【iks】居場所をつくる
門脇研B4の土居亮太です。
例年、研究室のB4で行っている家具プロジェクトの報告をさせていただきます。
(色々バタバタして大変遅れました…)
もう夏休みの中盤へと差し掛かりましたが、プロジェクトの発足から現在までの流れを書き記していきたいと思います。
■0.家具プロジェクト
代々、門脇研B4で行われる家具プロジェクト。
研究室の机制作をする代、日用品を家具に転用する代、先生の部屋の改修を行った代。門脇研家具プロジェクトは様々な試みがなされてきました。
建築以下のスケールの家具を設計し、自ら施工するまでが一連の家具プロジェクトは、座学だけでは得られない、高い解像度の学びが得られます。
数年前に発足した家具プロジェクトは現在まで受け継がれ、今年は自在画室のライブラリースペースの棚と机の設計に決定しました。
■1.プロジェクトの発足
現在、ライブラリースペースの棚と机をチーム分けして設計と施工を行っていますが、最初の春の時点では、「何を作るか」が決まらず紆余曲折ありました。
研究室内の照明、共有部の廊下の机と椅子、とにかく自分らの作りたいと思う椅子。
多くの意見が交わされた後、共通概念として「研究室以外に居場所となる場所を作りたいという考え」でまとまっていきました。
そして以前から構想されていた、研究室内の本や大学所有の本を、どの研究室の学生も使える自在画室の共同書庫の棚と机を作ることに決まりました。
■2.棚と机
作る対象は決まったわけですが、いざそこからどのような棚と机を作ろうかと考えようとすると、なかなか案が浮かびません。
そこでまずは自在画室の現状のリサーチを行いながら、どのようなライブラリースペースであれば、皆が来たくなるような居場所になるかを考えました。
中で出たのが、現在の棚の案の原案である、『本の表紙の見せ方から棚を考える』ということ。
通常、本棚は背表紙が見える"背差し"と呼ばれる置き方と表紙を正面に立てかける"面陳差し"と呼ばれる置き方がされています。
そこで表紙が少しだけ見えるように、本の角度を振って並べることで、来た人がより本に興味を持ちやすくなるのではないかという議論となりました。
そして側板(棚の垂直方向を仕切る板)を徐々に回転して配置することによって、入ったときの見え方と奥にいるときの見え方が大きく異なることを分かり、今の棚の形となっています。
一方、机はライブラリースペースとしての統一感を重視しながら、度重なる検討が行われてきました。
まずこのライブラリースペースにおいて主たる要素は棚であり、そこに机を置いても場を乱さないようなものにしたいという議論が上がりました。
そこで、"机の天板"を"棚の棚板"(物を載せる水平面の板)として扱うことによって、場の統一感を獲得しつつ、薄く細長い5.5mmの板をどのように机として成立させるかという方向性に決まりました。
■3.現在の進捗
棚はデザインはほぼ決定し、あとは施工に臨むだけという状態となっています。
今はモックアップを行い、実際の作業における工程の確認や問題点の発見を探しています。
現在残る検討項は棚板の塗料と組み立て方、そして壁との固定方法が挙げられています。
これらは施工を進めながら皆で協議していく予定です。
机のモックアップも進んでおり、使用した際の横揺れの改善が大きな課題となっています。
棚同様に天板の塗料選定を現在検討中です。
■4.今後
発注した材が間もなく到着するので、届き次第直ぐに施工に取り掛かります。夏休み中は皆の予定が上手く合わないため、集まれる日に手際良く作業を進めることが重要でしょう。
完成間近ではありますが、少しずつ施工の様子を更新していきますので、次回を楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
土居