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グロス利回りで不動産投資するのはやめた方がいい(その3)

不動産価格が高騰し、不動産の投資利回りが低下しています。「いつ買えばいいのか?」、「不動産価格は下がるのか?」と思っている人も多いでしょう。私は「早く不動産価格が下がってほしいなー」と思っています。
 
中国から退避した資金が日本の不動産に向かいました。利上げによって評価損が膨らむ欧米系ファンドが益出しのために日本の不動産を売却するケースも増えてきました。
日本は「もう少し下がったら買おう」と待機中です。
このような状況では、不動産価格が下がるのはまだまだ先になりそうです。
 
さて、投資用不動産は安定的な物件利回りが投資の目的です。日本においてはキャピタルゲインを狙う不動産投資よりもインカムゲイン重視の不動産投資が多いでしょう。
つまり、安定的な物件利回りが確保できない不動産には所有する価値がありません。
今回は不動産の物件利回りについて書いてみようと思います。
なお、この記事は不動産投資初心者向けに書いています。詳しい人は読み飛ばして下さい。

4.不動産の収益は継続しない

 
不動産投資の特徴は築年数によって賃料が下がることです。経年劣化などが理由です。
プロ投資家が保有する都心のオフィスビルではありませんから、個人投資家が不動産投資をした時点の賃料を維持できると思ってはいけません。
 
レジデンスの場合、新築からの賃料下落率は約1%程度と言われています。20年で約20%賃料が落ちるイメージです。
 
経過年数によって物件利回りがどのよう変化するかを計算してみましょう。
ここでは、3つのタイプの不動産に投資したとします。
 
1つ目は「①実需で新築を取得した場合(当初利回り:3%)」です。マイホームで購入した物件を賃貸に出したと考えて下さい。当初の物件利回りを3%とします。
 
次に、「②投資用マンションを新築で取得した場合(当初利回り:5%)」です。物件利回りは実需物件よりも高く、当初の物件利回りを5%とします。
 
最後に、「③築10年程度の投資用マンションを取得した場合(当初利回り:7%)」です。中古マンションなので新築物件よりも物件利回りは高く、当初の物件利回りを7%とします。
 
これらを投資期間に応じて利回りを計算したのが下図です。
投資期間を40年間とすると、投資期間の運用による収入総額(現在価値ではない)は、①は約100%、②は約170%、③は約190%です。
中古マンションの賃料低下は新築物件ほどではありませんから、投資効率は良いといえるでしょう。
 
【物件タイプごとの利回り】

※簡便的に計算するために利回りが年率1%低下するものとして計算しています。

不動産の物件利回りは投資する物件のタイプによります。
築年数、エリアなどを選定して投資を検討する必要があるでしょう。

さらに、不動産は経年劣化があるため定期的な修繕が必要です。不動産所得には税金(所得税など)が掛かります。

不動産に投資する際には、将来発生するコストを正しく見積もって判断する必要がありますね。 
その際には、グロス利回り(賃料利回り)ではなく、ネット利回りで投資判断して下さい。

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<過去記事はこちら>


なお、不動産の投資利回りについて詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。



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