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デレステ規模縮小1年で改めて考える、「知ってもらう機会」の難しさ

【おことわり】

今回の記事は今までで一番人を選ぶ内容なので、下記内容を前提としてお読みください。

  • 筆者はボイス付アイドル(南条光)の担当Pです

  • 190人全員の顔と名前は一致します

  • 「190人全員の担当Pと最低1人以上名刺交換をする」という目標を5thライブSSA公演(当時は183人)から立てているが、2025年1月現在目標未達です
    (達成率に関しては、いつか他ブランド込みで記事としてまとめたい)

  • 韓国版『シンデレラガールズ』のみに登場するアイドル3名(イム・ユジンリュ・ヘナジュニー)に関しては、話がややこしくなってしまうので今回言及しません

  • 可能な限り実例を用いて書いたつもりですが、主観がかなり入っています

  • 当初の構想よりかなりマイルドな方向に軌道修正しています

  • 正月三が日からこんな重い記事出すなって?
    そうだね!

はじめに

『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』(以下デレステ)がこのお知らせを発表してから、1年が経った。
「開発・運用体制の変更」と体良く言うが、早い話が規模縮小・リストラである。
主な影響を受けたポイントとして、

  1. シンデレラフェス ノワールの新規カード供給停止

  2. 楽曲イベ削減

  3. 2Dリッチ削減

  4. グランドライブMVの削減

  5. 3DMV削減→ソロ②以降の実装が事実上凍結

等、ボイス付アイドルも少なからず影響を受けているポイントが見られる。
特にSSRに関しては、一昨年まで開催された「Stage for cinderella」入賞アイドル以外の供給が殆ど無くなってしまい、不満の声は大きい。
(全員が2巡するまであと13人だった、ブラン限定を貰えていないボイス付アイドルがまだいるのに2巡目が始まった等、色々な声がある)
私自身も大いに不満である。

ともかくも2024年のデレステは、今までと比べると大幅なコストカットや選択と集中を実感する1年だった。
ロケ撮の家具の供給が残っているのは余程コスパが良いのだろうか?

偶然にも、他のPが同様にデレステの規模縮小を憂いた記事を公開した(この方と面識は一切ない&年末からこの記事を書いていたので本当に偶然である)ので、縮小そのものの影響に関してはこちらを読んでほしい。
非常に読みやすく、ためになる記事である。
何よりこの年末年始を使って問題提起をするPが他にいることにも感激した。
ライブ等でお会いできれば是非握手をしたいものである。

という訳で、というか上記記事が上がる前から考えていたことであるが、私は特定のポイントに絞って記事をまとめたい。
その主張は「知ってもらう機会の喪失」である。

なお、ここでいう「知ってもらう機会」は、担当Pからアイドルのパーソナリティーをダイマしてもらうだけでなく、ゲーム内やコラボでの出番でイラストや台詞を目に留める事を含めたものであることを前提に読んでもらいたい。

前置き:あなたへ1つの質問

さて、本題に入る前に、簡単そうで難しい質問を1つ投げる。
心の中でYESかNOか回答してほしい。

「Q.あなたは『アイドルマスター シンデレラガールズ』に登場するアイドル190人について、全員の顔と名前が一致しますか?」

YESの人は素晴らしい!
NOの人はまず1人覚えてみよう、何か新しい発見があるかもしれない!

ここでNOと答えることは決して恥ずべきことではないし、これから新しい知見が得られるかもしれない!とポジティブに捉えるのも1つの手だろう。
だが、もしYESと答えた人の中に「シンデレラガールズをプレイしている以上、190人のことはみんな知っていて当たり前!」という思い込みがあれば、すぐさま捨ててほしい。
でなければライブの名刺交換で「すいません誰ですか?」「あまりよく分からなくて...」と返されたり、他のアイドルと勘違いされる事象はとっくに無くなっているはずだ。
プレイヤー全員がAPかっしーのような全身アイマス人間ではないのである。
それを大前提として、この記事は読んでもらいたい。

1.アイドルが置かれている立場

という訳で、まずは現時点で190人のアイドルが置かれている立場をいくつか整理したい。

(1)ボイス待ちアイドルは少数派である

2025年1月現在、シンデレラガールズにおけるボイス待ちアイドルは過半数を割っている。
(ボイス付:99人、ボイス待ち:91人)
mobage版のサービス開始から約12年で「半分にボイスが付いた」と見るか、「半分しかボイスが付いていない」と見るか、人によって判断が分かれるポイントである。
今の停滞している状況を踏まえると、「半分しかボイスを付けられなかった」と解釈する人もいるかもしれない。
いずれにせよ、2023年を境に、ボイス待ちアイドルは少数派となった。
だからと言ってこれがボイス待ちアイドルを冷遇していいという免罪符にはならない、ということは強く主張しておく。

(2)知名度に優劣がある

これはよく「ボイスの有無で知名度に差がある」と言われがちだが、厳密にはそうではない。
「ボイス付き/待ちアイドル」というカテゴリの中でも、公式での供給や二次創作が潤沢にある娘から、担当P(特にそのアイドルだけを担当しているP)を1人探すことが難しい娘までいる、ということは忘れないでほしい。
現にそれは、「まだ私が190人全員の担当Pと名刺交換をしきれていない」という点でも痛感している。

知名度の優劣を表した例として、昨年私がショックを受けた出来事がある。
『学園アイドルマスター』で有村麻央のCVを担当する七瀬つむぎさんが、アイドルマスターチャンネルの公式配信でボイス待ちアイドルの1人・井村雪菜の魅力を熱弁する場面があった。
その時のチャットやSNSの反応には、「初手で雪菜の名前が出てくるとか、この人相当なガチ勢では...!?」というものが少なからずあったと記憶している。

裏を返せば、「井村雪菜はデレマスガチ勢でないと知らない、届かないアイドルである」と認識されている訳である。
誰もがそういう意図を持って書いたわけではないことは承知している。
だが図らずも、これがボイス待ちアイドルの中でも知名度の差があることを知らしめる出来事として映ってしまった。
こうした「デレマスガチ勢でないと知らない、届かないアイドルである」という認識が生まれてしまうのも、「知ってもらう機会」の差に起因するものだろう。

(3)復刻の機会も均等ではない

デレマスにおける出番が不均等である例としてSSRの数がよく言われているが、それ以外にもチャンスの不均等さを伺うことができるコンテンツがある。
昨年9月に登場した「ノスタルジーあにぷち」である。

これはmobage版のローディング画面を基とするものなのだが、当時は全アイドルの画面が揃わないままサービスが終了してしまった。
(SSR2巡目のように、「あと何人で揃うか」は残念ながら失念してしまったので、情報提供求む)
つまり、供給を求めるチャンスが最初からないアイドルがいるということである。
この立場に置かれているアイドルを救済するには、「モバマスのローディング画面の基準に合わせたあにぷちを仮想復刻する」しか方法がない。
理論上はできるだろうが、まだ通常のあにぷちでさえ揃ってない中で行うのはかなり難しいことだろう。
ここにも「知ってもらう機会」の差が現れている訳である。

(4)一発逆転の手段がない

冒頭の記事にもある通り、2024年に「シンデレラガール総選挙」に相当する投票企画は無く、ボイス実装がなされたアイドルも存在しなかった。
正直これが一番痛い。
今までのように、順位の上昇やボイス実装を狙うことで、「知ってもらう機会」の格差を少しでも動かす手段がないのである。
やったらやったで色々と問題がある(特に「Stage for cinderella」は期間の長さが一番堪えた)が、やらなかったらやらないで知名度が固定されてしまう問題がある。
これがシンデレラガールズというコンテンツにおける総選挙の難しいところである。
単純にやる体力がないのかもしれないが、知名度の差がダラダラと固定されてしまうと、「知ってもらう機会」が少ないアイドルはますます不利になってしまう、ということはまとめておきたい。

1.5.【増補】モバ時代の「知ってもらう機会」について

さて、コメントで「モバ時代のことを書かないのは恣意的では?」という指摘があった。
ご指摘の通り、「知ってもらう機会」の差はモバマス時代からあった。
その一例として「ノスタルジーあにぷちの参加権利がない=当時ガチャや上位報酬を貰えていない(厳密には規模縮小後に強SRを初めてもらった娘も含まれる)」を挙げたのだが、分かりにくかったと思うのでガッツリ書き足したい。

なお、筆者はP歴16年(アイマスSP~)だが、シンデレラガールズというコンテンツに本格的に向き合うようになったのは、アニメの放送以降である。
そのため、最初期の出来事は語ることができないことをご容赦いただきたい。

(1)カードについて

デレステではSSRが一応190人全員に1巡しているから信じられないかもしれないが、モバマスでは「強SR」と呼ばれるガチャ・上位報酬を一度も経験できなかったアイドルが複数人いる。
こちらもデレステのSSR2巡目のように完走するのではという期待感が持たれつつも、浜川愛結奈へのガチャSR実装を最後に、供給がストップしてしまった。
後に何人かは上位報酬で強SRが実装されたものの、こちらはデレステと違って1巡すらできなかった訳である。

この時のSRである[アーバンスティード]浜川愛結奈は、デレステにもガシャSRとして実装されている

それどころか、である。
松原早耶は規模縮小前の段階で、「中くらいに強いSR」であるメダルSRすら1種も貰えなかった。
(メダルSRに関しては、今で言うと学マスのイベントガシャから出てくるSSRが近い)
一応規模縮小後に「アイドルプロデュース」でメダルSRに相当するカードが実装されたのだが、こちらは後述する「既存のRを流用して実装したSR」である。
新規イラストのSR3種はすべて、一番低レートのイベント完走枠での実装だったのだ。
また、伊集院惠や篠原礼のように、最高コストが20未満でサービスが終了したアイドルも複数人おり、性能面での格差は覆せないところがあった。
こうした性能面・枚数面での格差は、「シンデレラガール総選挙」の順位にもいろいろな影響を与えていることは、言うまでもないだろう。

また、モバマス⇒デレステへは原則SRしか輸入されなかった(厳密にはR[クリスマスプレゼント]上条春菜⇒SR[Snow Wings]上条春菜のような例外有)ため、この時点で「保有しているSRの数=デレステでの出番の回数」が固定されてしまった。
その結果、2019年の時点で、岸部彩華が当時2種しかなかったSRをデレステで使い切ってしまう事件が起こってしまった(のちに1種追加+デレステでSSRが2種追加)こともある。
他にもデレステの規模縮小宣言段階でモバマスのSRのストックを使い切ってしまったアイドルは何人かおり、モバマス時代から「知ってもらう機会」の差はあった、と言わざるを得ない。

(2)供給について

単純な供給だけで考えるとどうか。
(ここに関しては前述の通り聞きづてだが、)最初期はカードを複数種もらえるアイドルもいれば、次の出番まで600日超待たされるアイドルもいるなど、スタートダッシュの時点で「知ってもらう機会」に差があった。
ちなみに光は600日超待たされた側である。
12年で覆せないレベルまで開いてしまった知名度の差は、この時点で始まっていたと言えるかもしれない。
とはいえ、これに関してはコンテンツが安定する前段階であるので、「この時点でダメだった」と断定するのは難しい。
この辺りはモバマス史を編纂できるレベルのプレイヤーの方が詳しく語れるだろう。

中期〜一度目の規模縮小までは、レアリティを無視すれば、大体半年に1回はアイドルのカードの供給があった時期が何年かあった。
2年で4枚強SRがもらえた⇆3回Rで1回だけメダルSRだったという差は確かにあったが、絶対数自体はなるべく差が出ないように工夫していた。
単純なカードの供給数でいえば、この頃が一番安定していたように思える。

一度目の規模縮小後はRやメダルSRが廃止されるなど、カードの絶対数こそ減少したが、

  1. 月末ガチャに大和亜季が登場する
    (亜季はデレステでは限定カード未実装である)

  2. デレステのSSRの逆輸入
    (この結果、氏家むつみが「初の強SRが逆輸入カード」という珍記録を打ち立てた)

  3. 「アイドルプロデュース」でRカードにクッソ雑な背景を付けて新SRを追加する
    (あまりに出来が雑すぎたので、流石に相応の不満や反発が出た)

等の努力は見られた。
とはいえ、これだけでは、全アイドルをカバーできるものではなかったことも事実である。
(例:最後の新カード供給が2018年だった赤西瑛梨華)


上記のようにモバマスでもカードの性能や供給数の差は確かにあった。
一方で、今のデレステのように「知ってもらう機会」が殆どない、ということは決してなかった。
これはカードの供給以外でも、手軽にアイドルを知る機会が頻繁にあったことが理由である。
デレステでは実質打ち切りのような形で終わってしまった『シンデレラガールズ劇場』が、モバマスでは更新頻度を落としつつもサービス終了ギリギリまで新作を作り続けたのも、理由の一つと言えるだろう。
だがもっと気軽に、そしてイベント内で沢山のアイドルを目にする手段があった。

ライバルユニットと嫁艦隊である。

(3)ライバルユニットについて

こちらはテキストの項でも紹介するが、「ドリームLIVEフェスティバル」「アイドルLIVEロワイヤル」「アイドルLIVEツアー」といったイベントでは、中ボス枠に相当する存在として、ライバルユニットの登場があった。
デレステで楽曲イベを行った、あるいは「ススメ!シンデレラロード」の台詞で登場したユニットの中にも、ここをルーツとするものが多々ある。
つい最近だと、ホーリーナイトウィッシュが台詞上で登場したのが記憶に新しい。

来年は3人で...!

そしてこのユニットが幾つあったかというと、残念ながら計測していない。
というか全部計測していたオタクがいたら驚くくらいにはめちゃくちゃ多い。
そのくらい気軽に新しいユニットが次々と誕生するのが魅力の1つでもあった。
カードの出番がない、あるいはあまり待遇が良くなくても、ここや『シンデレラガールズ劇場』に出番の活路を求める人は多くいたと思う。

気軽にユニットが組まれていた一例。
三好紗南(さな)と安部菜々(なな)で3777である。
立ち絵さえ使えれば良いので、ヘレン×4、日下部若葉×1のような変則的な組み合わせもあった。
若葉さんが怪鳥音を発しているのは、マンドラゴラの立ち絵だからである。

いつ、誰がどのような機会で出てくるだろうというワクワク感や、今まで交流がなかったアイドルと繋がりができる可能性。
担当アイドルでなくても、メンバーの内訳からどのようなユニットか考察する。
そこには間違いなく、「知ってもらう機会」が沢山あったのである。
これらがサービス終了と共にネットの海に散逸してしまうのはあまりに惜しすぎた。
コンプリートブックでどこまでサルベージできるだろうか。

(4)嫁艦隊について

総選挙以外のイベントでも、プレイヤーが直接「知ってもらう機会」を創出できたことも、モバマスの特徴の1つと言えるだろう。
「アイドルLIVEロワイヤル」のように、他のプレイヤーのデッキとスコアをぶつけ合うイベントでは、このような遊びができた。

モバマスで最後に組んだ嫁艦隊。
南条「光」×シンデレラガールズというコンテンツはまだ続く×西武時代の清原和博の応援歌のトリプルミーニングだったのだが、難しすぎて誰にも伝わらず...。

守備枠の10人(厳密には裏枠含め20人)を全て同じアイドルで固める、所謂嫁艦隊である。
少なくとも対決時に見える10枠は5種のカード ×特訓前後を並べれば構築できるので、レアリティにこだわらなければ組むこと自体は難しくなかった。
これを応用してユニットを表現したり、分かる人には分かるネタを仕込んだりと、色々な遊び方があったと記憶している。
まとめサイトにも出会った嫁艦隊だけをまとめたスレッドが出来たりするなど、血眼になって対決を望んだオタクも少なくはないだろう。
サービス終了前の有志のハッシュタグがXに残っていたので、「#モバマス最後の嫁艦隊戦」で是非閲覧してほしい。

複数ユニット型の嫁艦隊の一例。
GIRLS BE NEXT STEP(白菊ほたる、関裕美、岡崎泰葉、松尾千鶴)に、白菊ほたるが所属するミス・フォーチュン・テリングから鷹富士茄子、藤居朋を組み合わせている。

デレステにおいてこれに一番近い役割を果たしているのはルーム訪問やMVビューイングだと思うのだが、「一目見ただけで相手が誰の担当orファンかが分かる」という視覚的なインパクトは、嫁艦隊と比べると少ない。
これに関しては集めたカードで対決するか、スコアを競うかの違いが現れているだろう。

ありがたいことに何人かのXユーザーからも嫁艦隊の画像をご提供いただいたので、ここで紹介したい。
みんな本当に愛に溢れている。

(5)相補関係にあった2アプリ

ここまで色々と書いてはきたが、モバマスのサービス終了が大団円を迎えられたのは、アプリが2つ並立していたのも影響しているだろう。
これはモバマスが終活を行っている中で、「同時並行でデレステのSSRが1巡、あるいは2巡に向かいつつあった」という希望が見える内容があった故に言えることである。
片方に出番がなければ、もう片方をセーフティーネットとできた訳だ。
一方でライバルユニットや嫁艦隊のような「知ってもらう機会」を気軽に作る柔軟性は、音ゲーというジャンルのデレステで発揮するには難しい面もあり、モバマスの強みの1つとして最後まで残り続けたと考える。
2つのアプリは相補関係であった訳である。

一方で今あるのはデレステだけだし、他ブランド(特に参考になるのはメディアミックスとしてとても元気なSideM)と異なり明確なロードマップもない。
セーフティーネットや逃げ道がない中で出番の保証がなくなれば、誰だって不安や怒りを覚えるものだろう。
その気持ちを封じてしまうようなことは、あってはならないと思う。
「褒めるとこは褒める、ダメなとこはダメと言う」のバランス感覚が大事と、改めて感じた。
(私自身もやらかしがちなので自戒を込めて)

2.テキスト削減という痛手

「知ってもらう機会の差異」について、一番影響がはっきりしているのはやはりボイスだろう。
これに関しては規模縮小以前から変わらない。
ボイス付アイドルであれば、過去の楽曲を紹介する、あるいは耳にしてもらう機会さえあれば、それが「知ってもらう機会」の1つとなる。
最近であれば五十嵐響子の「恋のHamburg♪」のように、TikTokで過去の楽曲が突然バズるのはこの好例である。

一方で、ボイスの有無に関係なく、アイドルの個性を知ることができるものもある。
テキストである。
これもまた、規模縮小以前から変わらない事実である。
そのアイドルのパーソナリティーを知る、あるいはアイドルの新情報を得るには、「テキストを読む」という行為が大事な生命線となる。
たとえボイスの再生ボタンが無くても、新しいカードやコミュ・ライバルユニットへの出演時の台詞を読んで、その娘の声を脳内再生したり、あるいは「○○と××はこういう関係なんだな」といった考察を行ったオタクは少なくないだろう。
特に、モバマスはイベント内で新規ライバルユニットが頻繁に登場したため、そこから新しい縁ができる、あるいは他のアイドルに教務を持つことができることも魅力だった。

ところがデレステは、規模縮小後そのテキストまでリストラの対象としてしまった。
個人的にはこれがかなりまずいと思っているので、目に見える点をいくつかピックアップしたい。

(1)デレぽ・シンデレラガールズ劇場わいど

これら2点は冒頭の記事でも言及されているが、ボイスの有無の垣根無くアイドルの交流が見られたコンテンツなので、更新停止が非常に惜しまれる。
特にデレぽに関しては現在のSideMのように、ポータルの各種コミュで交流やフットワークの軽快さを魅せるスタイル(特にヴイアラの3人が876プロに所属したことや、オールアイマス大感謝祭の出来事をすぐさまコミュ内で反映・示唆したことには非常に驚いた)であれば、生き残る余地はあったのかもしれない。
劇場単行本はもう出ないんですかね

(2)エクストラコミュ

第2の例として、大晦日のカウントダウンLIVEのコミュを比較したい。
新規衣装が無くなったことに目が行きがちだが、コミュにもリストラの手は及んでいたのだ。

2023年
2024年

9時の部が無くなっているのがお分かりいただけるだろうか。
不二家のカントリーマアムと同じくらいさりげないサイレント削減である。

中身に関しても今まであった「何らかの記録に輝いたアイドルの出演」(MC除く)が削減されており、登場するアイドルが必要最小限に抑えられている。
イベントでもないのに多人数のセリフを考えるのは余程億劫なことなのだろうか。

(3)営業コミュ

意外と見落とされがちだが、2024年にボイス待ちアイドルが出演した営業コミュは1つもなかった。
2023年11月分の更新が告知されていない(アニバと被ったから忘れていた?)ので、現時点でXに残っているボイス待ちコミュの更新通知は、下記コミュが最後となっている。

上半期は当時開催されていたユニットツアー『ConnecTrip!』との連動に重きが置かれていたが、下半期もユニット単位でのボイス付コミュ、という方向性は続いた。
現在は楽曲コミュや新カードが削られた分のボイス付アイドルの出番の補填、という意味合いが強くなっている。
個人的にはこれも免許維持のために年1回動かしているバス路線のようであまり好ましくないのだが、ボイス付アイドル担当Pとしては贅沢は言ってられないのもまた事実ではある。


この時点で、ボイスの有無に関係なく出演のチャンスがあったコンテンツが4つも廃止or縮小されている。
だが、更にまずいと感じたことが直近で起こった。
190人全員の出番が確実に保証されるキャンペーンでさえ、テキストを削減するようになったことである。

(4)キャンペーン内のセリフ

「個別のセリフすら削るようになってしまった」ことを表す実例として、先日開催されたクリスマスキャンペーンのテキストをここに掲載する。

どうした、光?
ファッ!?終わり!?

これだけである。
チャットボットでさえもうちょいマシなテキストを出力するのでは?と思うくらいの豪快な削りっぷりだ。
情緒もへったくれもないし、何もここまで削る必要はなかろう、と思ったものである。
(実際そうした不満はTLで多々見られた)

このくらい言われると嬉しいね

ちなみに2023年のクリスマスのセリフは上記の通りである。
僅か3行×190人のセリフを考えることすらリストラの対象と考えると、とても悲しい。
ここまで削るくらいなら、過去のセリフを復刻したほうが心象としてはまだ良かっただろう。
バレンタインとホワイトデーはこうなっていないことを望むばかりである。
スクショを見た限り、バレンタインもこのくらい削っていたかもしれない。

(5)モバマスを振り返る

それでは2023年3月にサービスを終了したmobage版『シンデレラガールズ』(以下モバマス)ではどうだったかを振り返りたい。
確かにモバマスが2度の規模縮小を宣言した時も、カードやイベントが削減されたり、テキストが簡略化された箇所は少なからずあったし、ボイス待ちアイドルのガチャSR・上位報酬への抜擢は、終ぞ全員揃わなかった。
(ex.トークバトルショーのサイレント終了、シンデレラガールズ劇場の更新削減、アニバアイプロの報酬アイドル以外のコミュetc.)
だが、「プロデューサーの名前を呼んで終わり」レベルの極端なテキストの削減には至っていない。
「シンデレラヒストリー」で過去のイベントにまつわる話を新設したり、イベント内で登場するライバルユニットの台詞は可能な限り最後まで維持してきた。
特にライバルユニットはボイスの有無に関わらず考えられていたので、そこに「出番」の活路を求めることができたわけである。
そう考えると、モバマスのライバルユニットに一番近いコンテンツはデレぽだったのかもしれない。

新規イベント供給停止直前(2022年11月)のライバルユニットの台詞の一例。
商品名こそ明言されていないが、五十嵐響子(タニタ食堂)、大沼くるみ(キッコーマンの豆乳)、森久保乃々(スニッカーズ)、日野茜(カレーメシ)が、過去のコラボを振り返っている。

つまるところ、モバマスではアイドルのパーソナリティーを伺うためのインフラとして終了ギリギリまで残されていたテキストでさえ、デレステは削ってしまったのだ。
何事もやりすぎは良くない。

(6)改善された点

一方で、今までよりも改善されたポイントもある。
これは数年前から少しずつ改善されてきたポイントだが、ストーリーコミュや『ススメ!シンデレラロード』以外のイベントにおいて、ボイス待ちアイドルのコミュへの出演が見られる頻度が増え始めたことだ。
特に昨年末の的場梨沙編から、ストーリーコミュのメインゲストでボイス待ちアイドルの出演がスタートした(メアリー・コクラン、西島櫂)ことは、ビッグニュースと言えるだろう。
現在開催中のイベントコミュでも、何人かのボイス待ちアイドルが出演しているので是非読んでほしい。

コミュ内の1幕。
この1カットだけでも、新春初笑いにふさわしいキャシー・グラハム、野々村そら、赤西瑛梨華の3人が出演している。

また、規模縮小後の新イベントとして、mobage版で好評だった「アイドルプロデュース」が移植された。
こちらに関してはmobage版時代同様、豊富なテキスト量とポチポチゲー特有の作業感を味わうことができる。
報酬になる(=新規テキストが増える)アイドルがmobage版と比べると少ないのは惜しまれるところだが、かつてと遜色ない遊び方ができることには大いにありがとうを伝えたいと思う。


いずれにせよ、今のところは「ゲーム内でボイスの有無で出番が分断される」という事態には陥っていないし、今後も至ることはないだろう。
しかしながら、「知ってもらうための機会」そのものはボイス有・ボイス待ち共に減少している。
規模縮小前の水準を維持できているのは、ほんの一握りと言っても良い。

全体の中で削減の影響を大きく受けたのは、やはりボイス待ちアイドルになる。
前置きの通り、ボイス付アイドルには楽曲やライブのパフォーマンス経由で知ってもらう手段は残されているし、収録機会の維持レベルで残されている営業コミュに逃げ道を求めることもできる。
だがボイス待ちアイドルはその選択肢が制限されている。
「知ってもらう機会」と共に「出番を享受する機会」も失っている訳である。
特に営業コミュのフルボイス化は痛手としか言いようがない。
ストーリーコミュやイベントコミュにボイス待ちアイドルが出演する機会が増えたことを考えると、ここもしっかりと居場所を残してほしかった。

3.「知ってもらう機会」が及ぶ影響

(1)二次創作でできること

デレマスに限らず、アイマスは全体的に一次創作と二次創作の距離が近いコンテンツである。
先月開催されたアイマスエキスポがまさにその一例であるし、デレマスのライブでは有志のプロデューサーによる配布企画も頻繁に行われている。
特に後者は毎回盛況かつ、ボイスの有無に関係なく、それぞれの熱い想いを受け取ることができるのでニコニコ顔になるものだ。
10thツアーでも全国各地でそうした機会があると思うので、是非訪れてみてほしい。

だが、そうした二次創作にも1つ落とし穴がある。
そのアイドルを知っていないと作れないのである。
(必ずしも「そのアイドルの知識がある」と同義ではないことに注意が必要)

実例として、2019年にメルカリで開催されたプロデュースグッズのキャンペーンを紹介したい。
これはメルカリでバンナムから頒布された公式素材を用いたオリジナルグッズを販売するコンテストであり、各アイドルのグッズを最も多く売り上げたプロデューサーには、本人から感謝のメッセージが送られるという副賞があった。

だが。
期間終了直前まで取引が成立していなかったアイドルが、ボイスの有無に関係なく20人近くいた。
最終的に熱意のあるプロデューサーの力もあり、締切ギリギリで全員の取引が成立したが、せっかく用意したであろうメッセージがお蔵入りになりかねなかった訳である。

この時は「公式素材を使ったグッズを販売する」という厳密なレギュレーションがあったので、イラストやSSを創作する、ダイマ用のチラシを作るといったものよりも少し難易度が高かった。
(実際私も何作ればええんや、で止まってしまった)
とはいえ、「そのアイドルを知っていること」「何かをクリエイトしたいという熱意」の双方が無ければ、二次創作を手掛けることは難しい。
前述の危機も、「全アイドルの取引状況をチェックする」という熱意から回避できたことである、ということは留意しておきたい。

では、そのアイドルを知らない時に頼る手段、あるいは二次創作の中身を推敲する場合のヒントとなるものは何か?

一次創作、つまり他でもなく公式である。
先述した「デレマスガチ勢でないと知らない、届かない」を少しでも解消することも、公式の役割の1つだろう。
確かに二次創作は「知ってもらう機会」を作るうえで強力な武器となる。
一方で二次創作だけでできることにはどうしても限界があるのだ。

この「二次創作でできる限界を埋める」ツールの1つとして、10thライブや星座毎に発売が決定している、190人全員の商品化が保証されているグッズがあることも、併せて書いておきたい。
特に10thライブツアーのオーロラ缶バッジの色は、「このアイドルのイメージカラーはこの色なんだ!」という情報を読み取ることができる。
「アイドルのイメージカラーを確定させる」ということは、一次創作でしかできないことである。
こうした要素もまた、二次創作につながる素材となるのだ。
是非ともアソビストアを覗いてみて、それぞれのイメージカラーから想像力を膨らませてほしい。
「沖縄・福岡公演で発売されるアイドルのイメージカラーを予想する」ということもまた面白いだろう。

(2)コラボについて

これは他ブランドにも言えることだが、Project iM@S 3.0VISIONの旗揚げ後、企業とのコラボ案件が増加していることを感じる。
ありがたいことに、私の担当である光も、ユニットツアーの一環で『お好み焼き 道とん掘』とのコラボ案件を頂くことができた。
どの様なアイドルが抜擢されたかに関しては、例として下記記事に記録されているコラボの記事を読んでほしい。

一方で、冒頭で引用した記事にも書かれている、「コンセプトに沿ったアイドルより知名度が高いアイドルが選ばれる」という事象も、残念ながら起こってい(あえて過去形で書く)。
(これは規模縮小直前の出来事だが、)2023年11月末に告知されたアニメイトコラボカフェでは、中華をコンセプトとしていたにも関わらず、香港出身アイドル・楊菲菲の「や」の字すら出なかったことにについて、SNSで不満の声が挙がったのが分かりやすい実例と言えるだろう。

実際のところ、「どのようなアイドルを選ぶか」という提案が先方/運営のどちらからなされているかは、オタクには知る由もない。
だが、全てのコラボ先が名鉄観光や湯ね〜るのように、(他ブランドとのコラボ込みで)アイマスにある程度知識がある得意先とは限らない、ということには多いに注意すべきだろう。
「いくら適しているアイドルがいても、先方がそのアイドルに興味を持ってくれなければ選ばれようがない」ということだ。
そういう意味でも、まず知ってもらうことから始めなければならないアイドルは機会損失となってしまう機会はしばしば見られた。
ここに関してはオタクの介入の余地がないポイントなので、バンナム・サイゲといった運営の営業マン達の頑張りに賭けたいと思う。
「もっと出来るだろ!」と思うところはあるが、それでも3.0VISIONになって大きな進歩が見られるポイントはここだと思う。
目に見える例として、ここ最近のコラボは石川、熊本コラボやHUBコラボのように、ひと枠でも関係が深いアイドルが抜擢されているケースが多々見られる。
先述したアニメイトカフェでも、翌年の「お月見兎」をコンセプトとしたコラボカフェでは、ボイス待ちアイドルから持田亜里沙が選出されている。
抜擢の機会そのものがあることは勿論好意に捉えたいし、営業の頑張りが現れている!と強く感じた。

(3)データ散逸への不安

今後もしデレステがモバマスのようにサービスを畳む場合、これが大きな問題になってくると思われる。
ソーシャルゲームやアプリゲームの弱点の1つとして、「サービスが終了するとデータが閲覧できない」と言うことがある。
モバマス、他ブランドであればアイモバやGREE版ミリオンライブ、SideMの3ゲームに関しても、サービス終了によりネットの海に散逸してしまった一次資料が多々あるだろう。
SideMとモバマスはそれぞれソーシャルゲーム版のコンプリートブックを鋭意製作中だが、そこで散逸したデータをどこまでサルベージできるかは、編集チームの頑張りに懸かっている。
流石にすべてを網羅することは難しい(既に権利面で収録が難しいものがあることは明言済み)だろうが、「イベントでこんなライバルユニットが登場しました」がひと通り収蔵されていると大変嬉しい。

また、データの散逸を避けるために、プロデューサー有志で非公式のアーカイブを残しているところもある。
モバマス・デレステのカードであれば、非公式のカードギャラリーで移植されなかったカードを含め閲覧することができるし、アイドルによってはモバマス時代のイベント出演歴等を記録したwikiもある。
だがこれも、二次創作の時と同様、「非公式でアーカイブを残そう!」と思った人がいなければ出来ないことだ。
知ってもらう機会が少ないと、まずこの「アーカイブを残す」という決断に届かない。
「その日」がいつになるかは分からないが、届かない点に関しては公式が責任をもってアーカイブ化してほしい。
全てとは言わない。
パーソナリティーを知るうえで最低限残さなければならないところに関して必ず、である。

余談だが、もしデレステがサービスを畳む、という事態になった時に、書籍化、あるいはアイマスポータルへの移植を最優先してほしいものは何かと問われれば、私は「デレぽ」と即答する。
これだけで190人の喋り方や交友関係、公募企画への回答で明らかになった新情報等を最低限拾うことができるからである。
しかもそのデータがスタート(2018.4)から終了(2024.3)まで6年も蓄積されている。
このデータは今後も「シンデレラガールズの全アイドルをサクっと知ることができるスターターキット」としての役割を果たすと思っているので、どんな形であっても半永続的に残してもらいたい。

(4)アイドルの限界集落化

これまで述べた「知ってもらう機会の喪失」が行き着く先は、「アイドルの限界集落化」だと考えている。
ここでいう「限界集落」は、オタクのスラングで使われているような意味合いではない。
地域人口の過半数が65歳以上であり、このままではコミュニティを維持できなくなる危険性がある地域を指す、本来の使い方と同義である。
「そのアイドルを知っている人が少なくなりすぎて、知ってもらう機会を維持できなくなる懸念」と考えてほしい。

「知ってもらう」というアクセス手段がただでさえ限られるのに、その機会さえも削られてしまえば、知ってほしいところへ「知らない」「届かない」という状況が発生してしまう。
また、非常に勿体ないことであるが、新規供給が少なすぎて、モチベーションを維持できないという現象も起こるだろう。
一方でプレイヤーの流出が続く、あるいはサービスの終了によって資料が散逸してしまうリスクは相応にある。
仮にデータの散逸を公式が保護しきれないということになってしまえば、二次創作を作ることはおろか、アイドルのパーソナリティーを深く知ることも困難になりかねない。
これを限界集落と言わずして何と言うか。
余程のことが起こらない限りないとは信じているが、そういった事態には陥らないでほしいものである。

4.【補足】「ない」と「ある」の温度感

これは補足記事だが、冒頭の質問とは別の質問を投げたい。
「ある」か「ない」かの2択で、心の中で回答してほしい。

Q.あなたの担当アイドルは、出会った時点でボイスが付いていましたか?

私が南条光と出会った時は「ない」である。
「ない」故に、Twitter(当時)で南条光が気になる人へリプライを発信したり、ライブの名刺交換で他のボイス待ちPと「ある」側に進めるよう健闘を誓いあったり、色々な出来事があった。
第7回総選挙の最中、地下鉄に乗っていた時に「もし光が入賞できなかったら」という不安で嘔吐しかけたことは、正直思い出したくない思い出である。

今も「ない」、あるいは総選挙等の経験を通して、「ない→ある」となった担当がいるプロデューサーであれば、こうした「知ってもらう機会」に関連する出来事が1つはあるだろう。
だからこそ、現状の「知ってもらう機会」が殆どない状況に、かなりの危機感を覚えている人は、少なくないはずである。
勿論「ある」側でも、総選挙で1位を取るためだったり、デレステでの待遇だったりを背景に、こうした経験があるかもしれない。
シンデレラガールズで私の担当は南条光だけ(これに関してはMyルールがあるためいずれ記事にまとめる)なので、最初から「ある」側のプロデューサーの「知ってもらう機会」にまつわる体験談は是非とも聞きたい。
これもまた、「知る機会」である。


あくまで当時の経験をまとめたものだが、「まず担当アイドルを知ってもらうことが大変」という経験の有無は、この記事を読んだうえでの温度感に多少影響するかもしれない。
もしピンとこないようであれば、下記の質問に読み替えたうえで、改めてこの記事を読んでほしい。
私であれば、「ない」と回答する。

Q.あなたのアイドルは、『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』で満足な供給を受けられていますか?

おわりに

結局のところ、この規模縮小が何故起こっているかは、我々オタクにとっては知る由もない。
物凄く楽観的に捉えれば新アプリを開発しているのかもしれないし、物凄く悲観的に捉えれば、99人いるボイス付アイドルの収録を1つ創出するだけでも精一杯、と言えるかもしれない。
あくまで個人的にはコンビニ(特に7と11が付くとこ)のようにロイヤリティ絡みなのかな、とは思っているのだが、真相はオタクには知りようがないのでこの程度に留めておく。

重ね重ね述べているが、この1年でアイドルを知ってもらうための機会はゲーム内で減少してしまった。
もちろんそれは憂慮すべきものであるし、今後のコンテンツの行く末を案じると、不安になるものはある。
「このペースでは本当に限界集落化を起こしてしまうアイドルがいるのではないか」という危惧は、mobage版の規模縮小から頭の中にずっとある。

だが。
公式が「知ってもらう機会」を創出するために、働いている箇所は勿論ある。
190人グッズやコラボの選出が従前より好転した点は、まさにその一例だろう。
「今できるだけの範囲で、「知ってもらう機会」を作るための努力を少しでもしている」という点は、好意的に受け止めたい。

そして何より、「知ってもらう機会を喪失した」と「知る機会を放棄した」は必ずしも同義ではない。
「知らないアイドルを調べる」こと自体はいつだってできる。

冒頭で投げた質問をもう一度載せたい。

「Q.あなたは『アイドルマスター シンデレラガールズ』に登場するアイドル190人について、全員の顔と名前が一致しますか?」

YESの人は素晴らしい!
NOの人はまず1人覚えてみよう、何か新しい発見があるかもしれない!

言ってしまえばきれいごとに過ぎないし、それが今後の出番やコンテンツの回復に繋がるかと言われれば、決して首を縦に振ることはできない。
だが、「知らないまま」よりは「ほんの僅かでも知っている」の方が余程良い。
他コンテンツの話であるが、広島東洋カープの投手汎用応援歌の歌詞を紹介したい。
(ちなみに私は巨人ファンである)

振らな何も始まらないから 強気で一か八か フルスイング

打撃への期待値が野手と比べて低い投手であっても、バットを振ればヒットや進塁打、条件が重なればホームランになるかもしれない。
だが振らなければ相手投手の制球が破綻していない限り、見逃し三振になってしまうという解釈ができる。
投げやりそうに見えて非常に深い応援歌である。

大事なのは「振らな何も始まらないから」というところである。
バットを振らなければ打席では何も始まらないのだ。
自発的な行動が、もしかしたら事態の好転につながるかもしれないと促しているのである。

私はこの記事を書く上で、この歌詞は「アイドルを知る」という行為にも繋がるものがあるかもしれないと感じた。
新しいアイドルを知ることで、今までにない知見を得たり、興味をひかれるポイントが見つかるかもしれない。
「知らないアイドルのことを新しく1人知った」という行動が、今後の名刺交換で交流する際に役立つかもしれない。
だがそれは、「知る」という行動を起こさなければ始まらないのである。

シンデレラガールズにおいて、「アイドルを知る」という機会は、これから知名度によってますます「簡単/難しい」が二極化していくかもしれない。
考えるだけで1万字超になるくらいには難しく複雑な問題だが、「アイドルを知る」という行為そのものは、プレイヤーの意思に委ねられている。
公式や二次創作が提供するのは、あくまで「知ってもらう機会」だ。

どんなに気軽な形でもいいし、極端な話、「この娘のおっぱいでけぇな!」くらいのしょうもない動機だっていい。
とにかく、「知らないアイドルがいる」という状況を「ちょっとだけ知っているがいる」という状況に変えられるよう、一歩を踏み出してほしい。
それだけで12年で開いた知名度の差は覆せないだろうが、「○○というアイドルのことを少しでも知っている人が1人でも増える」という行動そのものが大事なのだ。
それが規模縮小への不安を少しでも和らげる、あるいは抗うことの手段の1つともなるかもしれない。
かなり希望的な書き方ではあるが、このようなオチでこの記事を結びとしたい。

追伸:この記事を最後まで読んでくださったすべてのプロデューサーへ

先月開催されたアイマスエキスポに参加した方であれば、入場特典で配布されたフレークシールを改めて見直してほしい。
その中で顔と名前が一致しない、あるいは知ってはいるが詳しくはよく分からないアイドルを1人、調べてみてほしい。
いきなり全員覚えてくれ!とは言わない。
記事の内容としてはシンデレラガールズのアイドルから1枚チョイスしてほしいが、そうでなくても構わない。
とにかく自分が分からないアイドルが1人いたら、その1人を調べてほしい。
まずは1人からで良い、1人知るだけでも大きな一歩である。

以前書いた記事の通り、私はこのフレークシールの配布を通して、担当アイドルがいないミリオンライブ!、SideMのアイドルの情報を再ラーニングすることができた。
「まず知ってもらうこと」の大切さは、ここにも表れている。
アイドル名鑑のプロフィールを読むだけでも良い。
アソビストアで販売されているライブグッズのイメージカラーから、想像力を膨らませるのも良い。
アイマスチャンネルの誕生日ショートの楽曲から、それぞれのパーソナリティーを伺い知るのも良い。
「知ってもらうための機会」は、削減されたといえども色々なところに散りばめられている。
1人でも良いので、こうした「知ってもらう機会」から知らない、あるいは分からないアイドルのパーソナリティーへアクセスしてほしい。

シンデレラガールズに限れば、アイドルやモバマス時代のライバルユニットを知るうえで、『デレラジ☆』の番組内コーナー「スターアルバム」がとても役立つだろう。
特に、モバマス時代のライバルユニットは、サービス終了により一次資料がネットの海に散逸してしまったため、存在を知るにはここでの口伝が大事になってくる。
ライブ開催後の感想回では休止になってしまうのが玉に瑕だが、少しでも興味が湧いたらコーナー内のおたよりをじっくり聴いてほしい。


私信:ボルロスさんへ

記事読んでアドレナリンが出まくった結果、普段遅筆のペースが新幹線レベルで上がりました。
深夜3時からほぼぶっ通しで記事をまとめ直す機会は今後あるのかなあと思いながら「公開に進む」ボタンを押しています。
今後も何らかの形で記事を切磋琢磨できれば、個人的には嬉しいです。

ぼくより

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