#4.突然、救急車が来た
2021年2月1日
今日は仕事の予定だった。今日の仕事は実家のコンビニだ。昨日の夜、体調が良かったから仕事に復帰すると両親に告げた矢先の体調不良だ。世界の中心が僕ではなく、誰かが中心にいる世界で僕は振り回されている様な目眩と頭痛。昨日、PCR検査は陰性だった。コロナウィルスではない。しかし、起きあがろうとすると目眩とこめかみを殴られるような鋭い痛みで、起き上がることを阻止される。現在37.8℃。
何度も起こしにくる母に救急車を呼ぶか聞かれるが、よく聞く"救急車をタクシー代わりに使う奴"にはなりたくなかったので躊躇する。
僕は何度寝をしたのだろう。頭痛と発熱、そして母の質問に襲われながら細かい睡眠を取る。
今までも酷い頭痛には多々なっている。基本的には映像編集のPC作業と睡眠時間が短い時になっていた。あとは低気圧だ。
今回の頭痛もいつもの眼精疲労が祟ったものだろう。母の気持ちでホットアイマスクを僕の目に乗せてくれた。途端に嘔吐。今回の頭痛は厄介だ。温めると吐き気に変わる。吐き疲れた僕はどうやら眠ってしまった。
知らない足音と遠くに聞こえる話し声で目が覚めた。どうやら母が救急車を呼んでくれたらしい。救急隊員が何人いたかも分からないが、薄い長袖のTシャツとグレーのスウェットパンツのまま担架に縛られて運ばれた。本当に体調が悪いといつもの家も、救急車に乗り込むまでの道も、今いる場所が全く分からない。知らない場所を進む担架。2月の真冬に薄着の寝巻きと、毛布一枚掛けられた状態で足首から先が出ている事は分かる。縛られた僕は毛布を自力で掛けることも出来ない。ふと気づく。スマホ忘れた。
中々、救急車は発車しない。
10分後、サイレンと共に救急車が発車した。受け入れ先が見つかったみたいだ。担架に横たわる僕は、外の風景も見えない状況で視線を感じている。道を空けてくれて感謝しています。外は見えないけれど。
救急車は15分ほど走り、隣町の大きな病院に着いた。3ヶ月前にも来た病院だ。多分、母がお願いしたんだろう。
去年の11月。
僕は失語症になってここに来た。