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不動産投資とノンリコースローン(その1)

不動産投資を行う際にはリスクを極力低くすることが必要です。そういう意味でノンリコースローンは不動産投資におけるリスク低減策の一つです。
今回は、不動産投資家が利用するノンリコースローンについて書いてみます。
 


1. ノンリコースローンという用語は間違い?


 
不動産投資をしている個人はあまり利用がないかもしれません。しかし、不動産ファイナンス=ノンリコースローンと言っても過言ではないくらい、不動産のノンリコースローンは浸透しています。不動産ファンドなどが一般的に利用する不動産ファイナンスの手法です。

ノンリコースローンを英語で書くとNon-Recourse Loan(非遡求型融資)です。リコースローン(遡求型融資)が普通の融資、ノンリコースローンが返済原資を不動産に限定した融資です。

通常、金融機関が貸付を行う場合、貸付債権(リコースローン)の返済原資は借入人のすべての財産です。
貸付債権の引当財産を一定の財産(責任財産)に限定し、借入人の他の事業や財産からの回収を制限または禁止する貸付形態をノンリコースローンといいます。
ただし、全く遡求しないという意味ではありません。だから、厳密にはリミテッドリコースローン(限定遡求型融資)という言い方が正しいのでしょう。
 
用語が正しいかどうかはともかく、ノンリコースローンは不動産流動化、買収ファイナンス等のさまざまな場面において活用されています。

2. ノンリコースローンのメリットとデメリット


 
ノンリコースローンの返済原資は担保となる不動産からの回収に限られます。なので、ノンリコースローンにはメリットとデメリットがあります。

ノンリコースローンは貸付債権の返済原資を責任財産に限定することで、借入人としては他の事業や財産に影響を及ぼすことなく借入を実現できます。貸付人としては責任財産を構成する財産の収益力やその他の経済価値に主に着目して与信条件を決定します。

借入人にとってノンリコースローンのメリットは、借入金の元利金の支払ができなくなった時でも、担保である不動産物件を手放せばそれ以上の支払は必要がない点です。つまり、損失額に上限を設定できることが借入人にとってのメリットです。

ノンリコースローンにおいては、借入人の他の事業や財産からの回収が認められないため、一般的に金利はリコースローンよりも金利が高くなります。貸付人(銀行など)にとっては、ノンリコースローンはリコースローンよりも金利が高いことがメリットになるでしょう。

信用力のある会社の場合は、リコースローンで借入をした方が調達コストは安くなります。これが借入人のデメリットです。

ノンリコースローンは不動産しか回収原資がありませんから、担保不動産の収益悪化がダイレクトに債務者区分に影響することが貸付人のデメリットとなるでしょう。

ノンリコースローンの借入人と貸付人のメリットとデメリットを比較すると以下のようになります。

【図表1:借入人と貸付人のメリットとデメリット】

<その2に続く>

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