基準地価で地方の地価上昇は32年ぶり。でも、下がってるところもチラホラと……
2024年9月17日、国土交通省は2024年の基準地価を公表しました。
全国平均で基準地価は1.4%上昇し、住宅地は0.9%、商業地は2.4%と商業地が好調です。
地方圏の地価上昇は32年ぶりのようです。全用途が0.4%、住宅地0.1%、商業地0.9%です。都市部に比べると上昇率は低いです。
今回は基準地価について説明します。
1.基準地価の変動
全国商業地の基準価格トップは銀座二丁目の明治屋銀座ビルでした。
今回は都道府県の比較を掲載します。
商業地の基準地価の上昇率が高い都道府県は以下の通りです。
【図表1-1:商業地の基準地価の上昇率が高い都道府県】
大阪は再開発が寄与しているようです。名古屋も再開発により地価は上昇しているものの、三大都市圏の中では見劣りします。
地方圏で上昇率が高いのは、福岡です。福岡市は住宅地が9.5%、商業地が13.7%上昇し、全体を引き上げています。
TSMCが進出した熊本県は、大津町などで商業地が30%を超えているものの、影響は限定的です。
沖縄は住民の平均年齢が低いので、住宅地が安定的に上がり続けています。
次に、商業地の基準地価が下落している都道府県は以下の通りです。
【図表1-2:商業地の基準地価が下落している都道府県】
東北、四国は商業地の基準地価が下落している都道府県が多いです。
九州では福岡が好調なのに、鹿児島県がダントツに低いです。鹿児島県だけが一人負けしているのはなぜでしょうね? 土地勘がないので、私には分かりません。
2.基準地価、公示地価、路線価の違い
基準地価、公示地価や路線価のニュースを目にすると思います。
混乱する人もいると思いますから、ここでは違いを説明します。
土地の価格として政府・地方自治体等が公表しているものには、地価公示による公示価格、国土利用計画法による基準地価、相続税における相続税路線価、固定資産税路線価があります。
基準地価とは都道府県が実施している7月1日時点の土地の標準価格のことです。公示地価(地価公示)は国土交通省が公表する毎年1月1日時点の土地の標準価格です。
土地価格の基準値を公表する、という意味では基準地価と公示地価は同じです。計算方法も同じですが、価格時点(1月1日または7月1日)と公表する主体(国土交通省、都道府県)が違います。
公示地価と基準地価は土地売買の目安として公表されているものなので、ほぼ同じと考えてもらってもいいでしょう。
似たような土地価格として、路線価があります。路線価は税金を計算するための価格です。
路線価は二種類あって、相続税路線価と固定資産税路線価は、税金の計算に使う不動産価格です。
具体的には、相続税路線価で求める相続税評価額を使って、相続税や贈与税を計算します。
固定資産税路線価で求める固定資産税評価額を使って、固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税を計算します。
なお、相続税路線価は公示価格の80%程度、固定資産税路線価は公示価格の70%程度です。
相続税路線価は毎年更新されます。固定資産税路線価は3年に1度しか更新されません。
基準地価、公示地価、路線価(相続税路線価、固定資産税路線価)の価格を比較したのが以下です。
【図表2:基準地価、公示地価、路線価の比較】
基準地価=公示地価と考えてもらって、支障ないと思います。
路線価は基準地価などの80%・70%の水準になっています。
今回は基準価格について説明しました。
土地には似たような価格があってややこしいので、参考になれば幸いです。
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