【kdl2】オンラインで聞く、解体の仕方
知っている方も知らない方も初めまして、B4のすさです。昨日1年半ぶりに学校で大親友と再会。毎日一緒に通学していた仲です。毎週のようにイベントだらけだった大学生活が懐かしいですね。
さて、今回もkdl2(研究室のリノベ)の進捗状況をつらつら書いていきたいと思います。
1.これまでのあらすじ
「先生の部屋を、学生も使えるようなオープンな空間にしたい」。
この一言から始まったプロジェクトkdl2。まず始めたのが現状分析。研究室構成員がどのような空間を求めているのか、現在の先生の部屋がどうなっているのかを調査しました。それをもとに出来上がった「セイイキ(※セイイキについては初回note参照)を部分的に解体し、先生の使用空間と3~4人程度の学生が使用できる空間を一つの部屋の中に再構築する」というconcept。これをもとにスタディを進めています。
2.オンライン質問会
さて、本題です。
初回noteで触れたように、現在の門脇研究室のデザインは青木弘司さんの設計事務所によるKDLというプロジェクトが元になっています。今回、この時デザインされたセイイキを一部解体することになったわけですが、解体の仕方が分かりません。
床にビスが打ち込まれていた場合、素人では簡単には外すことはできないわけです...。
この度、当時の施工者で現在はイノウエインダストリィズから独立して家具屋を経営している、神(じん)さんにお話を伺うことができました。
――本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、今回門脇先生の部屋のリノベを行うこととなりました。その際にセイイキを一部解体したいと考えているのですが、セイイキの内部構造を教えていただけないでしょうか?
神さん:当時の施工図が残っていなかったので推測になりますが、おそらくこの壁パネルは片面フラッシュだと思います。片面フラッシュはわかりますか?
――すみません。よく知らないです。
神さん:片面フラッシュというのは、角棒の芯材でフレームを作り、片面を4㎜程度の薄い合板で固定したものです。私たちは‟片フラ”と呼んでいます。この枠の厚みを利用してビスを打つことで、壁や床に接合させているんです。
門脇先生:床に対して斜めにビスを打っているということですか?
神さん:片フラなので、直接芯材に上から打ち込んでいるのだと思います。で、輪郭が出来たうえで逆側から4㎜の板をビス止めして、パテをして塗装で仕上げているのではないか・・・。もしくは、先に角材を床に止めて、上から出来上がったパネルを被せて角材と接合しているか・・・、のどちらかなんです。いずれにせよ、しっかり固定しているので、外すのは結構大変だと思います。白く塗ってある面って何かビスの後とか、パテしてる後とか見えますか?
門脇先生:パテはしている感じあります。
神さん:そしたら、パテをしているところが連結箇所なので、外そうとするならそこなんですけど、そこも接着剤を入れちゃっているので、パネルだけを外すというのは難しいです。なので、作る前の状態にバラして移動するという案は、かなり大変です。
門脇先生:そうすると、力学的には、パネルは自立していると考えていいということですか?それとも、壁に接合しているパネルがあるので、それのおかげで全体がもっているんですかね?
神さん:あ、そうです。研究室の壁にバチッとくっついているパネルがあるので、このパネルの力で室の真ん中の方に伸びてきている部分が保たれています。
門脇先生:ということは、仮に壁に接合しているパネルと曲線のパネルだけ残すとしたらそれは成り立ちそうですね。逆に直線のパネルだけを残すというのは難しそうですか?
神さん:今、衝立みたいのがついてますよね。
門脇先生:これは脚がぶらぶらしてしまっていて構造として効いてない装飾です。ただ、この衝立を床にコンクリートビスで止めしてしまえば直線のパネルだけでも自立しそうですよね。
神さん:そうですね。自立すると思います。
門脇先生:あとはどうやって壊していくかという話ですね。芯材を定規にすればうまく切断できそうですよね。
神さん:例えば、廃棄しちゃってもいいパネルを壊して中の構造を理解してしまえば、解体の仕方が読めると思います。パネルを叩いてみると芯材がある部分は音が変わるのでわかると思います。
門脇先生:では、芯材の位置を調べてみて、切り方を考えていきましょう。
――曲線のパネルの下部分を700㎜ほど残してその上に板を置くことで机として利用できないかと考えているのですが、構造として機能するでしょうか?
神さん:バッチリ使えるかと思います。あとは、曲線部分に天板を乗せるだけだと弱い部分があると思うんですけど、ブラケットをつけると簡単に補強できると思います。気軽に使えて重宝します。
門脇先生:ブラケットは下地が入っているところしか使えないので、パネルの芯材があるところにブラケットを取り付けるということですね。
神さん:もし、ブラケットをつけたい位置に芯材がなければ、角棒を入れて芯材を足しちゃえば使えるようになると思います。
――ありがとうございます。学生からの質問は以上になります。
門脇先生:それでは、今度いらないパネルに穴をあけてみましょう。神さん本日はお忙しいところありがとうございました。
――勉強になりました!ありがとうございました。
貴重なお話を聞くことが出来ました。予定では8月にセイイキの解体を行う予定です。それまでに芯材の位置を調べ、細かい解体方法を決めていきたいと思います。
3.次回【ベッドを作る】
次回のkdl2ではベッドのスタディを行います。先生の部屋にある大量の本をベッドの構造にしてしまうというアイデアです。本の規模は、
・厚さ:22㎜
・高さ:297㎜
・幅:220㎜
・数:200冊
さて、どんなベッドが出来るのでしょうか。次回は実際に本を組み立ててスタディしていきたいと思います。お楽しみに。