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【リース会計基準】リース負債と使用権資産は何が違う?
「リースに関する会計基準」が2027年4月1日以降開始する事業年度(2028年3月期)から適用されることになりました。
今回は新リース会計基準におけるリース負債と使用権資産の違いについて説明します。
1.リースの借手の会計処理
新リース会計基準では、リースの借手の会計処理は売買処理です。リースの会計処理については以前、以下のサイトで解説しました。
内容が少し被りますが、改めて会計処理を示します。
まず、前提を以下の不動産賃貸借契約とします。この契約の会計処理を取り扱います。
【図表1:不動産賃貸借契約の内容】
![](https://assets.st-note.com/img/1732520815-GmTJ3f4FMDAPvwdYzsLyUxBN.jpg?width=1200)
売買処理によるリースの借手のリース開始日の会計処理は以下の通りです。
・リース開始日のリース負債・使用権資産の計上(X1年1月1日)
(借)使用権資産 1,859万円 (貸)リース負債 1,859万円
※リース負債の計上額=1,000万円÷1.05+1,000万円÷1.05^2=1,859万円
使用権資産=リース負債
使用権資産とリース負債は同額です。これは賃料(リース料)の支払が全てリース開始日よりも後にあるからです。
もし、賃料(リース料)の支払が前払いの場合は、次のような会計処理になります。
・第1回賃料支払(X1年1月1日)
(借)前払費用 1,000万円 (貸)現金預金 1,000万円
・リース開始日のリース負債・使用権資産の計上(X1年1月1日)
(借)使用権資産 1,952万円 (貸)リース負債 952万円
前払費用 1,000万円
※リース負債の計上額=1,000万円÷1.05=1,000万円
使用権資産=リース負債+前払費用=952万円+1,000万円=1,952万円
前払いの場合、使用権資産とリース負債は同額にはなりません。
ここまでは、前回説明しました。
2.不動産売買取引と不動産賃貸借取引
ここで、別の話をしましょう。
不動産を購入する場合、代金の一部を自己資金で賄い、不足分を借入金で調達します。図表2のように、自己資金30、借入金70で不動産100を購入するようなイメージです。
【図表2:不動産売買取引と不動産賃貸借取引】
![](https://assets.st-note.com/img/1732520941-YSb4g7NdsUTJVRaeHmu5lWKB.jpg?width=1200)
リースの会計処理である売買処理は、不動産が使用権資産となるだけで、基本的に同じです。
自己資金(現金支払)30と未払金(リース負債)70で使用権資産100を取得します。関係式にすると以下の通りです。
既に支払った金額+未払金(リース負債)=使用権資産
不動産賃貸借取引は不動産売買取引とほとんど同じですね。
3.リース負債と使用権資産の関係
さて、リース負債と使用権資産の関係を図示したのが図表3です。
リース負債に前払リース料(既に支払った金額)と不随費用を加算し、リースインセンティブを減算します。
【図表3:リース負債と使用権資産の関係】
![](https://assets.st-note.com/img/1732520991-qtBGQreCVOszuAFMDSwahoxZ.jpg?width=1200)
不随費用は固定資産などを設置する際に発生する費用のことです。不動産や機械設備を取得する際と同じですね。
次に、リースインセンティブとは、貸手による借手のコストの補償などです。リースを契約してもらうために、貸手は借手の移転費用を負担するケースがあります。これは実質的な支払リース料の減額なので、リースインセンティブに該当します。
使用権資産はリース負債から、前払リース料、不随費用、リースインセンティブを調整して計算します。
だから、使用権資産とリース負債は同じ金額になるときもあれば、異なる金額になるときもあるのです。
ということで、今回は新リース会計基準におけるリース負債と使用権資産の違いについて説明しました。
次は、別のトピックを解説します。
リース会計基準関連の他の記事はこちらです。興味ある人はご覧ください。
なお、新リース会計基準について詳しく知りたい人はこちらを参考にしてください。