見出し画像

ディズニーランドの楽しみ方をアップデートする時

私は今、ディズニーランドへ行く身支度を整えた状態でこれを書いている。
時は土曜日の正午過ぎ。まだ自室におり、出発すらしていない。

というのも、今日一緒に行く約束をしていた友人に急な会議が入り、身動きが取れなくなってしまったのだ。

こればっかりは予期せぬ事態だし、幼い子供でもあるまいし、友人を責めることも嫌だと駄々をこねることもできない。

何より、一番辛いのは絶賛会議中の友人のはずだからである。

というのも、現在、ディズニーランドの入園チケットはオンラインサイトで事前に購入しておくシステムになっている。しかしコロナ禍による入園制限が厳しく、土日のチケットともなればそう簡単に入手出来ない。
この日のチケットは私が用意したのだが、例に漏れず発売日にサイトページを約3時間リロードし続けて入手したものだった。

それが間もなく泡と消えるかもしれない。

その原因が自分の急な仕事にある。

もし私がその立場だったのなら、友人の「チケット代は全額持つ。他にアテがあるならその人と行ってくれ」との言葉と全く同じことを言っただろう。

結局、その提案は断った。

友人はおやつ時くらいには現地に行けると言うのでそれを待つことにした。
もっとも、友人が多くない私に他のアテなどいなかったのである。

本音を言えば、入園料も安くはないし、滅多に行ける場所でもないからフルで遊べないのはもったいないな、と思う。

ディズニーランドへ行くとなれば、早朝から待ち合わせて閉園時間まで遊ぶのが当然だという学生時代の感覚が抜け切れていないことを自覚した。だからと言って、大人のディズニーランドの楽しみ方が短時間集中型であるという認識でもないけれど。

そもそも、会議に正確な終了時刻なんてないだろうから、陽が落ちる前にパークへ入園できる保証はなかった。往々にして会議とは延びるものであり、最近では当たり前になったリモート会議であれば、会議室の利用時間の制限に悩まされることはないのである。

そんな先行きの見えない不安に、思わず「腹が立つ」と漏らしてしまった。

大人気ないと思いつつも、この行き場のない怒りの鎮め方に苦労している。
初めたてのnoteで怒りへの対処法を検索したくらいだ。
しかし、感情に支配された脳みそには、読んだ知識を取り込んで処理する余裕などなかった。

さらに悪いのが、この怒りが過去の怒りまで思い出させることである。

ここから少し本筋と逸れるが、つい最近別れた彼氏とのエピソードをひとつ。

その彼はとにかく自分勝手でだらしない人だった。

例えば、彼の誕生日プレゼントを一緒に買いに行く約束を「どうしても起きられない」を理由に寝飛ばしたのである。

寝起きが悪いことは承知していたから、当日の正午過ぎにモーニングコールまでしていた。にも関わらず、彼は電話を切った後、日が暮れるまで再び寝続けたのだ。

夜勤の人だったから仕方ないところもあったかもしれない。
でも、約束の時間は15時。

果たして無理な時間か?

朝7時頃に帰宅したとして、最低でも6時間ほどの睡眠時間が確保できたはず。
満足とはいかなくても、忙しい現代社会人には妥当な睡眠時間だろう。

そもそも、自分の誕生日を祝ってもらう約束の日である。
私なら完徹してでも祝われに行く。

しかし彼はそんな根性も誠意も持ち合わせていなかった。

結局、私はその日を彼からの連絡を待つことで消費したのだ。

とにかくその頃にはすでに彼には期待していなかったし、よくあるデートなんてもっぱら諦めていたから、悲しいのか虚しいのか、むしろ清々しいのか、そんな釈然としない心境だった。

こんな元彼のダメ男エピソードには事欠かないので、それはまた改めて書きたいと思う。

さて、本筋に戻る。

友人の会議が何時に終わるかわからない。
そもそも、行けるかどうか雲行きも怪しい。

この不安感と苛立ちが、元彼との出来事とリンクする。

今起きている出来事が元彼の時のようにたちが悪いものではないと分かっている。

仕事に追われ、遊ぶ時間もその合間を縫わねばならず、リスケするにも努力と体力がいる。
もう学生時代のように授業を1日休んだところで影響がないという立場ではない。

それが社会人であり、大人なのだ。

大人の時間的な融通の利かなさについてどう考え、どう納得させればいいのだろうか。

大人になれば、金銭的に余裕が出来て自由になれると思っていた10代の頃。

現実は時間に余裕がないからお金に余裕が出来るだけだった。

それならば、短い時間の中で贅沢にお金を使うことに魅力を見出せばいいのだろうか。

私はそれは違うと思う。

限られた時間の中で、支払う金額に見合った満足度を得ることが大人の娯楽なのではないだろうか。いわゆる効率化である。

だから今回のディズニーランドの件も、いつまでも拗ねて怒っていないで、限られた時間を心から満喫する下準備をしておくべきなのだ。
例えば、時間に余裕がある自分が、効率良くアトラクションを回る流れを考え、レストランの予約をし、遊びと食事とショッピングの時間配分を模索する。これだけのことで、きっと現地で路頭に迷う無駄をなくせるはずだ。

まずそのために取った行動として、この記事を書いたことは割と正解だったんじゃないかと思う。

自分の本音や苛立ちと向き合い、気持ちを整理することが出来た。
行き場を失い彷徨っていた怒りも、いつの間にか消え去っている。

そんなところでスマホの通知音が鳴った。

「今終わった!10分で家出る!」

短いその文面には、私と同じだけのちょっとの焦りと大きな期待と、そしてとびきりワクワクする気持ちが溢れていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?