が豊かな場所にあり、海にいった
り伝統的な木を投げるゲームKubbをしたり
と自然の中で暮らしていた。
・ドイツのベルリンへの修学旅行もあった。
以上
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