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【リース会計基準】日本のリースと会計基準のリースは別物です

「リースに関する会計基準」が2027年4月1日以降開始する事業年度(2028年3月期)から適用されることが決定しました。
ちなみに、現行の基準は「リース取引に関する会計基準」です。会計基準から「取引」が消えるというマイナーチェンジがあります。

さて、今回は新リース会計基準におけるリースを、日本の実務で利用されているリース取引と比較します。


まず、日本のリース取引は図表1のような取引関係にあります。
リース取引に登場するのはユーザー(借手)、リース会社(貸手)、サプライヤー(製造メーカー)です。

【図表1:日本のリース取引】

ユーザー(借手)は備品(コピー機)を借りるため、リース会社(貸手)とリース契約を締結します。
リース会社(貸手)は、ユーザー(借手)とのリース契約の締結後、サプライヤー(製造メーカー)から備品(コピー機)を買取ります。
その後、リース会社(貸手)はユーザー(借手)に備品(コピー機)を貸し付けます。

つまり、日本のリース取引は、リース会社(貸手)がユーザー(借手)の代わりに資産を購入して貸し付ける取引です。取引の形態は、主に所有権移転外ファイナンス・リースです。
リース会社(貸手)がユーザー(借手)に貸付をしているのと似ているため、日本におけるリースは金融取引とされています。

次に、リース会計基準のリースは図表2です。

【図表2:リース会計基準のリース】

顧客(借手)とサプライヤー(貸手)しかいないため、非常にシンプルですね。
リース会計基準におけるリースは「賃貸借契約」なので、当事者には借手と貸手しかいません。借手と貸手の契約なので、レンタル契約、不動産賃貸借契約など範囲が広いのです。
日本のリース取引のように間に入るリース会社が主導する取引でなくても、リース会計基準ではリースです。

ちなみに、日本のリース実務で「サプライヤー」と言うと、貸手ではなく「製造メーカー」を指します(図表1)。リース会計基準におけるサプライヤーは「貸手」です(図表2)。

同じ言葉なのに、意味が違うので紛らわしいですね。

日本のリースと会計基準のリースは別物ですから、留意してください。


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なお、新リース会計基準について詳しく知りたい人はこちらを参考にしてください。


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