ヴェノム レット ゼア ビー カーネイジ感想
※カーネイジおよびクレタスを推しているからこそ貶す言葉が多々あります。貶し愛は好きじゃないんですが、本当に褒める余地のない男なので許してください。
本当は公開すぐにでも書こうと思ってたんですが、クレタスへの感情が激重くなってしまったので整理に時間がかかりました。
原作のカーネイジもといクレタスを年単位で推していてついに念願の実写映画化して喜ばしい反面、解釈違いがすぎたら一生引きずるな……って不安に苛まれてました。何もかもスパイダーマン3のヴェノムのせいですね。一生恨むぞ
【偏りのある感想】
クレタスくん、原作より相当人間味が強いというか、まだ理解ができる感じがした。とは言っても脱獄後に入った店のスタッフを躊躇いなく蹴り殺したり、目に止まった車を橋からポイーってしたり、とりあえず動くものは殺したくなっちゃう理性のなさは感じたけども。というかあまりにもステゴロが強すぎてびっくりした。原作のクレタスそんな生身が強いイメージなかったので、筋力99ステ振り実写はすごく新鮮でした。
個人的に実写クレタスの好きな部分は、手段の一つにまず暴力があるところでした。グラスで水を飲むとか、布団で寝るみたいな日常生活の一つの中に暴力があるって感じで最高でした。幼少期にクレタスにとって理解者であるフランシスと出会ったせいなのか、マジで暴力が日常生活の手段の一つとして染み込んでるのが良かったです。あまりにも自然に振るわれる暴力!
コミックスのクレタスは、暴力は暴力!ってイメージだったのでそういった面のサイコっぽさは実写の方が強い気がします。
そんなサイコっぽい面を出しつつエディに異様な執着心を見せてくるのでヤベー奴ムーブをしてきてたけど、実際のところクレタスはエディと友達になりたかっただけっていう公式の強火過ぎるヴェノカネにスペースキャットです。大丈夫です。自分でこの気持ちは処理します。上映から5ヶ月経過してなお混乱を誘われてますが善処します。
クレタスのエディへの友情(一方的)を念頭に最初から見ると、
マリガン警部の「(クレタスは)エディに会いたがっている」も、クレタスの「ずっと君のことを考えてた」、「(エディを)気に入っている」の言葉の本気度が伺えてマジで嫌だなこの執着心ってなりました。
しまいには「(インタビューの)見返りは……私の人生」とか抜かすので本当にそれは友情って言葉に収まるんですか?ってエア胸ぐらを掴んでしまう。
エディが「what?」って聞き返さなきゃ、取ってつけたように「……の話」って言わなかったと思う。こいつはそういう男だってコミックスから知ってるんだ。マキシマムカーネイジ(エディを誘拐して嬉々として拷問にかけてた)でよく知ってるんだ。マキシマムカーネイジ、翻訳希望ランキング入りおめでとうございます。
見てて個人的に気になったのはエディやフランシスに対して割と誠実なところでした。自分で書いてて誠実?!ってなりますが、コミックスのドブカス具合を知っているだけにフランシスの一回目の音波攻撃に対して「やめろ、殺す気かー!?」、「熱と音に敏感なんだ……」と静止の訴え・状況説明のみで、フランシスをあまりにも責めないからめちゃくちゃいい男のように見えてしまった。
でも、フランシスの音波攻撃→爆発→着席の下りはピタゴラスイッチ過ぎて笑えてしまう。
全ては、コミックスの「I wear the pants in this family-- and either you live by my rules or you face the consequences—(この家族で一番偉いのは俺だ!俺のルールに従って生きるか、それとも罰を受け入れるか……)」とか抜かしながらフランシスを地面に叩きつけてたカーネイジルールっぷりが良くない。映画のクレタスは絶対フランシスに手を上げないだろうなってだけで好感度がダダ上がる。
その分、カーネイジシンビオートがDV彼氏要素を引き継いでしまってた気がします。
これに関しては、コミックスエディのヒーローになりたい願望・過激な正義感をヴェノムシンビオートが継いでいるのと同じだなと感じました。
人間だったらやべー要素でしかない一面(過激過ぎる正義感・DV彼氏等)を宇宙生命体のシンビオートに継がせてるのは大成功だと思います。本当にこの表現は上手いと思う。結果として、こういうクズいるよな……という嫌なリアル感が増した気はしますが。
話を少し戻して、正義感があるけどちょっとずれてるヴェノムと日常生活を送るエディの両方がしっかり描写されてるのでこれこれ!これが見たかった!って痒いところに手が届いてくれたと個人的に大満足です。
先ほど、こういうクズいるよな……という嫌なリアル感が増したと書きましたが、それを如実に表してるのがエディだと個人的に思ってます。こういうナチュラルクズいるよね……っていうそれ。
特に今回はエディのダメダメっぷりが強かった印象。
初っ端からヴェノムに「俺の話を聞け」と言われ、アレニェにてアンに「あなたは変わらない」と言われ、最後にはクレタスにまで「言ったのに聞いていなかった」と言われることから他者への不誠実さが一貫して浮き彫りになってました。
アレニェのシーンではアンにヴェノムが死んだというエディの嘘を見抜き「あなたは変わらない」と伝えてますが、エディはそれに対し「ダンと結婚するな」とズレたことを言ってます。
アンはエディの嘘をつく不誠実さを責めたのに、エディはダンとの結婚を喜べない気持ちに嘘をついたことだとすれ違うあたり、エディの話を聞かない点がより強調されていたように感じました。人の気持ちに寄り添えないとも言えるかもしれない。
一方で仕事中は明るく気さくで話しやすい兄ちゃんって点も、ああこういう人いるよなあってリアルさがありました。プライベートだと他人への興味が極端に薄くなるタイプ。数年が経過しているのにヴェノムに必要なフェネチルアミンを覚えていないことからも他者への興味がやっぱり薄いのでは……?
加えて言うと、今作のヴェノムの扱いにしろ1作目のアンへの行動にしろ仲良くなるにつれて相手をぞんざいに扱ってくるタイプとも言える気がします。自分も重なる部分があるのでエディのクズっぷりがよく分かってしまって嫌。
さらにフォロワーの発言で、元カノ・元カノの婚約者・宇宙生命体・近所の店のおばさんしか関わりがないあたりエディの交友関係が狭過ぎると言われてて確かに……ってなってまった。エディの性格的に関係が長続きしない・友達が必要じゃない人間なんだろうなってことが事実としてある。
一方でクレタスは、下手したら十数年単位で離れていたフランシスの趣味を覚えていて彼女好みの車を盗む(最悪)・責めない・カーネイジから守ろうとするなど、フランシスを尊重している点が多かった印象でした。
エディに対して気持ちの悪い発言が多々あったけど嘘はついてなかったり、逆にエディに騙されたことに強い怒りを感じていたりとエディより他者としっかり向き合っているようにも感じました。人殺しのカスに尊重もクソもあるかいという気持ちはグッと堪えて書いてます。
願望込みではありますが、クレタスの虐待の話を記事に書く・友情を受け入れるかは別として向き合う等、エディがクレタスに誠実であれば未だ見つからない遺体の場所も話してくれたんじゃないかって気がするんですよね。
まあ、結局のところ殺すことしかしてこなかったクレタスはラストシーンでフランシスを助けられず一人落下し、シンビオートと結合することは叶わず。
エディはヴェノムとしてアンを助け、培ってきた人脈からシンビオートと結合して生き残ると言う結果になったのですが。
殺人癖があるが恋人を何より尊重する男と、正義感はあるが恋人さえ大切にできなかった男。
最後の最後までこの二人は対比になっていたと思います。
一番対比されて辛かったのは、カーネイジシンビオートとクレタスが全く共生できていなかった点ですね。
superior CARNAGE annual #1 (翻訳あります)であんなに相思相愛見せつけられたのにこんなのってないよ……!!拗らせた男VS拗らせた男の対比描写は大好きなんですが、ヴェノムとエディの当て馬になったのはお辛い。
カーネイジは深く共生しているからこそ強いって設定だしスパイダーマンとヴェノムとの共闘理由の一つでもあるので、共生できなかった映画的な理由は分かるんですが仲良しなカーネイジシンビオートとクレタスが見たかった……
結果として共生できなかったが敗北理由なのもとても辛い。でも、仕方ない。わかる。でも悲しい!!
唯一、クレタスの死亡シーンがガッツリ描かれてるのが心の救い。クズがふさわしい死に方をするのが大好きなのでありがとう死亡シーン。ありがとうクレタスを殺してくれて!!って気持ちで悲しみを飲み込みます。
ヴェノムがMCUに加入することになった・シンビオートをスパイダーマンの世界に残してきてしまったあたり、カーネイジはまたどこかで再来してくれるんだって信じたいです。
これも個人的な願望が強いのですが、どこかのアースで今作以上にクズで救いようのないクレタスがいて、ヴェノムに食べられたカーネイジシンビオートとばっちり波長が合ってより強いカーネイジが生まれるんじゃないかと思ってます。
Twitterでも何度も言ってるんですが、今作のクレタスはあまりにも人間味があって理解できる範疇だったので共生しきれなかったんじゃないかと。幼少期にフランシスと出会い、人間性が育める余地があったのかな。
なので、今後はカーネイジシンビオートとよりベストな関係が築けるクレタスが出てきてくれることを願います。
そのときは大暴れした結果、スパイダーマンとヴェノムの両方にバチボコにされて投獄ルート(お約束)のカーネイジが見たいです。
不満な点はありましたがそれ以上に、無駄を極限に省いたテンポの良さ・カーネイジのビジュアルの良さ・アクションシーンの派手さ等、いい点の方が多いです。
年齢制限なしでカーネイジを表現しきるのは本当に難しかったろうなと素人ながら思うのですが、ゴア表現が一切ない点は逆に90年代アメコミっぽさがあってすごく良かったです。脱獄時のカーネイジ謎タイフーンのアホっぽいアクションシーンも90年代っぽくて最高でした。
年齢制限がない分、カーネイジというキャラクターが幅広い年齢の方に見てもらえたんだろうなって思うと1ファンとしてはすごく嬉しいことだなって考えてます。
コミックスのカーネイジ推しとしても最高ですし、見ていて後味もいい映画でした。
次回作も公開決定したことですし、トキシンとパットの関係性が見れるのが楽しみです!パットのPC壊しちゃうトキシンが見れたら百億点あげちゃう。
最後に何冊かアメコミの紹介します。
カーネイジシンビオートとクレタスの公式カップリング話、superior CARNAGE annual #1が載ってる翻訳本はこれ。
シュリーク(フランシス)とクレタスのイチャイチャも、デッドプールにメンタルごとボッコボコにされるカーネイジが見れるので最高な一冊です。
翻訳もあるのでこれを機に是非。
マリガン警部(パット)の最後のシーンは何?!ってなった人はこちらの翻訳本を。
カーネイジが産卵(陣痛あり)する話です。ヴェノムVSカーネイジとありますがどっちかというと二人の共闘話です。クレタスの顔がいい。
スパイダーマンとの関係性からカーネイジ誕生に加えて、ヴェノムが南の島に行く話が入ってるので映画を楽しめた人には是非読んでほしい一冊。
翻訳は出てないけど見るだけでなんとなく内容はわかると思います。
翻訳希望ランキング入りしていたマキシマム・カーネイジはこれ。
kindle unlimitedに加入していると無料で読めます。大暴れするクズなカーネイジをみんなで見よう!シュリーク(フランシス)とクレタスの出会いも載ってます。