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公的年金制度の財政検証が疑問視されているけど、老後資金問題を解決するにはどうするべき?

7月3日、厚生労働省は公的年金制度の中長期的な見直しを示す「財政検証」の結果を公表しました。これは「年金制度は破綻しません!」という結果ありきの検証なので、信憑性はイマイチなのでしょう。

年金制度が今後破綻しないかどうかは分かりません。ただ、もしもに備えて老後資金を確保しておいた方がいいですね。
 
5年ほど前に「老後資金に2,000万円必要」という報告書が公表され、話題になりました。当時は連日、国会で議論が行われ、マスコミは「老後2,000万円問題」を放送していたような気がします。
 
この報告書は、「モデル世帯における収入よりも支出が月5.5万円多くなるため、トータルで2,000万円の金融資産を保有しておく必要がある」ことを述べたものでした。
現在の年金受給額の平均月額は約14.5万円ですから、月の生活費20万円を確保するためには2,000万円必要という趣旨の報告書です。
 
老後資金として確保した2,000万円を年利5%で運用すれば年間100万円、月8.3万円入ってきます。
月5.5万円必要なのであれば、2,000万円も必要ないような気もするのですが……どういう計算だったんでしょうね。
 
さて、今回は老後資金問題を解決するために、何に投資して、何年間積み立てる必要があるのかについて書いてみます。


1.老後資金はいくら積み立てればいい?

 
老後資金として確保する目標値を設定した方がいいので、ここでは2,000万円を目標値にします。3,000万円、4,000万円を目標にする人は自分で計算してください。
 
まず、2,000万円確保するために、積立期間(10~40年)、運用利回り(0%~10%)に対応した、毎月積立額を計算したものが図表1です。
 
【図表1:積立期間、運用利回りと毎月積立額の関係】

※毎月積立額は複利で運用すること(配当等を再投資)を前提に計算

この図が意味しているのは、「年率5%で積立期間40年の人(30歳から投資をスタートして70歳まで運用する)は月1.3万円の積み立てが必要」ということです。
 
年率5%で運用することを前提に年齢別に表示すると、積立額は以下の通りです。
 
・30歳の人:毎月1.3万円
・40歳の人:毎月2.4万円
・50歳の人:毎月4.9万円
・60歳の人:毎月12.8万円
 
複利で運用するので、投資開始年齢が低いほど毎月積立額は少なくすみます。
30歳~40歳であれば毎月1~2万円の積み立てでいいので、お手軽ですね。
 
70歳になった後は、毎年100万円(月8.3万円)の入金があります。月8.3万円を使って年金受給額と生活費の差額を補填する、そんなイメージです。
 
老後資金をどうやって確保するかは、いろいろと紹介されています。
ただ、余裕をもって準備すれば十分に対応可能なので、過度に心配する必要はないでしょう。
 

2.5%で運用するにはどうすればいい?


老後資金を確保するために新NISAでオルカンを買っている人が多いようです。
ただ、老後資金は安定運用できれば確保できるので、高リスク商品に投資する必要はありません。
 
老後資金を確保するのに向いている、と個人的に思うのがJ-REITです。
小口で投資できて、投資利回りが安定しています。
 
J-REIT全体の平均利回りは2024年7月4日時点で4.70%、5%以上で運用できる銘柄は多いです。
ちなみに、5%前後の時価総額の大きいJ-REITが図表2です。
 
【図表2:投資利回り5%前後のJ-REIT】

※出所:JAPAN REIT https://www.japan-reit.com/list/rimawari/

今後、日銀が利上げすればさらに投資利回りは上がります。図表2のような銘柄に投資しておけば、年率5%は確保できそうです。
 
大手の不動産会社がスポンサーになっているJ-REITは倒産する可能性は低いでしょう。
J-REITは政策金利の引き上げで短期的に値下がりする可能性はあるものの、長期で考えると安定的な運用に適しています。
30歳の人は月1.3万円をJ-REITに投資していけば、老後資金を確保できるはず……。
 
 
ということで、今回は老後資金問題について書きました。
なお、投資は自己責任でお願いします。

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不動産ファイナンスについて詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にしてください。

【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

【金融マンのための実践ファイナンス講座】


【図解 不動産ファイナンスのしくみ】

 

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