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グロス利回りで不動産投資するのはやめた方がいい(その1)

不動産価格が高騰し、不動産の投資利回りが低下しています。「いつ買えばいいのか?」、「不動産価格は下がるのか?」と思っている人も多いでしょう。私は「早く不動産価格が下がってほしいなー」と思っています。
 
中国から退避した資金が日本の不動産に向かいました。利上げによって評価損が膨らむ欧米系ファンドが益出しのために日本の不動産を売却するケースも増えてきました。
日本は「もう少し下がったら買おう」と待機中です。
このような状況では、不動産価格が下がるのはまだまだ先になりそうです。
 
さて、投資用不動産は安定的な物件利回りが投資の目的です。日本においてはキャピタルゲインを狙う不動産投資よりもインカムゲイン重視の不動産投資が多いでしょう。
つまり、安定的な物件利回りが確保できない不動産には所有する価値がありません。
今回は不動産の物件利回りについて書いてみようと思います。
なお、この記事は不動産投資初心者向けに書いています。詳しい人は読み飛ばして下さい。

1.不動産の投資利回り


最近、私は『正直不動産』を見ています。その中には不動産投資をしようと考える顧客が不動産業者に相談しています。
見ていると「毎月の賃料が10万円でローン返済額が8万円ですから、毎月2万円儲かります!」という感じの会話が登場します。
さて、問題です。
 
問題:この物件に投資してもいいでしょうか?
 
答え:投資してはいけない。
 
賃料収入が月10万円でも、管理費・修繕積立金が発生します。また、毎年、固定資産税・都市計画税が発生します。数年に一度は修繕が必要になるでしょう。ローン返済元本は損金算入できませんから不動産物件の利益に対して税金(所得税や法人税)も発生します。
 
管理費・修繕積立金が月2万円、固定資産税・都市計画税が月1万円だとすると、この物件の収支はマイナスです。さらに、物件の修繕費や税金支払いでキャッシュフローはさらにマイナスが大きくなるでしょう。
 
なぜ、こんな話を書いているかというと、不動産投資は純収益(賃料収入-費用)で判断しないといけないからです。
賃料収入は「グロス収入」ともいわれ、会社でいう売上です。物件の収益状況を判断するためには、収入から費用、税金、設備投資(CAPEX)を控除した純収益で考える必要があります。
 
さて、不動産の投資利回りは年間収益を投資金額で割って計算します。例えば、年間1,000万円の収益が発生する物件を1億円で購入した場合、物件利回りは10%(=1,000万円÷1億円)です。
 
個人の不動産投資において「グロス利回り」と「ネット利回り」という言葉が使われることがあります。
グロス(賃料)収入から投資利回りを計算するのが「グロス利回り」です。純収益から物件利回りを計算するのが「ネット利回り」です。


投資判断を行うためには幾らの儲け(キャッシュ・イン)があるかが重要です。だから「ネット利回り」を使用します。「グロス利回り」は参考値なので不動産投資には使いません。
ちなみに、「ネット利回り」を「キャップレート」という場合もあります。
 
物件によって利回りは変わります。優良物件であればあるほど物件利回りは低くなります。

ここでは投資利回りについて説明しました。次回は不動産投資事例を使って物件利回りの説明をします。
 
<その2に続く>

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なお、不動産の投資利回りについて詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にして下さい。


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