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不動産投資の特徴:固定資産税の費用化の時期によって業績がブレる(その2)

固定資産税の会計処理はちょっと特徴的で費用化の時期によって損益がブレます。
特に、J-REITや私募不動産ファンドは、固定資産税の費用化の時期によって決算数値に大きな影響がでます。
 
ということで、今回は固定資産税の費用化について、解説しようと思います。

2.  固定資産税が決算に与えるインパクト


 固定資産税(および都市計画税)の費用化の時期は不動産ファンドの業績に影響を与えます。具体的にどれくらいインパクトがあるのかを事例を通して見てみましょう。
 
J-REITは一般的に上場時にまとめて不動産を取得します。なので、上場したJ-REITの初年度に取得価額に参入した固定資産税等の額を分かれば、J-REITの固定資産税等のインパクトがどれくらいあるのかが分かります。
 
直近に適当な事例がなかったので、少し古い事例で説明します。
図表2は2016年8月2日に上場したJ-REITの三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の業績予想です。
 
【図表2:三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の業績予想(単位:百万円)】

※発行済投資口数224,000口=X、公募価格270,000円=Yとしています。
 
まず、違和感を持つ人がいると思うので説明すると、J-REITの会計期間は6カ月です。一般的な上場企業のように1年ではありません。だから、図表2の1期と2期の間が6カ月になっています。
※ジャパン・ホテル・リート投資法人だけ会計期間が1年で、他のJ-REITは全て6カ月です。
 
さて、第1期、第2期の利益は図表2です。
1口当りの当期利益は第1期4,304円、第2期4,549円です。公募価格270,000円から投資利回り(利益ベース)を計算すると、第1期は3.2%(4,304円÷270,000円×2)、第2期は3.4%(4,549円÷270,000円×2)です。
※6カ月決算なので投資利回りは年率にしています。
 
物流リートは設備投資が少ないため、当期利益に利益超過分配(減価償却費などの非現金支出費用を分配すること)を加えて分配金とします。
利益超過分配を行なわない場合は1口当りの当期利益が分配金です。
 
第2期は固定資産税等として248百万円が計上されています。これは2017年度の6月分支払の固定資産税等が計上されたものなので、6か月分の固定資産税等は496百万円、年間の固定資産税等は992百万円です。
※固定資産税等の248百万円の中には未払分が含まれている(6カ月分が計上されている)かもしれませんが、説明のためにこのような前提にしています。
 
第1期においては、固定資産税等の全額が取得価格に含まれています。
本来であれば、第1期には6か月分の固定資産税等496百万円が計上されていないといけません。第2期には3か月分の固定資産税等が計上されているため、あと3か月分の固定資産税等248百万円の計上が必要です。
第1期、第2期の固定資産税等の補正を行ったものが図表3です。
公募価格270,000円から利回り(利益ベース)を計算すると、第1期は1.5%(2,089円÷270,000円×2)、第2期は2.5%(3,442÷270,000円×2)です。
 
【図表3:固定資産税費用化後の業績予想(単位:百万円)】

※上表は説明の都合上、第2期の固定資産税等計上額248百万円が3か月分であるものとして計算しています。実際の数値とは異なる可能性がありますので、ご了承ください。

固定資産税等の費用化前の利回りと比較すると、第1期は3.2%→1.5%なので1.6%減少します。第2期は3.4%→2.5%なので0.8%減少です。
それなりにインパクトは大きいですよね?
 
このように、不動産は固定資産税等の費用処理のタイミングで計算上の利回りが違ってきます。
固定資産税等がいつ費用化されるかについて、留意が必要ですね。


 
今回は不動産投資における固定資産税等について説明をしました。
第1回はこちらをご覧ください。

 
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【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

【金融マンのための実践ファイナンス講座】


【図解 不動産ファイナンスのしくみ】

 

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