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自社株を対価とした知財の取得を法務局が検討しているらしいけど、これって必要?

2024年8月13日の日経新聞によれば、法務省が2024年度にも自社株と知的財産権を交換する際の規制緩和の協議に入るようです。

自社株を対価とする財産の取得が現物出資(金銭以外の財産の出資)に該当する場合、原則として裁判所に検査役の選任の申し立てをし、現物出資財産の価格を検査役に検査させる必要があります。

ちなみに、現物出資の対象となる財産は、動産、不動産、有価証券、知的財産権、のれん、金銭債権、その他(事業など)であり、知財は対象財産です。

検査役検査を省略できるのは、以下の5つです。

1.引受人に割り当てる株式の総数が、直前の発行済株式総数の10分の1以下である場合

2.現物出資財産につき、設立時定款又は募集株式発行の募集事項の決定の際に定められた価額の総額が500万円以下である場合

3.市場価格のある有価証券につき募集事項の決定の際に定められた価額の総額が、①その決定日における最終市場価格(決定日に取引がない場合等にあっては、その後最初にされた売買取引の成立価格)又は、②公開買付等に係る契約における価格のうちいずれか高い額以下である場合

4.現物出資財産につき、設立時定款又は募集株式発行の募集事項の決定の際に定められた価額が相当であることについて、弁護士、公認会計士、税理士等の証明(不動産については、更に不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合

5.会社に対する弁済期到来済みの金銭債権につき募集事項の決定の際に定められた価額が、会社における負債の帳簿価額以下である場合

上記の1や2に該当する場合は不要で、3は取引所の株価があるため不要です。
不動産や非上場株式は4で第三者の評価書を取得します。

今回の知財の検査役検査の緩和はスタートアップに配慮したものです。
ただ、知財価格を適正に評価しないと時価以上の出資が行われる架空増資のリスクがあります。
知財価格の適正評価の観点からは4の第三者評価の方がよいと思います。

自社株を対価とした知財の取得を法務局が検討しているらしいけど、これって必要なのでしょうか?


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