巨獣特捜ジャスピオンに会いに行く!
はじめに
東京都江東区にあるショッピングセンター・アリオ北砂。
イトーヨーカドー系列のごく普通のショッピングセンターだが、ここは東映特撮ファンに「あること」で知られている。
その「あること」とは非常に気合いの入った特撮ヒーローの撮影会を開催することである。
通常ヒーローショーや撮影会であれば、現行のヒーロー(今であれば仮面ライダーガッチャード&爆上戦隊ブンブンジャー)、あるいは1〜2代前の先輩戦士を呼ぶのが定石である。
だがここは違う。
過去には
『科学戦隊ダイナマン』のダイナレッド
宇宙刑事シャイダー
仮面ライダーファイズと愛車・オートバジン
等、明らかに「理解っている」人がいるチョイスをするのだ。
1月に開催されたシャイダーの撮影会に参加した時は、令和6年、しかも正月明けにショッピングセンターで「アニーにおまかせ」や「不思議ソング」が流れるという、人によっては物凄くシュールに思える光景が見られたのである。
企画しているイトーヨーカドーの社員さんに、重度の特オタがいるのだろうか。
さて、そんなアリオ北砂が今年のゴールデンウィーク真っ只中に呼んだヒーローは、1985年に放送されたメタルヒーローシリーズ第4作・『巨獣特捜ジャスピオン』の主人公・ジャスピオンである。
かつて超惑星戦闘母艦ダイレオンを操り宇宙を駆け、サタンゴース軍団と戦った銀河のターザン。
昨今では彼のライバルであるマッドギャランが、スーパー戦隊シリーズとのクロスオーバー作品『スペース・スクワッド』で悪役としてリメイクされたことも記憶に新しい。それはそれとして、ファイヤー(『特警ウインスペクター』)が登場予定の続編はいつ発表されるのだろうか。
そんな彼が、令和6年にショッピングセンターで皆に会いに来てくれるのである。
シャイダーの時と同様、この機会を逃したら次にいつ会えるかは分からない。
だからこそ行くしかない。
地下鉄で15分もすれば辿り着ける近場であることを感謝しつつ、私はアリオ北砂へ向かった。
よりみち:撮影の代理人
さて、少し本題から逸れる形とはなるが、ここで現地レポート写真に登場する代理人を紹介したい。
過去の記事をご覧いただいた方にはご存知の通り、私は『アイドルマスター』シリーズのプレイヤー、所謂「プロデューサー」である。
そして私の担当アイドルの1人には特撮ヒーローに憧れ、自分自身もヒーローであろうとする14歳・南条光がいる。
シャイダーの撮影会では彼女のSSR衣装が宇宙刑事シャリバンを彷彿とさせる赤のスーツだったこともあり、大変素晴らしいツーショットを撮影することができた。
という訳で今回も、ジャスピオンの勇姿を撮りつつ、アイドルとのツーショットを撮影してみよう!と思ったのである。
だが、今回ジャスピオンと撮りたかったアイドルは光ではない。
光以上にジャスピオンに会わせたいアイドルがいたのだ。
ある程度東映特撮に詳しい人ならご存知だろうが、『巨獣特捜ジャスピオン』はブラジルで非常に人気を博した作品である。
その人気は、過去にバラエティ番組で「ブラジルで最も著名な日本のヒーローはジャスピオン」(うろ覚え)と紹介される程だ。
そしてアイマスでブラジルと言えば、
ナターリア(シンデレラガールズ)と、
島原エレナ(ミリオンライブ!)と、
先日晴れて876プロ所属が決まったサラ・レトラ・オリヴェイラ・ウタガワ(vα-liv)の3人がいる。
彼女達もきっと、幼少期にジャスピオンに勇気をもらった1人なのかもしれない。厳密にはレトラは親がブラジル人の日本生まれなのだが
このうちナターリアとエレナはゲーム内のAR機能を通して、アイドルを現実世界に呼び出すことができる。
だが、今回はARを使わず、事後合成で対応することとした。
何故なら「撮影は1回につき1枚まで」というレギュレーションが定められているからである。
このレギュレーション下では、ARの位置決め、身長調整などを行う時間を作るのは難しい。
前回光とシャイダーをARで撮影しようとしたが上手くいかなかったことを踏まえての判断なので、その点をフィードバックしたともいえよう。
という訳で、今回はナターリアとエレナが現地参戦した体裁の写真をいくつか交えつつ、現地の熱気を伝えようと思う。
現地、アリオ北砂
撮影会に話を戻そう。
当日、撮影会は11:00/13:00/15:00の3回開催された。
私はそのうち、13:00と15:00の回に参加したので、まとめて紹介したい。
開催前:待機列にて
開催1時間前。
各回の定員は50名のため、早めに並んで待機。
既に並んでいる御方シャイダーの時同様、良い子のみんなを引き連れた親御さんもいる。
TFCCを筆頭とするサブスクリプションの発達により、過去のレジェンドヒーローがより身近な存在になったおかげだろう。
待機列に入る前に、ワクワクなエレナの写真を1枚。
時間と場所に余裕があるので、この段階ではARで撮影を行った。
開催30分前。
ジャスピオンのOPである「おれが正義だ!ジャスピオン」が流れ始める。
シャイダーの時もそうだが、令和6年にこの楽曲や挿入歌が流れるのはなかなか不思議な光景である。
出待ちのワクワク感をイメージしてナターリアの写真を1枚撮影。
開催5分前。
日本語だけでなく、ポルトガル語と思われる諸注意のアナウンスが流れる。
かつてブラジルで感銘を受けたヒーローに会いにきた人がいるということなのだろう。
シャイダーの撮影会の時はこうした他言語でのアナウンスは流れなかったので、如何に現地での人気があったかが分かる。
何よりこのアナウンスは「ジャスピオンがブラジルで高い人気を博している」という知識がないと提案できないことであろう。
そこまで理解って企画したヨーカドーの社員さんに特別ボーナスを支給してほしいものである。
銀河狼(スペースウルフ)、再び地球へ降り立つ
会場に響き渡る巨獣の咆哮。
TV版のOPの音源が流れる中で、待ちに待ったイベントが始まった。
MCはシャイダーの撮影会でもMCを務めたおきょう姐さん。
その道40年(らしい)ヒーローショーのレジェンドである。
前回同様テンポの良い軽妙なトークで、会場の空気を盛り上げていく。
撮影時の諸注意、前説はバッチリだ。
そして。
\\\ジャスピオーーーン!!!!!///
ヒーローを呼び求める声と共に、彼は再び地球に降り立った。
「メタルテックスーツ、準備OK!」
劇中でメタルテックスーツを装着する時のポーズをとりながら、ジャスピオンが現れた!
しかもヒーローショーで用いられるアトラク用スーツではない。
実際に撮影で使われたであろう超アップ用スーツである!
超アップ用スーツの重厚なメッキの輝きが、写真越しでも伝わるだろうか。
所々に見受けられるスーツの擦れや傷、経年劣化を感じさせる箇所も、かつてサタンゴース軍団やマッドギャランと戦って付いたものと解釈すると誇り高く思えるものだ。
よりみち:スーツを見比べる
ここで撮影用スーツがどのようなものかピンとこない人に向けて、前回撮影したシャイダーとジャスピオンの頭部を比較したい。
アトラク用と撮影用を判別する主なポイントとして、注目すべきは目と耳である。
通常アトラク用スーツはスーツアクターの視界確保を目的として、覗き穴が多く用意されている。
実際にシャイダーの目をよく見ると、黒い丸のような覗き穴が沢山付けられているのがよく分かるだろう。
また、耳元には頭部を固定するための留め金があり、これらのパーツの有無でアトラク用であるかを判別することが多い。
今回登場したジャスピオンは目の覗き穴も耳元の留め金もなく、正真正銘撮影用のスーツであることが伺える。
また、全身を見比べても、アトラク用スーツでは一部の造形が簡略化されていることが多い。
下半身を見比べると、造形の違いが分かりやすいだろう。
先述の通り、ショッピングセンターや住宅展示場で開催されるヒーローショーや撮影会ではアトラク用が使われるケースが多いので、撮影用スーツで登場することはかなり珍しい。
私自身も、おそらく他の参加者もシャイダー同様アトラク用スーツでの登場を予想していたので、撮影用スーツで現れた瞬間、会場からは驚きの声が挙がった。
あくまで推測だが、ジャスピオンのアトラク用スーツが現存しないor使用が困難な状態だったことが、撮影用スーツでの登場に繋がったのだろう。
東映の衣装保管庫から貸し出しの許諾が得られたのも企画側との信頼あってのものだと思うので、改めて感謝したい。
いざ、撮影会
地球に久々に降り立ったジャスピオンの挨拶を聞き届け、いよいよ待ちに待った撮影会へ。
彼に会いに訪れた面々の持参物は
戦闘巨人ダイレオンの玩具(当時品、超合金魂の双方を確認)
当時発刊された超全集
ジャスピオンの相棒・アンリの概念コーデ
(シャイダーの時にもアニーの概念コーデをされていた方だと思われる)レーザーブレード、インプットマグナム等、歴代メタルヒーローの武器
現行ヒーローのアイテムを手にしたよい子のみんな
等と多種多様。
撮影時にはジャスピオンの単独スチルorツーショット(自撮りも可!)を選択できるのだが、前者の場合、回によってポーズが異なるのが嬉しいポイントだ。
私自身も各回で児童誌の特写を想起するような素晴らしいツーショット写真を撮影してもらったのだが、先述した通りナターリアとエレナの写真をイメージとして上げることとする。
故郷の英雄に出逢えて、心なしか2人とも嬉しそうである。
ヒーロー1人とWヒロインの構図は、次作『時空戦士スピルバン』のスピルバン、ダイアナレディ、ヘレンレディを彷彿とさせる。
正月明けにシャイダー、GWにジャスピオンとなると、お盆休みにスピルバンがやってくるのだろうか。
今から楽しみで仕方がない。
撮影が終わるとジャスピオンから握手を促されたので、かつてよい子のみんなが後楽園ゆうえんち(あえてこう書く)で憧れたように、固い握手を交わした。
ゴーグルの奥に見える両眼。
(演出に応じてこの眼が光るのがカッコいいのだ!)
金属を纏った全身の重み。
そして掌から感じられる力強さと暖かさ。
紛れもなく、40年前に地球を守り抜いた偉大なヒーローの力を、その瞬間感じ取ることができた。
握手の後に「アンリによろしくね!」と言葉を伝え、私は満足気にフォトセッションを終えたのだった。
ありがとうジャスピオン
参加者全員との撮影を終えると、ジャスピオンは未だ蔓延る巨悪へ立ち向かうべく、再び宇宙へ飛び立っていった。
またいつか、地球へやって来ることを約束して。
この時はお別れの挨拶と共に、ジャスピオンが使役するマシンを呼び出す構成だったのだが、
11:00の回:超惑星マシン アイアンウルフ
(Xにて確認)13:00の回:超惑星戦車 ガービン
15:00の回:超惑星戦闘母艦/戦闘巨人 ダイレオン
と、呼び出すマシンが各回で異なるのも嬉しいポイントだった。
最終回である15:00の回では、おきょう姐さんからある提案があった。
それは、会場の参加者で「おれが正義だ!ジャスピオン」を合唱し、ジャスピオンにエールを送るというものだった。
ジャスピオンも壇上から降り、みんなの声を一心に聴こうと盛り立てる。
2人の提案に、私を含めた参加者は全力で応えた。
令和6年のGWに「おれが正義だ!ジャスピオン」「超惑星戦斗母艦ダイレオン」の大合唱が、ショッピングセンターに響き渡ったのだ。
40年前、銀河のターザンに憧れたかつての子供たちも。
図鑑やビデオで彼を知ったかつての子供たちも。
そして、今ヒーローを応援しているよい子のみんなも。
メロディに合わせて、ジャスピオンへ声援を送る。
その光景は、紛れもなく戦い続けるヒーローを応援し、力を与えるシーンそのものだった。
おわりに
こうして撮影会は最高の雰囲気で終わりを告げた。
今回特筆すべきポイントは「アトラク用スーツが現存しない(と思われる)レジェンドヒーローもやろうと思えば呼べる」ということである。
特に、ジャスピオン以降のメタルヒーローはレジェンドヒーローが登場するヒーローショーでの出番がどうしても限られるので、こうして撮影用スーツが登場する期間がまたあるのかもしれない。
次作である『時空戦士スピルバン』のスピルバンは勿論のこと、次々作かつ担当アイドルである南条光が主題歌をカバーした『超人機メタルダー』のメタルダーがやってきたら。
筆者の世代的にドンピシャの『重甲ビーファイター』(ブルービート)〜『テツワン探偵ロボタック』(ロボタック・スペシャルモード)がやってきたら。
楽しみが膨らんで仕方がない。
そして改めて、定期的にこうした撮影会を企画・開催してくれるアリオ北砂の社員さんに謝意を示したい。
撮影会の日には各回の間にフードコートで食事を楽しんだり、食料品を買うなどしているのだが、こうした行動も、僅かばかりかもしれないが感謝の1つになるだろう。
次回も休日に買い物とレジェンドヒーローの撮影を楽しめるよう、しっかり応援していきたい。
ありがとう、ジャスピオン!
いつかまた、この地球で会おう!