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同性パートナーとの、あたらしい「幸せ」のつくり方【2万字弱】

【本noteの対象者】
ーLGBT当事者(主にゲイ)ー
・まだパートナーは居ないが、リアルな付き合い方がわからない。
・同性の恋人がいるが、次のステップが見えない。
・現状の関係が腑に落ちずモヤモヤしている。
・交際において、自身の理想とこうあるべきという価値観のギャップに苦しんでいる。
・住まいやお金といった暮らしに関するLGBT特有のリスクやその対処法を知りたい。

ーアライやLGBTへの理解を深めたい方ー
・当事者間の関係におけるリアルな現状が知りたい。
・一当事者の価値観に触れたい。
・当事者に何かしらのアドバイスをする立場にあり、その参考としたい。

【注意点】
※筆者は男性同性愛者(ゲイ)です。LGBTの中でもゲイの視点に偏った内容である旨ご了承ください。
※本noteはエビデンスに基づき記述されているのではなく、筆者独自の価値観を読者に提案するものです。
※本noteに記載されている諸制度に関する解説ですが、筆者は専門家ではないため参考程度にご理解ください。
正確な理解や個別相談を必要とする場合、弁護士やファイナンシャルプランナー、宅建士など専門家にご相談いただくことを推奨します。

第0章 執筆のきっかけ

付き合っていた同性の元カレから「結婚を前提に付き合おう」と言われたことをキッカケに同性同士の「幸せ」って何だろうと考えるようになりました。ただ、いざジブンゴト化すると、途端にわからなくなりました。

当時の彼氏は地方の実家暮らしで、ゲイのカルチャーや考え方にあまり馴染みがなく、良い学校を出て地元の良いところに就職をし、一途で素敵なパートナーと結婚し、持ち家で老いるまで一生添い遂げるような、「普通」の生活を是としているタイプでした。

私自身はどちらかというとリベラルなほうで、パートナーの有無とか、その在り方についてそれぞれの在り方があって、何でもいいじゃんと思ってました。

結果、考え方が合わず私から別れを告げました。同性愛者が置かれている状況のみならず、常識を疑いがちな私の性格もあって、結婚という従来の型にあてはめた「幸せ」が全くもってイメージできなったからです。「結婚」という二文字が、荷が重かったのも事実です。

異性愛者/同性愛者問わず、従来の「結婚」への考え方は変わってきていると思います。ましてや、同性愛者パートナーは法制度上や子供ができないなどの理由で関係を維持する理由を相互の気持ち以外に見つけることができず、良くも悪くもフットワークが軽いのが事実だと思います。

一方で、諸外国の同性婚合法化や国内での同性パートナーシップ制度の開始など、共に寄り添い二人三脚で生活を歩める環境の整備が始まりつつあります。

本noteでは、まず現状の一般通念や置かれている環境の整理と問題提起をしています。その上で、どのような関係が想定できるか3つのモデルを提示しています。そして、一同性愛者としてあたらしい「幸せ」のつくり方を提案しています。併せて、LGBT向けの各種制度の解説も記載しておりますので、同性パートナーとの生活における疑問点もいくつか解消できるかと思います。

読者の皆さんにとっての「幸せ」について、考えるきっかけとなれば幸いです。

第1章 結婚できなければ幸せになれない?

・生涯未婚率の増加と結婚への価値観の多様化

結婚しなければ一人前と認められない、独身の管理職なんてありえない、親にも顔が立たない。疑うことなく、結婚は誰しもが迎えるライフイベントでした。

しかし、一世代前と比較し「生涯未婚率」が増えています。生涯未婚率とは、50歳まで一度も結婚したことがない人の割合を指します。

内閣府の『少子化社会対策白書』によると、中森明菜が「ミ・アモーレ」をリリースした1985年頃まで生涯未婚率は5%を切っていました。ところが2015年に男性の数字は23.4%を示しています。4.6倍近くの上昇が認められ、5人に1人の割合です。

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この数字が物語っているのは、結婚が当たり前とされた時代からのパラダイムシフト、いわばニューノーマルな世界観の到来です。

しかもこれは、同性愛者間での数字ではありません。少なくとも国内において、結婚以外が選択されている確固たる証拠です。

もちろん、「出会いがない」「経済的に厳しい」といった消極的な理由も含まれているでしょう。しかし、ある調査(※)によると、半数以上が「結婚したくないから」「仕事/プライベートが忙しいから」「わからない」という項目を結婚しない理由にあげています。
※パートナーエージェントによる2018年の調査
https://www.p-a.jp/research/report_110.html

少なくとも、結婚しなければという画一的だった価値観が多様化してきていることが読み取れます。

・法制度や社会通念上、同性婚は無理がある

我が国では、憲法第24条において婚姻の「両性の平等」が規定されています。

第二十四条
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

ここでいう「両性」とは、男性と女性であることが「夫婦」という文言から解釈されています。正確に言うと、「両性」を同性間ととすることが違憲であるという判例が無いため、弁護士や法学者などの法曹界においても、同性婚に関して合憲派と違憲派で主張が分かれています。

2020年6月、名古屋地裁で以下の判決が下されました。

「共同生活をしている同性どうしの関係を、婚姻関係と同一視するだけの社会通念が形成されていない」

同居していた同性パートナーを殺害されたにもかかわらず、犯罪被害者の遺族を対象とした給付金制度の対象と、社会通念上の理由で認められなかったのです。

各地方自治体が同性パートナーシップ制度を導入するなど、良い動きが散見されるものの、2020年時点で、有事の際に法制度は、異性間と同様に守ってくれません。否応無しに、現状の法制度の現実を突きつけられるのです。

・法的な責任が無い以上、浮気から逃れられない

結婚すると、以下の責任や義務が生じることが民法で定められています。

①どちらかの姓を改めなければならない(民法第750条)
②同居し、協力しながら共同生活しなければならない(民法第752条)
③共同生活において、生活費の分担など協力しなければならない(民法第752条)
④一方に収入がない場合、相手を養わなければならない(民法第752条)
⑤浮気や不倫は離婚原因に該当するため、してはならない(民法第770条)

法で定められているからこそ、男女の夫婦は責任の下で「過ち」を犯せないのです。

一方で、婚姻関係に無い同性パートナーはどうでしょうか。上記の責任や義務は法的に定められていません。法的にはただの友人関係といった扱いでしょうか、他で性処理をしようが愛を育もうが、泣き寝入りするしかないのが現実です。

相互でよほどの信頼関係が無い限り、持続可能な関係構築ができる仕組みになっていないのです。法的な責任が不在なのに、浮気した相手を責めることができるのでしょうか?

・浮気が自由自在なネット社会は、同性愛者(ゲイ)を完全なる孤独から解放した

そもそも一世代前は、「同業者」と出会う場所が限られていました。

『薔薇族』に代表されるゲイ雑誌の文通欄でのコミュニケーション、ハッテン場でのワンナイトラブ、新宿二丁目という限られた盛り場でのコミュニティ形成が関の山でした。

ところが、2010年代からのスマートフォンの普及が同性愛者のライフスタイルを激変させます。場所を問わずインターネットを介して誰とでも継続的に繋がれるようになりました。

ネット掲示板やSNS、出会い系アプリでセフレから友達、恋人まで作れるようになりました。東京のみならず、全国どこでも同性愛者のコミュニティにアクセスできるようになったのです。

パートナーと出会えるチャンスが増えたものの、前述の通り法的な責任を課せられていない同性愛者は、皮肉にも混沌たる無法地帯に放り込まれてしまったのです。

さて、「ピンチはチャンスなり」という名言を残した、かの経営者なら、この状況下でどうマインドセットを切り変えるのでしょうか。

「めっちゃ出会いあるし友達作れるし同世代のノンケよりリア充じゃね!!ヤれるし!笑」
このくらいのマインドセットだと、かなり楽になれるのではないでしょうか。

・一途であることは本当に素晴らしいことか?(そもそも論)

そもそも、結婚して同じ人と死ぬまで添い遂げる一夫一婦(夫)制という在り方は、現代において素晴らしいことといえるのか?

ホリエモンこと堀江貴文氏が著書『疑う力』に記した内容の抜粋記事が興味深いので紹介します。

「社会的には不要になった制度が、惰性で残ってるだけ。現代の「結婚制度」を疑え」
https://r25.jp/article/703805216695837977

そもそも結婚(一夫一妻)制度とは、産業の主体が農業だった時代につくられたものだ。

先祖伝来の田畑を「長男に相続させる」という明確なルールを徹底させなければ、別の人間に農地が譲られて土地が細分化したり、耕作放棄地(荒地)になってしまったりするから、年貢を徴収するにあたって効率が悪くなる。

放っておくとモテ男に複数の女の子が集中してしまい、非モテ男があふれるため、「一夫一妻制」をつくって、長男が必ず結婚できるようにしたのだ。

農業人口が少なくなった現代に、このような結婚制度はまったくそぐわない。社会的にはとうに不要になった制度が、惰性で残っているだけなのだ。

ヒトのみならず鳥類も、メスの繁殖活動を助けるために、特定のメスに食物の支給や保護などを働き、子孫を確実に残していく方式が取られています。
それでは、2020年代の同性愛者ってどうなんだっけという観点で考えるとどうでしょうか。

第一次産業、とりわけ農業従事者は減少傾向にあり、働く人のほとんどが第三次産業もしくは第二次産業に従事しています。都市生活者も多く、カップルが両方とも働き手として経済力をもち、しかも子孫を残さないのです。

男女においても同様、女性の社会進出が進んで両性で経済力を持ち始めてますし、キャリアのために子供を産まない選択をするカップルも増えています。

前述の通り、結婚をしないという考え方を持ち生きている人が増えてきている中、画一的な考え方に縛られ、そうではないものを否定するのではなく、多様な価値観が尊重されてもいいのではないかと思います。

一途なのが良い/悪いの話ではなく、自身の価値観とパートナーの価値観をすり合わせていく必要があるのではというのが私の主張です。

・近所から「あそこは未婚」と噂される生活の問題点は何か

同性愛者は学校などの集団生活でオカマ・オナベと自身のパーソナリティを否定されたり、普段の生活でも同性愛に関して否定的な論調を耳にすることがあると思います。

すると、周りの目を過度に気にし、自身を取り繕い、本来の自分と世間から提示されたあるべき姿とのギャップで苦しむことが多々あるのではないでしょうか。

そういった文脈から、近所や職場などで「未婚でしょ、LGBTなんじゃないの?」と思われることを恐れている方もいらっしゃるかと思います。

あたらしい「幸せ」をつくる上で、ぜひ、以下の点を大事にしていただきたいです。

①噂する誰かは、生涯を通して近い存在では必ずしも無い
②もし差別的な扱いを受けたとしても、あなたは逃げられる
③世間が求めるあなたを演じるよりも、あなたらしい人生を生きる方が圧倒的に楽

この手の問題は、身を置く地域とカルチャーを変えるだけで、問題ではなくなる可能性があります。

・地域性の問題(東京都市部 or 地方郊外)

2020年のコロナウイルス感染拡大防止を目的とした地域間移動の制限要請は記憶に新しいですが、地方を中心に県外ナンバーの車に石を投げつけられるとか、東京から来ただけで袋たたきにするだとか、一部の心無い人からの嫌がらせが各地で問題となりました。

「村八分」という言葉がありますが、地方のコミュニティにおいては、
地域の掟や秩序を破った者や、異質なものに対していじめや嫌がらせなどを通じ排除しようとする行為が散見されます。

もちろん、生まれ育って愛着もある地域、職を得た地域を簡単に捨てることはできないでしょう。しかし、いざとなったときは逃げる場所がある、ということをぜひ忘れないでいただきたいです。

とりわけ、東京など都市部のほうが良くも悪くも地方コミュニティが希薄なため、隣人の顔も名前もわからないのは当たり前ですし、近しい境遇の仲間も支援者(アライ/ALLY)もたくさんいます。LGBTフレンドリーな企業も都市部に集まっていますし、自分らしくいられる環境を自ら選択やその勇気を持つことが大切だと思います。

・カルチャーの問題

所属している職場などのカルチャーはめちゃくちゃ大事です。
考え方が旧態依然としてたり、保守的で排他的なカルチャーが浸透していると、同性愛者は目の敵にされるかもしれません。

リモートワークなんてもってのほか、営業は対面でやるべき、捺印はもちろん事務所で、未婚や同性愛者は論外。

一方で、新しい考え方を柔軟に取り入れ、尊重し、結果も残すカルチャーをもつ職場や地域もあります。リモートワークを取り入れよう、オンライン営業の時代に備え組織体や業務プロセスを見直そう、電子捺印システムを導入しよう、未婚や同性愛者も尊重し働きやすいよう制度を導入しよう…。

セクシャリティとか関係なく生きやすいカルチャーを持つ環境がきっとあるはずです。往々にして、仕事自体もやりやすく生産性も高いと思います。

第2章 様々あるパートナーとの関係の在り方

・結婚と同等の関係を築き、愛を誓う関係性

従来の男女間における関係性やその在り方が前提となるかと思います。
いわゆる「事実婚」「内縁関係」に近しいでしょうか。

〈メリット〉
・関係性にコミットした「家族」になれる
双方の意識レベルで、「家族」であることを自覚し、関係性を構築できます。日常生活を共にし、互いを尊重し、苦楽を分かち合いながら協力し合うことが求められるでしょう。

・共働きなら世帯収入が一定度見込める
働いている業界や職種、雇用形態にもよりますが、一人でいるよりも生活は安定するケースが多いのではないでしょうか。

・「同性パートナーシップ制度」の恩恵を受けられる
後述しますが、同居時の部屋探し(賃貸、住宅ローン)から保険、有事の際の処遇など、婚姻関係にある男女であれば当たり前の事柄が、同性パートナー間でも徐々に整備されており、その恩恵を受けられます。
※逆に言うとまだまだ、ぶち当たる壁があるということですが。

<デメリット>
・同性愛者の友達が作りにくくなる(遊びづらい)
パートナーとの関係も大事ですが、友達も作りたいという気持ちには応え辛いかもしれません。友達でありながらも性的対象にもなり得るので、手を出されるといった誘惑が多い傾向にあると思います。
例えば「ゲイサークルの合宿」「華金の二丁目飲み」「新規リアル」など、パートナーが参加していたら何か良からぬことがあるかもしれないと気が気でなくなるかもしれません。

・使えるお金やその使途が制限される
世帯収入が増える一方、自分が稼いだお金が自分のためのものではなくなるので、あるだけ遊びや趣味に使ってしまおうという考えでは、パートナーの不満につながる可能性があります。
住宅取得や老後の資金として、日常の生活費や食費として、万一のための貯金としてなど、お金の使い方やマネープランを二人で考えて、ルールにする必要があるかなと思います。

・自分の時間が少なくなる
互いが協力をして生活を営むためには、自分だけではなく家族に時間を使う必要があります。休日は日用品などの買い物に出たり、相互の両親に何かあれば協力が必要でしょう。もちろん、相手を思いやる時間(食事や団らん、セックスなど)も重要です。
独身時代のように趣味に明け暮れて、一日中寝て過ごすのも悪くはないですが、パートナーがどう感じるかで関係性が揺らぎかねません。

・(どちらも会社員の場合)転勤リスクが男女の場合より高い
これは双方の職種や雇用形態にもよりますが、二人が拠点が複数ある企業の会社員であった場合、転勤となる可能性があります。
もちろん一時的な場合は単身赴任など選択肢もあると思いますが、期間が長かったり、予測がつかなかったりすると、自分自身の仕事もあるため、相手に合わせて場所を移動するのは非現実的ではないでしょうか。
また、商社や外資系企業などグローバルな企業に勤めている場合、海外赴任の可能性もあり、例え永遠の愛を誓っていても、距離が関係性の維持を困難にする可能性があります。

・セックスの相手以上でも以下でもない関係性

最も賛否が分かれ、そして最もリアルな関係性ではないでしょうか。意図してなのか、せずなのか、セフレとして定期的な関係を持つ場合もあるかなと思います。

<メリット>
・複数人と手っ取り早く性処理ができる
若干ゲイ/バイ目線に寄ってる感は否めませんが、どんなセクシャリティであれ睾丸がついていれば男性ホルモンが分泌されます。特に鍛えてる方も一定数いますので、有り余る性欲をどこかで処理したいというのは自然な欲求だと思います。
複数の同性と時間と性欲が許す限り関係を持つことができますので、フリーランスの特権とも言えそうです。

・お互いに気が楽で、束縛もない
一緒に生活を共にすると、その人の嫌な部分も見えてきて、受け入れることが求められますが、セフレであれば基本的に体の関係のみなので、セックスの相性さえ良ければ特に問題は生じにくいです。
また、単にセフレであれば浮気という概念もないので連絡を取り続ける必要もありませんし、いつどこで誰と会って何をしていたか報告の義務もありません。自由です。

・代替できるのでフットワークが軽い
今住んでいる場所から転勤などの理由で離れることになっても、新たな拠点でセフレを作ればいいので身軽に移動できます。仕事にコミットしたいビジネスパーソンには理にかなった選択かもしれません。

<デメリット>
・どちらかが好きになってしまうリスク
セフレというドライで割り切った関係にもかかわらず、セックスを重ねるうちに特別な感情を持ってしまう場合もあるかと思います。「ヤリたい」から「会いたい」に気持ちが変わるなど・・・。
もちろん相互で恋愛感情が芽生えているのなら、そのまま真剣な交際に進めればいいものの、相手が「付き合うのは面倒くさい」「身体の相性は合うけどずっと一緒は嫌」「他に本命がいる」など様々な理由でマッチングしないケースが多いのではないでしょうか。

・性病感染リスクが高い
相模ゴム工業が行なった2013年の調査(n=14,100)によると、経験人数は男女別平均で男性11.1人/女性5.1人だそうです。
https://www.sagami-gomu.co.jp/project/nipponnosex/experience_sex.html
とりわけゲイ/バイからすると、「少ない」という印象を受けるのではないでしょうか。ただでさえセックスのハードルが低いなかで、本命を持たずセフレのみの関係の場合、不特定多数との、場合によってはコンドームを使わないケースも想定され、相手から貰うことや、自分が感染させてしまうリスクの高さが懸念されます。
※もちろん本命がいれば、セックスの相手を限定してゴムも使うだろうという性善説的な考え方もありますが、こればかりはどこで貰うかわかりません。

・関係の持続可能性と、年齢を重ねたときの相手の見つけやすさは疑問が残る
メリットに書いた「代替」の裏返しとして、簡単に関係を切られたり、乗り換えられたりする可能性が大いにあるということです。
また、若いうち(20代・30代)はそれなりに需要もあり相手も見つかりやすいかもしれませんが、年齢を重ねるごとに選択肢は狭まることが想定できます。(特に、好みのタイプが若い人であった場合とか)

・互いを「相棒」として捉えそれぞれの人生を楽しむ関係性

いわゆる「オープン・リレーションシップ」に近しいでしょうか。
ちなみにオープン・リレーションシップとは、共同生活など結婚に準じる相手がいながら、お互い同意の上で他の相手とデートやセックスをOKとする関係性のことです。
※肌感覚ですがこれに近しい関係性のカップルは長続きしている気はします。

前の文章にて「一夫一妻制」へのアンチテーゼのような観点を取り上げましたが、この関係であれば生物学的に、子孫を多く残しつつ(実際には残らないが)共同生活により生活を安定させることができるので、かなり合理的な選択肢と言えるでしょう。

<メリット>
・関係が続きやすい
男女間においても、浮気や不倫など他の異性との関係を理由として関係が終わってしまうケースがあると思います。ですが、この関係の場合は容認されていますから、破局における直接の理由になりにくいと言えます。
ちなみに裁判所の司法統計(平成29年)が示す離婚原因を見ると、男女どちらもトップ5に「異性関係」がランクインしています。

・自分の気持ちに嘘つかず、素直でいられる
一般的な恋愛・婚姻関係にある場合、浮気や不倫といった概念が成立するので、例え他に気になる人ができたり他で性的な魅力を感じた場合、その感情を押し潰す場面もあるかと思います。言ってしまえば、自分自身に嘘をついている状態です。ですが、この関係の場合このような感情を容認されますから、ある意味でいえば誠実でいられるとも考えられます。

・後ろめたさなく出会えるので、友人含め人脈を広げられる
この関係の場合、いつどこで誰と会おうがある程度自由ですから、二丁目など盛り場に行くのもよし、アプリで新しい人と出会うのもよし、セックスから転じて友人関係を広げるもの可能といえます。
「相棒」とそれぞれの直近のセックスエピソードで話に花を咲かせることもあるかもしれません。

<デメリット>
・どちらかが耐えられなくなり、関係が破綻する可能性
双方の合意が前提となりますが、途中で「やっぱ無理」と耐えられなくなる可能性もあります。例えば、どうしても嫉妬してしまうだとか、心のどこかで相手に執着してしまうとか。
逆に、他の人とのセックスを通じ、他の人に気持ちが移ってしまう可能性もあります。

・周囲から理解が得られるとは限らない
男女間や同性同士を含めて、なかなか浸透していない考え方なのは事実だと思います。芸能人の不倫ネタがワイドショーを賑わせ、あることないこと誹謗中傷をSNSに書き込まれるのは日常的な光景になっています。いくら自分たちが合意しても、外野から「けしからん」「不埒」と思われるかもしれません。まあ、気にしなければ良いだけの話ですが。

第3章 あたらしい「幸せ」のつくり方とは?

・二人の「納得」が最優先

第2章では3つの関係性を例示しましたが、最も重要なことは以下だと思います。

①自分がどのような関係性を望むのか、可能な限り考えを整理する。
②交際前に自らの考えを伝える。その時点であまりにも合わない場合はお互いのために距離を置く。
③双方が納得し、合意を形成する。それをベースにルールを明文化する。

①自分がどのような関係性を望むのか、可能な限り考えを整理する。
今の時点でどういう関係性を望むのかを整理しましょう。
セックスだけを求めてるのか、特定の人に腰を据えたいのか、複数人を同じように愛したいのかなど。
※もちろん、時間を経て考えを変えるのは有りです。20代と30代では全然違うでしょうし。

②交際前に自らの考えを伝える。その時点であまりにも合わない場合はお互いのために距離を置く。
いわゆる浮気性のAさんといわゆる超一途なBさんが付き合っても悲劇しか生まないでしょう。アプリで「何目的か」「ポジションはどっちか」を明記し、相手のも確認するように、自分がどういうスタンスなのか、ある程度はハッキリさせ、相手にも伝えましょう。

③双方が納得し、合意を形成する。それをベースにルールを明文化する。
お互いの考え方をぶつけ合ってみると良いと思います。その中で、相容れないものが出てくれば、折衷案を考えるなど事前にできるはずです。例えば、他の人とセックスするときは必ずコンドームを着けてほしいとか、新規リアルはOKだけど事後報告制にするなど、柔軟にカスタマイズすると良いと思います。

もちろん双方の合意のもとなら、途中でルールを変えるのは有り、というより推奨します。お互いの気持ちも外部環境も変化しますし、二人にとってより良い選択肢があればトライアンドエラーで試し、改善し、アップデートしてく姿勢が求められるでしょう。

・寝室は別でもいい、住む場所が違くても構わない

世間の通念がとか、こうあるべきだからと固くならず、二人の「納得」の近道になるのであれば常識やぶりな選択も有りです。それが、あたらしい「幸せ」のつくり方であると筆者は考えます。

例えば、一緒に住むとしても寝室は一緒であるべき、ではないかなと。
リモートワークが進んで書斎が必要になったので2LDKの物件を借りて
交際関係にあるけど一緒に共同生活までは疲れてしまうかもしれませんし、別に書斎は必要じゃないけど単にイビキがうるさいとかデカい男二人が快適に寝れる大きさのベッドが置けないとか。

そもそも住む場所も同じマンションの別の号室にしようとか、歩いて行ける別のアパートに住もうとかも有りです。交際関係にあるけど一緒に共同生活までは疲れてしまうかもしれませんし、関係がずっと続く保証もないけど不動産を資産として形成したいのでそれぞれが名義を別にしてそれぞれそこに住むなど考えがあるかなと思います。
もちろんこの場合、片方の購入マンションを交際期間中は賃貸に出して同居するのも有りですが。

・寂しいかもだけど、永遠に続くなんて思わないことも大事

付き合い始めたのころは特に、この関係が永遠に続けばいいのにと思う方もいらっしゃると思います。男女間の婚姻関係においても、離婚を前提としない婚約が当たり前です。

しかし前述の通り、結婚に対する価値観が多様化しており、ましてや同性カップルにおいては、関係の持続可能性を強固にする仕組みは現状ありません。就職と同様、結婚においても「終身雇用制」は当たり前ではなくなってくると考えています。

何よりずっと続くと思うと、いざ関係にピリオドを打たなければならない時が来たとき、もし終わったらというif対策ができませんし、メンタル面でキツいのではと思います。

コロナのような社会情勢や法制度の改定、経済面、相手の気持ちなどの自らコントロールできない不確実性(関係の終焉リスク)に備え、何がどうきても対処できるよう、まずは自らコントロールできる範疇でとれる行動を最大限、悔いのないよう行うことが大事だと考えます。

・現状ある制度をフル活用する

◆同性パートナーシップ証明制度

2015年から渋谷区と世田谷区で始まり、徐々に賛同する自治体が出てきている「大きな一歩」とも言える制度です。

同性パートナーシップ証明制度とは、地方自治体が同性間のパートナーシップが婚姻と同等であると承認し、自治体独自の証明書を発行する制度のことです。

本制度により証明書の発行を受けることで、後述するLGBT向け住宅ローンサービスが利用できたり、地方自治体が運営する区営住宅等で同居が保証されるなどの施策を受けられる可能性があります。
※住民票を置く地方自治体が、同性間の関係を「認めてくれる」ことが本制度の肝です。

証明する主体が国ではなく地方自治体のため、法制度上などできることが限られてくる点と、各地方自治体に本制度を創設する義務は無いため、あくまでも懇意や方針などを理由として独自で行っており、本制度が利用できる市町村が限られてくる点は注意したい点です(まだまだ本当にごく一部のみです)。また、本制度の内容自体も各地方自治体の独自のものなので、施策が具体的である場合と、あくまでも「宣誓」のみであり具体的な施策が無い場合もあります。
※更にいうと、渋谷区のように区内では法的拘束力がある「条例」で定められている場合と、世田谷区のように法的拘束力がない「要項」(マニュアルのようなもの)で定めらている場合があり、その内容には大きなバラつきがあるのも事実です。

ちなみに2020年時点で本制度が利用可能な東京23区自治体は以下の通りです。

渋谷区世田谷区中野区豊島区江戸川区港区文京区(施行年順)
※およそ1/3のみ施行してますね・・・まさかの新宿区が無いとは・・・

また、政令指定都市だと以下が該当します。

<政令指定都市におけるパートナーシップ制度導入済み自治体一覧>
札幌市福岡市大阪市千葉市堺市北九州市横浜市相模原市さいたま市新潟市浜松市(施行年順)

併せて、大阪府と茨城県は府県単位で施行しているので、全域対応してます。自治体ごとの本制度有無やその内容を知り、二人で住む場所(住民票を置く地方自治体)を決める際に参考にできると良いと思います。

◆LGBT向け住まい探し/住宅ローン

パートナーと生活を共にする場合、その住居をどうするのかという話が出てくるかと思います。関係の在り方やフェーズによって、賃貸物件を借りて同居をする、家を買うという選択肢があると思いますので、賃貸で物件を探す観点と、住宅ローンを組んで家を買う観点という2つの視点で簡単に解説します。

○賃貸物件の住まい探し

①同居するための物件条件は何か
同性同士で一緒の部屋に居住する場合、当然大家さんにその旨を伝える必要がある(バレると途中退去とか言われる場合がある)ので、「ルームシェア可能物件」「LGBTフレンドリー物件」を選択する必要があります。が、結論からいってこれらに該当する物件はかなり少ないです。その他も各々で希望する条件(「○○線沿線」「駅○分以内」「オートロック付き」)があると思いますが、これらも併せて満たすとなるとかなり絞られてきます。

②お部屋探しにおけるLGBT特有の問題点
そもそもなぜルームシェア物件が少ないのか(言い換えると大家さんが嫌がるのか)というと、以下のリスクを懸念しているからです。

・生活トラブルでのリスク

友人同士の入居と仮定して、特に男性同士だと他の男友達を呼んでどんちゃん騒ぎをするかもしれないと思われます。共同住宅というアパートやマンションの特性上、他の世帯に迷惑がかかるリスクはなるべく排除したいのです。

・無断入れ替えのリスク
一般的に賃料負担は折半かと思いますが、何らかの理由で片割れが退去するとなると、残った方の賃料負担が重くなるので、別の入居者を勝手に住まわせようとする傾向があります。途中から来た別の入居者は契約時に入居ルールやマナーの説明を受けていないので、トラブルや何らかの問題を起こすのではというリスクを懸念しています。
※よくある例だと、部屋の中で喫煙、夜中の騒音、ゴミ出しがいい加減など

・家賃未納滞納のリスク
上記の無断入れ替えのリスクにも繋がりますが、仮に片割れが出ていった場合、残った方の家賃負担が2倍になるため、支払いがキツくなり家賃を滞納するのではという懸念もあります。ただこの点、血の繋がりがある兄弟や従兄弟などであれば、他人(単なる友人)よりもその辺いい加減じゃないだろうという理由で若干審査が通りやすい傾向があるそうです。

※余談ですが知り合いの同居ゲイカップルにどうやって物件見つけたのか聞いたら、ルームシェアOKのところで「遠い親戚なんです」と伝えたら信じてもらえ、審査通ったと言ってました。言ったもん勝ち感あるエピソードですが、バレたらめんどくさいのであまりおすすめはしません。

物件選びは不動産仲介会社→不動産管理会社→大家さんという流れでバトンが移るわけですが、上記のリスクを熟知している不動産仲介会社が、不動産管理会社や(管理会社も兼ねている場合は)大家さんに交渉する前にNGを出すケースもあります。また、上記はLGBTを考慮しないリスクであり、もし正々堂々、カップルなので同居させてくださいと申告する場合、ただ理解が無いとか差別的な理由で門前払いされてしまう可能性も否定できません。

ということは、入口の不動産仲介会社を味方につけられるかが重要なファーストステップとなるのです。

③SUUMOや理解ある不動産仲介会社を利用する

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リクルート住まいカンパニー社が運営する物件情報サイトの「SUUMO」では、物件ごとに「LGBTフレンドリー」という条件項目を設けており、それに該当する全国の物件を抽出することが可能です。

SUUMOでは「LGBTフレンドリー」な物件を、「『LGBTであることを理由として、 入居の相談や入居自体をお断りすることはない』と、積極的に意思表示する物件です。」と定義付けています。

尚、以下リンクからアクセス可能です。
https://suumo.jp/edit/lgbt/

また、LGBTをターゲットとした不動産仲介サービスを行う事業者も存在します。営業担当がアライもしくはLGBT当事者なので、包み隠さず安心して相談しやすいのではと思いますし、LGBT系の案件を数多くこなしているので、大家さんへの交渉ノウハウも持ち合わせている可能性があります。以下サイトにて具体的な事業者名が掲載ありますので、参考にしてください。

LGBTフレンドリーな不動産屋 9選 - JobRainbow MAGAZINE(2018/3/14)
https://jobrainbow.jp/magazine/lgbtfudousan

○住宅ローンを組んで家を買う
ある程度関係が成熟して、二人の家がほしいとなった際に検討するのが住宅ローンかと思います。ただ、従来の住宅ローンの場合、婚姻届を出した男女夫婦のみしか適用できない以下2つの制度があり、同性パートナーの住宅購入においてネックの一つとなっていました。

①「収入合算」を適用した住宅ローン申請
住宅ローンを申し込む債務者(片方のみ)の収入に、パートナーの収入も合算してローンを借りる方法です。世帯収入が高いほうが、借入可能額も高まるので、一人のみの収入換算に比べて好立地、充実した住宅設備、広い面積など条件のよい家に住むことができるといえます。
※この場合、住宅ローンの借り入れは片方だけで、もう片方は連帯保証人の扱いとなります。債務者は片方のみになるので、家は債務者のみが所有するかたちとなります。

②「ペアローン」を適用した住宅ローン申請
2人どちらも債務者として住宅ローンを組む方法です。住宅ローンの契約自体がそれぞれ(2本立て)となります。世帯収入が高いほうが借入可能額も高まるので、一人のみの収入換算に比べて好立地、充実した住宅設備、広い面積など条件の良い家に住むことができるといえます。
※この場合、住宅ローンの借り入れは片方だけで、もう片方は連帯保証人の扱いとなります。債務者は片方のみになるので、家は債務者のみが所有するかたちとなります。この場合、ローン負担額に応じて共有持分(例:片方が6/10、もう片方が4/10)を決めます。

この制度が利用できない状況の救世主となったのが、「LGBT向け住宅ローン」です。法的な婚姻関係が認められなくても、以下の手続きを行えば「収入合算」「ペアローン」にてローンが組めるようになりました。

○「任意後見契約および合意契約に係る公正証書、任意後見契約に係る登記事項証明書」を提出する

「任意後見契約」とは、認知症や不慮の事故などを理由に自分の判断能力が低下したときに備え、財産(家とか)の管理や契約の代理を、どの信頼できるパートナーに対し後見するかを指定する(後は頼んだとバトンを渡すこと)契約のことです。

「合意契約」とは、二人は愛情を持って寄り添う真面目な関係であることと、共同生活においてお互いに責任を持って協力し、そのために必要な費用を分担する義務を負うことを合意したとする契約のことです。

「公正証書」とは、公証人(法律のプロかつ中立的な立場の人)が当事者(自分とパートナー)の合意の基で作る契約書等のことで、法的に強い力(契約内容の執行力、証明力)を持ち、原本は役場で厳重に保存されるので紛失や偽造を防げる安心安全のすげえやつだと思ってください。今回の場合、「任意後見契約」と「合意契約」に関して公正証書を作成することで役場のお墨付きをもらいます。

「登記事項証明書」とは、「任意後見契約」に関する契約内容等を書面をもって証明するための正式な書類のことです。

↑小難しい専門用語ですが、二人の生活のためには覚えたほうが得というか絶対役に立ちます。

また、楽天銀行の住宅ローンであれば、SUUMOカウンター窓口経由かつ団信(保険)に加入することを条件として、証明書無しで「収入合算」適用して住宅ローンを組むことができます。
※一部の金融機関の場合、渋谷区に限りパートナー証明書の提出のみで手続き可能です。
※地銀を中心に、各地方自治体が発行する「パートナーシップ宣誓書受領証」の提出で手続き可能なケースもあります。

◆LGBT向け生命保険(死亡保険)

生命保険(死亡保険)とは、保険加入者である被保険者が亡くなったときに「戸籍上の配偶者、または二等親以内の血族」に対し保険金が支払われる保険のことです。遺された家族の生活をお金で保障することができ、愛していた家族に送るラストラブレターであるとも言われています。

ただ、LGBT特有の問題として、パートナーにとっての「戸籍上の配偶者」になれないため、保険金が受け取れないという大きな問題がありました。
※遺された側は受け取れず、代わりにパートナーの親族に保険金が支払われます。

そんな中、世の中のLGBTフレンドリーな波を受け、保険受取人に同性パートナーを指定することができる生命保険が各社から登場しています。例えば、ライフネット生命アクサ生命オリックス生命などでは同性パートナーを受取人として指定ができます。

契約に必要な書類ですが、ライフネット生命の場合以下の書類が必要になります。

・住民票(同居の事実が確認するため)
・ライフネット生命指定のパートナー関係を確認する書面
 (指定の書面に記入/捺印のみでOK)

また、各保険会社によって対応は異なりますが、上記の各種公正証書の提出を求められる場合もあるようです。

注意点としては、年末調整や確定申告時に受けられる「生命保険料控除」は、受取人が同性パートナーの場合受けられません。また、死亡保険金の相続税控除も同性パートナーの場合は受けられません。(全額課税対象)
※民間の提供サービスは社会情勢に合わせられても、国が定める税制に関しては対応が変わらないのでまだまだ道のりは長そうです、、、

◆LGBT向け福利厚生制度

民間企業を中心に、LGBT社員を支援する社内制度を整備するケースが段々増えています。よくあるのが、社内規則上の「配偶者」を同性パートナーまで広げ、元々その企業で「配偶者」がいることで提供していた福利厚生などの制度の恩恵を受けることができるものです。例えば、結婚祝い金支給や、パートナーの家族による介護休暇・慶弔金や休暇の付与です。

このようなLGBTフレンドリーな制度の導入企業ですが、名だたる大手企業が多く、日本IBM楽天ソフトバンク日産自動車ソニーKDDI日本マイクロソフト積水ハウスなどあげられます。心なしかIT企業や外資系が多い気はしますが、可能な限りこのような企業への入社を選ぶ動きも検討できそうです。
※正直、会社にバレるとも考えられるし当事者社員がどこまで利用してるんだろうという疑問はありますが。

・同性パートナーの暮らしにおける懸念点は何で、どこまで対処できるのかの考察

◆同居中の同性パートナーがコロナウイルスに感染し、自身が濃厚接触者となったときにパートナーや自身のプライバシーをどこまで守れるか。
もしパートナーが感染した場合は濃厚接触者の判定を行う必要があり、誰と生活しているかについて、感染症法第15条で報告の必要性が定められています(努力義務)。また、企業などの所属組織にも何かしらの報告が求められる場合があり、強制的なカミングアウトや、意図しないアウティングのリスクが否定できません。
※ただの同居人と言えばいいのか、食事だけでセックスはしてないと報告するのか、LGBTにとってコロナは脅威となりそうですね。

この場合の対処法として、徹底するなら一時的に生活空間を分けるとか、報告内容を調整するとかが考えられそうです。

◆パートナーに万一のことがあったとき、隣に立ち会えるか
例えば病気を患ったとか、それこそコロナに感染してパートナーが入院した場合、家族として扱われず、病院から適切な情報開示を受けられない可能性があります。また、容体が急変した場合、最期の瞬間にすら立ち会えない可能性も否定できません。

この場合の対処法として、渋谷区などの理解ある地方自治体に住みなるべく理解のある病院での診療を受けることや、常日頃からパートナーの家族ともコミュニケーションを取り協力関係を築くなどが想定できます。
※病床数に限りがあり病院を選べない、家族には同性パートナーとの関係を黙っていたい場合もあり、一筋縄ではいかなそうですね。

◆パートナーが亡くなった場合、財産を相続できるのか
男女間のように「法定上の配偶者」と認められる場合、その配偶者は「法定相続人」として一定額の財産を受け取る権利が認められます。しかし、同性パートナーの場合は「法定相続人」として認められないので、例えば一緒に住んでいた家の名義が相手であった場合で、かつ、団信(生命保険)に加入していてローンがチャラになった場合、その財産はパートナーの親族に相続されます。(つまり同性パートナには相続権が無い)

この場合の対処法として、①パートナーに遺産を残すことを明記した遺言書を作成する、②「養子縁組」制度を活用し年上パートナーが年下パートナーを養子にしてしまい、実の親子と同等の扱いを受ける、の2つが想定できます。ただ①の場合は、向こうの親族に遺留分請求権(時効は10年)が発生し、親の場合は1/3の相続分を請求できてしまいます。遺言書に優先されるため、本人の意思が100%尊重されない可能性があります。その点②の場合、「法定相続人」として認められますし、税制上のメリットも享受できます。

※一見、養子縁組いいじゃんって思うかもですが、「パートナー」ではなく「親子」扱いなので関係の解消が大変かもというデメリットがあります。この場合「離縁」という手続きを行いますが、もし片方のパートナーしか離縁を望んでない場合は、裁判での判断となる可能性があります。対して、パートナーシップ制度の場合は片方が一人で証明書の返却を行えば簡単に解消できます。この他注意事項があるので、もう少し知りたい方は下記リンクをご参照ください。

同性パートナーの相続と養子縁組 その効力と注意点 - 相続会議 (2020/04/04)
https://souzoku.asahi.com/article/13265834

あとがき

noteにしては長文でしたが、ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。

私は東京に住むしがない会社員で、ゲイ業界に足を突っ込み6年目になります。とはいえ二丁目に通っているわけでもなく、数少ない友達とたまに会って飲んだり出かけたり、まあ細々とゲイライフを送っています。

まだ20代なので、結婚とか生涯のパートナーとかイメージしにくかったのですが、この業界はセクシャリティのみならず価値観もかなり多様化していて、恋愛とかそういうのに対する考え方がてんでばらばらで。

ノンケもちょうど、結婚相手となる人と出会うのが20代前半とかザラにいて、誰かと付き合うにしても自分のスタンスとか真剣に考えないとなーっと、自分なりに言語化したのがこのnoteかなと思ってます。

自分以外にもどこかで違和感を感じて、みんなどうしてるんだろーとか、どう考えてるんだろーって思ってる人いるんじゃないかなって。

法律や制度の話も、書きながら勉強していたのですが、調べるほど同性愛者向けに設計されてなくて、UXクソすぎやろって驚愕しました。

そんな中でも、少しずつLGBT向けにリストラクチャリングされている動きが草の根レベルでも起きつつあるんだなってことを知れたのは素直に嬉しかったですが。

それでもどうにもならないことは、当事者側がフレキシブルに考えて、適宜ピボッドもできたほうが、単純に楽だなと思いました。

これからも、自分の中で「幸せ」の見つけ方をアップデートしていけたらと思います。

最後に、サポートください!励みになります。(クソ乞食)


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