2024年の仮想通貨botter Advent Calendarを簡単にまとめてみる(Part1)
hohetoさんが募って早数年目の仮想通貨Advent Calendar。備忘録がてら、2024年のPart1のカレンダーの記事を自分なりに数行ずつでまとめてみました。戦略の参考になる記事や、力が付いたら見直したい記事など、どれも素晴らしい内容でした。
1日:仮想通貨Botterっぽい人をまとめてみる
QASHさんの記事。botterぽい人を200人にわたってまとめておられる。一言でbotterといえども当然アプローチ、戦場など本当に多岐にわたっているので、自分に合うものを探したり新しい方法探しにもよさそう。さすがの調査力なのと、毎度のことながら「XXは全部読みましょう」的なスパルタさがとても好き。
2日:ゆるく始めるアトミックアービトラージ
かんたさんの記事。アトミックアーブの考え方を書いているが、「なぜ難しいか」そして「それを回避できないかを考える」という考え方はなるほどと思った。実際、botでも本来の目的を忘れて無駄なアプローチをとってしまうことがあるのでこの考え方は忘れないようにしたい。
3日:仮想通貨Botterに贈るRustxbot開発あるある21連発
Harui-iさんの記事。Rust開発あるあるを書いておられる。大変恐縮ながら私はRust初心者なので「あー、あるある~」とはなれなかった…この境地に至りたい。
4日:君のETHがッ尽きるまで殴るのを止めないッ!
heppokoyaroさんの記事。自分と同じような鞘取りをしていた相手の綻びを突いたという話。互いに技術力があるとこういう戦いにもなりうるんだなぁという感じだけど、3番4番辺りで書いている気づきなんかは、ああそういうところを見ておられるのだなぁということで、思考プロセスが参考になった。
5日:年末売買が総平均法における損益計算に与える影響を考える
むじネコさんの記事。タイトル通り年末の売買がその年の損益計算ひいては税金にどう影響するかを考えておられる記事。税金を気にするほど益が出ていない自分にはぶっちゃけあんま関係ないけど、数学的に最適化してそれに応じて行動をとるという考え方が非常に面白かった。
6日:続・Solana Botter 昔話
magitoさんの記事。2-4月くらいにmagitoさんのツイートをリアルタイムで拝見していたのでなんだか懐かしかったが、まあーーーすごすぎる。紫藤かもめさんが強botterの研究してみたというタイトルでmagitoさんの行動をまとめておられた記事とあわせ、絶対読んだほうがいい。目標に向かってそれを分解して組み立てていく考え方など本当に勉強になる。ところで個人的な印象だけど、magitoさんは数週間~数か月使ってでも非常に精度の高いbotを作り上げておられるイメージだが、これは人によって向き不向きがありそうに思う(というのも、めちゃくちゃ時間手間かけたのに成果ゼロ、もありうるので)。とりあえず、最近はSUI/MOVEに狙いを定めておられるようなのでそこは避けようと強く心に誓ったのであった。
7日:絶滅危惧種(CEX botter)が生き残るために僕たちは何ができるだろうか
片道切符マンさんの記事。CEXのみで戦うのは特に日本居住だとかなり不利なように思うのでその中でどうやって戦い続けるつもりでおられるのだろうと思い興味深く拝読していたら最後オチで笑ってしまった。
8日:初めて作ったdex botを振り返る
ちゃまさんの記事。ちゃまさんがbotterになって稼いでいかれるのをXで拝見していたような気もするんだけどそこからもう1年半経ってるのかと驚いた。。それはさておき、Aptosで鞘取りをしていた話。鞘というのは常にあるものではないけど、鞘取りを行うときの思考プロセス(ドキュメント読みながら気づきを深めてコード化して挙動を確かめて…)が勉強になった。あとAdvent Calendarじゃないけど少し前に書いておられたBerachainの話も面白かったので併せて読んだほうがいい。
9日:ウォレット1億個つくって億ウォレになろう
Dr.Leuke(ロイケ)さんの記事。大量ウォレット作成って何度か頭をよぎったことはあるけど本当にやるとどうなるのかというのを様々な角度から紹介しておられて面白かった。「プログラミングも少しできるので」という自己紹介になっておられるが、QASHさんのハンター試験合格したりでテクニカルにかなり強い上、各方面への突破力がとても高そうな印象がある。
10日:億ドロ続出のHyperliquidで0コストお削りbotを作成した話
nakkoさんの記事。お削りと言いつつ削らない、むしろ儲かる可能性すらあることをしっかりとデータで分析して示しておられる記事。記事自体はアッサリとしているけど、やるべきことが詰まっていて勉強になった。
11日:CEX間のアービトラージ事例
irukitiさんの記事。2024年に、Binance JapanとCoincheckという誰もが知っている場で、メジャーなコインで、鞘があるかつそれは意外ととられないだろうという考えのもとに動いているという点が良かった。手数料とか、小数点以下X桁とか、こまけぇこたぁいいんだよって思いそうになるところをしっかりと詰めていくことがこの世界では重要だということを再認識。
12日:エアドロタスクの自動化を考える
kaede_cryptoさんの記事。「エアドロを獲得するためにこなす課題(エアドロタスク)の中には、毎日同じことを繰り返すといった類のものがあり、「これって自動化できないかなー」と考える人も多いのかなと思いこの記事を執筆するに至りました。」と書かれているが、いやほんとそれな、と。デイリーログインとか、数時間ごとにしか押せないボタンとかいろいろあって、最初は律義に押し続けるけど途中でやめてしまうことが多いので、まさにそれを自動化・bot化しようというのはいつも思うけど実行したことがないので具体的なやり方、方針まで書いていただいてとても勉強になりました。
13日:専業botterのリアル
hohetoさんの記事。hohetoさんってホント文章や説明が上手いと思うといつも思う。万が一トレードで稼げなかったとしても講師とか作家(?)として普通に食っていけそう。専業botterになる人はさすがに少ないだろうとは思うけど、いろいろと参考になるところはあると思うし、逆に兼業botterだからこそのメリットもあるというか、人によってはそのほうが向いているかもというのを確認できる。
14日:botter のためのテスト入門
まちゅけんさんの記事。テクニカルな記事が多くていつもお世話になっておりますが、こちらは比較的ベーシックな内容かと思う。こういうことしっかりやらなきゃと思いつつ早くbotをリリースしたくてテストはいつもスキップ。最初は調子がいいが、想定と異なったことが起きた時にプログラムが思った通り動かずそこまでの累積益を吐き出す、、、なんてことは、あってはならないけどよくあることだろうと思うのでしっかりとテストを行っていきたい。。。
15日:かつてEthereum Testnetに存在したエッジ
lud-botterさんの記事。出ましたテストネット。「テストネット?そこでテストしたところでメインで動かなきゃ意味がないんだから最初からメインネットでやればいいじゃないか」とか思いがちだけど、テストネットを触っているといろいろ勉強になる上においしいことも起きうる、、、という。新興チェーンもテストネット開放から始まったりするのでそこでの動き方というのは抑えておくと(特に原資が少ないとかの場合)良いのかもしれません。
16日:DeFi便利ツール集(EVM編)
goat_btcさんの記事。よく使うツールやサイト、聞いたことはあるけどいまいちあんまり使いこなせていないツールやサイト、そして初めて聞いたものもあった。DeFi便利ツールという名前ではあるけどDeFiに限らず有益だと思う。「debankで強そうな人をひたすら見てるだけで十分稼げると思う」とあって、それができれば苦(ryではあるけどホントその通りだろうと思うので自分もどうにか強い人のやっていることを理解できるようにやっていこうと思う。
17日:GPTに聞きながら作った超シンプルなBTCbotが意外と稼げた話
Think/Luminさんの記事。データサイエンス系大学院生をされているということで、多分元が強いのはありそうだけど、とりあえず作って1か月回してみたら結構勝てたということはそれはそれでとても重要だと思う。まあbotもメジャーなTokenの価格予想系以外は消費期限があるものだと思うので、ある意味ではいつ始めていつ止めるかという含めて適切に判断できる人が強い人ということになるのかもしれません。止めた後のパフォーマンスもチェックしておられるあたり、流石だなと思いました。
18日:時系列予測にニュース情報を取り込み精度を上げる論文の紹介
ymdさんの記事。タイトルの通りだが、機械学習のトップ会議であるNeurIPS2024に載っていた手法の紹介、ということで大分アカデミックな話。botterのなかでもhohetoさん、morioさん辺りはこっち寄りな風味(少なくとも、全てではなくともML系も武器の一つとして持っていそう)を感じる。
中身については、
ニュースの厳選をうまくやれば、チャート情報をだけを使うよりは、急なイベントに対しての予測力が向上するよ
価格の上下予測を劇的に改善する銀の弾丸ではなく、実運用では予測対象や執行の工夫が引き続き必要だけど、チャートとニュースを自然に統合できるのでML botの戦略の幅が広がるよ
学習にはA100 GPU 1枚、24hくらいの計算リソースと、open ai apiが結構必要なのでお金がかかるよ
と冒頭にまとめを書いてくださっている通りだが、その解説が非常に丁寧にされていて面白かった。そして最後に「一度作っちゃえば、自分が頑張らなくてもLLMが強くなることで自分のbotが勝手に強くなる可能性がある」っていうところがマジで興味深い。やるか?
19日:MLBotを作る際に気を付けるべきこと
あいかわひびきさんの記事。タイトルのまんまだが、MLはあまり初心者にはお勧めできない、その理由や問題点などを書いておられる。逆に言うとこれらをクリアできるのであればMLは行えるということでもあるので、MLやろうかなと思ってこの記事を読んで気を付けながら作ればいいという気もする。
20日:S級CEX ML Botterへの道
UKIさんの記事。これまた物凄いまとまっていてとても分かりやすかった。
曰くML Botは、
・エッジの生存期間が長いという印象があります。ただ、リスクを十分に考慮したモデルを作るまでの道のりを考えるとかける時間に対して割に合わない事の方が多い
・BTCの価格予測タスクにおいて、本質的に関わっている情報というのはBTCの過去の価格データだけはなく、その他の金融商品の価格や世界情勢、SNSなど多種多様であると考えるのが一般的であり、それらのデータを全て取得すること及びそれを解釈可能・学習可能な状態まで処理するのは非常に難しいということが私が主張したい事
だと。
まず前半のほうで特に印象に残った点をいくつか抜粋すると、
・データを沢山集める、影響力が小さい金融資産を選ぶ、予測時間軸を短くする、予測対象を変更する、
・金融市場全体で考えるとアルトコイン-> BTC->国内株->海外株-> FXのように難易度が上がっていくと考えているので、流動性の限界を感じた時に初めて次のステップに移行してみるのが自然なMLBotの開発フローになると思います。そういう意味では初心者や上級者などは関係なくBotはアルトコインから入るべきだと思っています。(どのアルトコインが適切なのかという問題はありますが、、、、)
・こういうのをやると良くわかりますが、性能をだすには予測対象への深い洞察力が求められます。モデルがどれだけ最新のかっこいいものでも結局優れた洞察力の前では無力なのです。
・日本人のKaggle Grandmasterの小野寺さんのインタビュー記事は非常に面白いです。Topプレイヤーほどデータとよく睨み合い泥臭い作業をしている事がよく分かります。そういった意味ではMLBotを作る上で必要な知識は機械学習よりも仮想通貨のドメイン知識を有している方が有利だと私は考えています。
・筆者がBotterとして生き残る術は、予測力を向上するしかないと考え
DEX Botについては最近は数多くの有用な記事が公開されています。興味のある方は、直近3年分の仮想通貨botter Advent Calendarを一通り読むことをお勧めします。
・ML Botterとして大成するには、可処分時間をしっかりと学習・開発に費やした前提で1年半~2年は掛かるものと考えてください。現在はバブルの真っ最中ですので、今すぐこれを目指そうとするのはナンセンスです。今は手持ちの武器を使ってこの波に乗りましょう。バブルでは高尚なBotでなくとも収益を出すことはできます。ML Botに取り掛かり始めるのにちょうどよい時期はバブル崩壊の後です。冬の時代に研鑽を積むことで、閑散期でも徐々にBot収益が右肩上がりになってきます。そしてそこに満を持してバブル前兆が到来した時、収益の桁が変わります。初めて花開くときが来るのです。
非常に幅広い金融商品の中でアセットクラスのひとつとしてBTCやアルトを捉えておられると認識しました。多分突き詰めていくとこういう方針にいかざるを得なくなっていくのだろうけど、A級くらいまでは別の戦い方もあると思う。逆にそういう意味でタイトルも完璧。
で、そのあとは実践編。GoogleColabに始まり、本人が動かしてきて得た知見を紹介してくださっている。実際手を動かして行っていくとこういう壁にぶつかるだろうからその時に再読すると何か得られるのかも。
・問題設定は不確実性の高い上下予測ではなく、ボラティリティの予測などロバストな問題設定にすることもできます。ロバストな問題設定にした場合、しっかりと特徴量やモデルを作り込むことで確実に汎化性能が向上していくため、これはこれで非常にやりがいを感じるタスクとなります。一方そこで得られた結果は、リターンへ変換する過程で必ず精度劣化が発生するため、結局どのような問題設定が最適なのか明言できないのが実情です。とにかく些細なアイディアについても試行錯誤を繰り返しましょう。
21日:Rustを使ったモジュラーなトレードシステムの構築
morleyさんの記事。私のRustの理解度が低いので大変恐縮ながらここでは割愛させて頂きます…いつか理解できるようになりたい。
22日:消えたエッジの話
ちゃんたさんの記事。損益報告グラフをたまに拝見している。こちらもいくつか印象に残ったところを抜粋すると、
・「今まで食べたパンの枚数さながら、試したbacktestの回数などはもはや覚えていません。」上記の文言は痺れましたね。俺もやってやるぞ。と決意した事を覚えているし、今でも忘れずにやっています
・2023年夏頃に当エッジに気付いていましたが、printもfor文も良く分かっていなかった自分に実運用に耐えれるMLを作成する事ができず、2023冬頃やっとまともなMLが作成出来ても、エッジの終焉3月頃になってしまいボコボコにやられました。
・消えたエッジの話、から分かることはある特定の値動きが終わると、また新しい値動きが出てくる可能性があること、終わったエッジというものが本当に終わったのか多角的に検証し続ける事が大事だと学びました。
というあたり。
最後の点とかはホントその通りで、確かhohetoさんのアノマリーも、しばらくたってから試してみてもまだ残っていた、という話があった気がする。
23日:CEX-botのひな型
kamo_negi_tradeさんの記事。具体的なコードを乗せてくれているのでありがたいし、とりあえずなんか始めたいという方の参考になると思う。一物二価はArbの源泉ですね。
24日:ディープラーニングで指値位置を決める
harry_fireさんの記事。「適当指値がささってラッキーvsうわぁぁ後ちょっとでこれささってれば爆益だったのに…」などというドラマ(?)が見られる指値。その指値位置をDLで決めるというお話。なんとなく、バリアオプションのプライシングやヘッジの話(≒コールオプションの組み合わせ)を思い出した。コードが載っているのもありがたい。なんかガチャガチャ動いているのが欲しいという人は指値を狭めて設定すればいいのかな。
25日:みんなもbotterになれる!SatOの遍歴
SATOさんの記事。割と前から活動してるイメージだったのに意外とフォロワー少ないと思ったら凍結されてたんですね。
少し抜粋させていただくと、
・Solidityも覚え、対アトミック用にLPを歪ませないよう、自作コントラクトから、複数LP同時に最適量スワップする、CEXDEXの補助的なbotをつくったのも、成長になりました。このbotは、Discordコマンドでスワップできるようにしたのも、工夫の1つです。
・この頃になると、僕はあらゆるパターンの鞘を、精密に通知するBOTをライブラリ化してて、コードをちょいちょい追加するだけで、割とすぐ通知botを稼働できたんですよね。
などを見るに、以前の経験を生かして素早くDeployされているのだなというのがわかるし、自分もそういう感じで積み上げていければと思う。