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「薬の体内動態」に関する〇×クイズ
こんにちは、こんばんは!薬剤師のからすまです~♪ 本日は、「薬の体内動態」に関する〇×クイズを作りました。薬学の専門的な内容も含みますが、どなたでも理解できるように作成しましたので、是非よろしくお願いします!😊
「薬の体内動態」に関する〇×クイズ
以下の問題に〇(正しい)か×(誤り)で答えてください。
薬物の生体内動態は、「吸収」「分布」「代謝」「排泄」の4つの過程で説明される。
口から投与した医薬品の多くは、胃で吸収される。
水溶性の高い薬物は、体内で吸収されやすい。
薬物代謝は主に腎臓で行われる。
脳には、血液脳関門というバリア機能がある。
薬物の半減期(T1/2)が短いほど、体内に長く留まる。
グレープフルーツジュースと一緒に服用してはいけない薬剤がある。
お茶と一緒に服用してはいけない薬剤がある。
牛乳と一緒に服用してはいけない薬剤がある。
経口投与された薬物は、必ず小腸で吸収される。
💊 薬物動態学〇×クイズの答えと解説 💊
1. 薬物の生体内動態は、「吸収」「分布」「代謝」「排泄」の4つの過程で説明される。
✅ 〇(正しい)
「ADME(吸収 Absorption・分布 Distribution・代謝 Metabolism・排泄 Excretion)」 と呼ばれ、薬の体内動態を表す基本概念です。アドメといいます。
2. 口から投与した医薬品の多くは、胃で吸収される。
❌ ×(誤り)
投与経路によって異なりますが、多くの医薬品は小腸で吸収されます。理由は下記の通りです。
✅ 表面積が広い → 絨毛(じゅうもう)構造により吸収効率が高い
✅ 血流が豊富 → 吸収された薬物が速やかに全身へ運ばれる
✅ pHが適している → 多くの薬物が溶けやすい弱アルカリ性環境(pH 6〜7)
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3. 水溶性の高い薬物は、体内で吸収されやすい。
❌ ×(誤り)
例外はありますが、一般的に脂溶性が高い方が体内で吸収されやすいです。これは、ヒトの細胞膜は脂質二重膜で構成されており、油となじみやすいからです!
4. 薬物代謝は主に腎臓で行われる。
❌ ×(誤り)
薬物の代謝は主に肝臓で行われます。腎臓は代謝された薬物を排泄する役割を担います。
5. 脳には、血液脳関門というバリア機能がある。
✅ 〇(正しい)
人には、血液脳関門(BBB: Blood-Brain Barrier)という「脳の毛細血管に存在する特殊なバリア 」を有しています。有害物質や不要な物質が脳内に侵入するのを防ぐ 役割を持っています。このバリア機能がある為、脳で薬効を発揮して欲しい薬を作る際は、薬剤の構造をうまく設計する必要があります。
6. 薬物の半減期(T1/2)が短いほど、体内に長く留まる。
❌ ×(誤り)
半減期が短い薬物ほど、体内から速く消失 します。逆に、半減期が長い薬物は体内に長く留まりやすいため、投与回数が少なくて済むことがあります。
7.グレープフルーツジュースと一緒に服用してはいけない薬剤がある。
✅ 〇(正しい)
🔹 理由:グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリン類が、肝臓や小腸のCYP3A4(チトクロームP450 3A4)を阻害し、薬物の代謝を低下させるためです。薬物代謝が低下するので、逆に、薬物の血中濃度が上昇し、副作用のリスクが高まります。
★影響を受ける代表的な薬剤★
カルシウム拮抗薬(降圧薬) 例:アムロジピン、ニフェジピン
免疫抑制薬 例:シクロスポリン、タクロリムス
抗不整脈薬 例:アミオダロン
一部のスタチン系(高脂血症治療薬) 例:シンバスタチン、アトルバスタチン
8. お茶と一緒に服用してはいけない薬剤がある。
✅ 〇(正しい)
理由:お茶に含まれる成分が薬物の吸収や作用に影響を与えるため
★影響を受ける代表的な薬剤★
鉄剤(鉄欠乏性貧血の治療薬)
➡ お茶に含まれる「タンニン」が鉄と結合し、吸収を阻害 するため、貧血の改善効果が低下する。
一部の抗生物質(ニューキノロン系・テトラサイクリン系)
➡ お茶に含まれるカテキンが薬の吸収を低下させることがある。
→鉄剤や抗生物質を服用する場合は、お茶ではなく水で飲むのが安全だと思います😊
9.牛乳と一緒に服用してはいけない薬剤がある。
✅ 〇(正しい)
理由:牛乳に含まれるカルシウムが薬物と結合し、吸収を阻害するため
★影響を受ける代表的な薬剤★
テトラサイクリン系抗生物質(ミノサイクリン、ドキシサイクリン など)
➡ 牛乳のカルシウムと結合し、不溶性の化合物を形成することで吸収が低下する。
➡ 服用の1時間前後は牛乳を避けるのが推奨される。
ニューキノロン系抗生物質(シプロフロキサシン、レボフロキサシン など)
➡ カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルと結合し、吸収が阻害される。
一部の骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート系:アレンドロネートなど)
➡ カルシウムと相互作用し、吸収が大幅に低下するため、水で服用する必要がある。
特に抗生物質や骨粗鬆症治療薬を服用する際は、牛乳との併用を避けた方がいいと思います!
10. 経口投与された薬物は、必ず小腸で吸収される。
❌ ×(誤り)
小腸で吸収される薬が多いのは事実ですが、 ただし、胃や口腔など、小腸以外で吸収される薬もあります。
胃で吸収される薬:アスピリン(酸性の薬)
→ 胃の強酸性環境で非解離型となり、吸収されやすい
口腔粘膜で吸収される薬(舌下投与):ニトログリセリン(狭心症治療薬)
→ 舌下投与で粘膜から直接吸収され、即効性を発揮します
💯 クイズの結果はどうでしたか?
ご覧頂きありがとうございました😊 次回もよろしくお願いします!
からすま