THE RAMPAGE 武知海青のプロレスデビュー戦を1.5倍楽しく見る! LDHの歴史を学ぶ編
先日、「THE RAMPAGE 武知海青のプロレスデビュー戦を1.5倍楽しく見る!対戦カード&観戦マナー編」という記事を公開したのですが、LDHファンにはぜんぜん読まれていなくて笑う。
誰が読んでくれたのかというと、既存のDDTファンやプロレスファンの方がほとんどでした。
LDHファン向けにキャッチーさを優先して言葉を選んだため、DDTさんには多少失礼になるんじゃないかという表現もありました。高木社長はじめDDTの選手がリポストしてくださったりして居た堪れません。「死んだ目をした王子様」ってなんだ。失礼すぎるだろう。
そうでした、そうでした。テキストを読むのが好きなのは、プロレスファンの方でした。LDHファンはもう当日プロレスに実際に触れてみて、感じてもらうしかないんですね。
じゃあ、このnoteで本当に書くべきことってなんでしょうか?
プロレスファンにLDHを知ってもらうための記事を書く!
LDHファンにばかりプロレスを知ってほしいなんて一方通行すぎました。DDTファンにも、もっとLDHを知って、海青くんに肩入れしてもらわなきゃ困る! 相互フォローしてこ! 互いに盛り上げあっていこ!
ということで、今回はLDHのざっくりとした歴史と武知海青くんについて書いたら1万字を超えてしまいました。さすがに誰が読むんだ。ただ、25日の本番までもう少し日にちがあるので、1日一章ずつくらい読めば間に合うはずです!
プロレス同様にLDHにも長い歴史と物語があるのです。
DDTの関係者様、ファンのみなさま、これをきっかけにLDHのことを知って、海青くんのデビュー戦を盛り上げていただけますと幸いです!
LDH創世記〜HIRO=大家健 説〜
LDHは武知海青くんの事務所であり、言わずと知れた大手芸能事務所でございます。正式名称は株式会社LDH JAPAN。中目黒のドンキホーテ近くに事務所をかまえています。
LDHはLove, Dream, Happiness の頭文字をとってつけられた社名です。Dramatic Dream Teamに通ずるものがあるじゃありませんか。
代表取締役会長兼社長CEO兼CCOを務めるのは五十嵐広行。通称:HIROさん。LDHの歴史、それはそのままEXILE HIROの歴史でもあります。
HIROさんは1990年に、ZOOの一員としてメジャーデビューを果たします。
説明不要かもしれませんが、J-POPにおけるダンス&ボーカルグループの先駆けがZOOであり、EXILEの原型でもあります。それまで、バックダンサー扱いだったダンサーにスポットライトを当て、「ボーカルとダンサー、どちらも同じパフォーマーだよね!」ってしたのがZOOだったのです。(※諸説あります)
紆余曲折あり、1995年にZOOは解散。その後、HIROさんはドリカムのバックダンサーなどを経て、1999年にMATSU、USA、MAKIDAI、ボーカルSASAの5名でJ Soul Brothersを結成し2度目のメジャーデビューを果たします。
2001年にボーカルのSASAが抜けて、新ボーカルATSUSHIとSHUNが加入し、グループ名もEXILEに改名。シングル『Your eyes only 〜曖昧なぼくの輪郭〜』でHIROさんは再再デビューするわけです。
ここまでは、ずっとavexのアーティストとして活動していたのですが、ついに独立を果たします。メンバー6人が50万円ずつ資金を出し合い、エグザイルエンタテイメント有限会社を設立。これが、のちのLDHでございます。
どうですか。プロレスみたいじゃないですか。鶴見亜門GMの出資1万5000円で大家健さんが設立したガンバレ☆プロレスみたいじゃないですか。大家さんも「プロレスをメジャースポーツに」と言ってますし、HIROさんも「バックダンサーをメジャーアーティストに」という志を持っていたに違いなく、さながらHIROさんはJ-POP界の大家健と言っても過言ではないでしょう。過言か。
詳しくはHIROさんの著書「Bボーイサラリーマン」(幻冬舎)を読んでください。名著なので。文庫で出てます。
紅白初出場、ボーカル脱退…EXILE勃興の軌跡
EXILEがデビューした当時の音楽業界…というかボーイズグループ市場を思い起こせば、DA PUMPやw-inds.などのライジング系もかなり頑張っていたのだけれど、なぜか「ミュージックステーション」等の音楽番組には出演できませんでした。強大なアノ芸能事務所への忖度でね。
「ミュージックステーション」てプロレス界でいうと「週プロ」みたいなものですよね。影響力的にいうと。違うかな。適当なこと書くと怒られそう。
とにかく、多くのボーイズグループが出たくても出られない状況にあったんですね。
ところが、EXILEはかなり早い段階から「ミュージックステーション」の出演もクリアしていました。これやっぱり「色黒・髭・サングラス」のおかげで、完全にジャニーズとの棲み分けができていたからに他なりません。
一説によると、HIROさんは処世術にも長けていて、飯島さん、メリーさん、ジュリーさんとそれぞれうまいこと関係を築いていたとかいないとか。「SMAP×SMAP」にも出ていたし。
また、ボーカル2人が一世風靡していたオーディション番組「ASAYAN」出身ということで、デビュー当初から一定のファンがついていたのも大きかったのかもしれません。
こうしたHIROさんの類稀なる芸能界サバイブ力&プロデュース能力もあり、EXILEの売り上げは順調に伸びていきました。2003年には「Choo Choo TRAIN」(ZOOのカバー曲)が大ヒット、紅白歌合戦初出場を果たします。
紅白歌合戦なんていうものは、J-POP界のG1 CLIMAXみたいなものですから、デビューわずか2年でここに立つったら大したもんですよ。
3枚目のアルバムでミリオンセラーを達成し、まさに順風満帆。…のはずだったのですが、ここでボーカル・SHUNが突然の脱退。SHUNちゃん人気でここまできたのに!どうすんだHIROさん!と当時のEXILEファンは頭を抱えたことでしょう。
しかし、この逆風を「公開オーディション開催」という荒技で跳ね返し、新ボーカルにTAKAHIROという逸材を発掘。爆裂に顔がいいのですぐ売れました。
オーディションの様子が『スッキリ!!』(日本テレビ系)で放送されていたのも、かなり影響力が大きかったようです。そりゃワイドショーで毎週のように取り上げられたら、ファンも増えますよね。
こうして、主要メンバーの入れ替えというアクシデントを逆手に取り、より勢いづいてヒットを連発していくことになったEXILE。
2009年には天皇陛下御即位20年の式典にも呼ばれました。天皇の前で黒づくめの男たちが歌い舞い踊る様を、覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。誰がどういう話し合いをすると「天皇の前でEXILE踊らせちゃおうぜ!」てなるのか。今でも不思議だし、この国への不信感が拭えない。
さりとてHIROさんのプロデュース能力は本当にあっぱれ。惚れ惚れする。大好き。
そんな敏腕すぎるHIROさんにも、当然失敗はありました。新ユニットを作ったと思ったらあっという間に解散させ、挙句その子たちをEXILEに吸収したりして、ファンから大ブーイングをくらったことも……。他にもいろいろな面白エピソードがあるんですが、泣く泣く割愛します。
詳しくはHIROさんの著書「ビビリ」(幻冬舎)を読んでください。名著なので。文庫で出てます。
EXILE TRIBE(=一族)の誕生
EXILEがスター街道を駆け上がる最中にも、HIROさんは攻めの手を緩めませんでした。事務所をさらに大きくするためにも、新たなボーイズグループのプロデュースに着手します。
ATSUSHIを見いだしたASAYAN=公開オーディションの手法を再度用いてプロデュースしたのが、三代目J SOUL BROTHERSです。HIROさんがEXILEになる前に所属していたチーム名をここで復活させたんですね。BURNINGのようなものですね。
(ちなみにニ代目J SOUL BROTHERSもいるんですよ。EXILEに吸収されましたが)
2010年にデビューした三代目JSBですが、初速はそれほどだったものの、元美容師、元圧接工、現役慶大生、元スーパーウェルター級王者の息子…と、いじりしろがありすぎる逸材揃いだったので順調に売り上げを伸ばし、2014年にはついに「R.Y.U.S.E.I.」という特大ヒットホームランが出ました。
メンバーの登坂広臣さん(元美容師)と岩田剛典さん(慶大生)が俳優としてハネたのも大きかったです。この2人の存在によって『HiGH&LOW』爆誕&ファン層入れ替えの布石になるのですが、その話はまた後ほど。
音楽だけじゃなく、ファッションも流行ったのでEXILEとはまた違う売れ方をしたなと感じます。ボーカル・登坂広臣の髪型と服装をマネした男性(通称:トサカブレ)が街にあふれ、女性ファッション誌の表紙を独占するような時期もありました。歌舞伎町のホストもみんな三代目みたいな服装だった。本当に売れた。すごかった。
最初は“無印三代目JSB”だったのですが、売れる気配がしてくるやいなやグループ名のお尻に「from EXILE TRIBE(フロム エグザイル トライブ)」が付け足されました。三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE。つまり、三代目は独立したグループではなく、EXILEの一部なんだと。我々はTRIBE=一族なんだと。おれたちはファミリーだ!と。そんなことをLDHが言い始めるんですね。
こうして、三代目JSB以降のグループにはほぼすべて「from EXILE TRIBE」が付くようになりました。
現在の三代目JSB以降のグループ名一覧です
・GENERATIONS from EXILE TRIBE
・THE RAMPAGE from EXILE TRIBE
・FANTASTICS from EXILE TRIBE
・BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE
・PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE
・LIL LEAGUE from EXILE TRIBE
・KID PHENOMENON from EXILE TRIBE
・THE JET BOY BANGERZ from EXILE TRIBE
・WOLF HOWL HARMONY from EXILE TRIBE
み〜んなTRIBE! みんな家族でやらせてもろてます!
ファン総とっかえ!『HiGH&LOW』革命
ぜんぜん海青くんの話にならないんですけど、もう少しお付き合いください。LDHは大河ドラマなので。
「R.Y.U.S.E.I.」がヒットした2014年頃、マーケティングアナリストの原田曜平氏が自著「ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体」(幻冬舎)で、「マイルドヤンキー」という概念を提唱しはじめたんですね。
で、原田さんが「マイルドヤンキーの男の子はEXILEに憧れて、湘南乃風を聴いている」なんてことを各所で吹聴してまわり、マイルドヤンキー=EXILEのようなイメージがかなり広まっていたように感じます(あやふやな記憶)。
実際に、当時LDHのライブ会場に来ていた男性は、みな一様に浅黒く、ATSUSHIのようなナリをしていました。女性はギャル。そして男女ともにLDHが運営する「24karats」というアパレルブランドで売られている上下3万円のジャージを着ていました。
郊外のイオンモールにいそうなATSUSHIワナビー男性やギャルたちがLDHのライブ会場にはわんさかいたのです。そして彼・彼女たちは自らを「LDH fam」とか「EXILE fam」と呼称していました。fam=Family。やっぱりどこまでも家族なんだよなあ、LDHは。
このままマイルドヤンキーの永遠のアイドルで居続けるのかと思いきや、現在はファン層ががらっと変わっています。ATSUSHIワナビーたちはいなくなり、女性のファンが圧倒的に多くなりました。二次元ファン、2.5次元ファン、ジャニーズファン、イケメン好き…等、いわゆる「推し活」層が幅をきかせるようになったので、もはや従来型のLDH famは絶滅危惧種となっています。
きっかけになったのは、2015年からスタートした総合エンターテインメントプロジェクト『HiGH&LOW』です。
そう、「まっする7」の元ネタになっているアレです。
当時、俳優としてもハネかけていた三代目JSB・岩田剛典を主演に据えて深夜ドラマからスタートした『HiGH&LOW』ですが、これがかなりハイコンテクストな代物だったので、いわゆるfam層にはウケが悪かったのを覚えています。NewJeansおじさんみたいなこと言いますけど、初回放送の実況ツイートしてたの本当に5人くらいしかいなかった。
当時のマジョリティーfamは“オタク”じゃなくて“ファン”でした。LDHの音楽やライブは大好きだけど、HIROさんのプロデュースに物語性を見いだしてこねくり回すようなオタク仕草とは無縁だったんです。前からHIROさんは変なマンガ(エグザムライ)を作ったりして、サブカルへの目配せもあったんですけどね。多くのfamはあんまり興味がなかった様子。
主人公のコブラがプロレス好きだとか、LDHの歴史をなぞったストーリー展開だとか、『クローズZERO』要素だとか、『時計じかけのオレンジ』オマージュだとか、ポップカルチャー&サブカルカルチャーのごった煮でカオスと化していた初期の『HiGH&LOW』。
2016年に劇場版が公開されると、既存の映画の常識を覆すような不可解なストーリー展開や、斬新なセリフ、AKIRAさんの斬新な芝居、劇中に充満するHIROさんの衝動(パッション)が好事家たちに刺さり、口コミでカルト的な人気が広がっていく…といった奇跡みたいな流れが生まれました。
作品の評価をめぐって映画好きおじさんと映画好きおじさんがツイッターで揉めたりもしていた。EXILEでおじさんが揉める未来なんて想像できなかった!HIROさんは男を狂わせる男なんだ…!
つまり「EXILEってマイルドヤンキーのあれでしょ(笑)」とバカにしていた主に文化系の人たちの評価が180度ひっくり返ってしまったんです。
こうして『HiGH&LOW』は新しいファン層を大量に呼び込むことになりました。イケメン好きだけでなく、同人誌を描くようなオタクも一気に増えた。CLAMPによってマンガ化もされたし、出演者がアニメイトでトークショーやったりもした。マイルドヤンキーのアイドルだった頃から追っている身としては、本当に天変地異が起こったかのようでした。
ここまでの大規模なファン層の入れ替わりは、これまでの芸能史を振り返ってもあまりない現象だったのではないかと思います。
このように、ファン層が様変わりしLDHにとって過渡期真っ只中だった2017年にメジャーデビューをしたのが、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEだったのです。お待たせしました。
「HiGH&LOW」後のLDHとそのファンダム
B.C./A.D.よろしく『HiGH&LOW』以前以後でLDHの歴史は変わったわけですが、『HiGH&LOW』後に初めて世に放たれたのがTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEであり、LDHハイコンテクストコンテンツ時代突入の象徴的な存在であると言ってしまってもいい気がします(及び腰)。
現在進行している『HiGH&LOW』シリーズも、THE RAMPAGEのメンバーが主演を張っていますし、一つ上の先輩グループ・GENERATIONSまでは存在した「ヒゲ・色黒」といったATSUSHIワナビー的ビジュアルのメンバーもTHE RAMPAGEからは存在しなくなります。これは明確に、マイルドヤンキー的なるものからの脱却の象徴と言ってしまってもいい気がします(及び腰)。
何が言いたいかというと、今のLDHファンはシンプルにオタク気質で、物語を読み、咀嚼し、考察、妄想する力に長けているということ。すなわちそれ、プロレスとの相性も良いであろうということです。
そもそもLDHの姿勢として他社コンテンツ・他社グループとのコラボに積極的なゆえ、ファンもいろいろなものに触れる機会が多く、自ずとさまざまな知識を蓄えています。彼・彼女たちは音楽のトレンドもファッションのトレンドもLDHから仕入れるし、筋トレにも詳しい。そして今は宝塚を見ている(編註:宝塚歌劇団の現役スターとLDHのキャストで送る舞台「HiGH&LOW THE 戦国」が絶賛上演中)。
だから「素人が初めてプロレスを見てわかるのかな?」みたいなのは杞憂かもしれません。もちろん、暴力に対する耐性は人それぞれなので、「やっぱり痛そうで苦手だな」って人は出てくるでしょう。
でも例えば、海青くんを応援しにきた子たちは、ユニバーサル選手権試合(MAO選手vs町田選手)とか、多分説明しなくても見ているうちに対戦の焦点は理解しちゃうんじゃないかと思います。
飲み込みがよく、物語好きのLDHファン。絶対DDTを好きになってもらいたいよね!!お客さんになってほしいよね!!
ぜんぜんデビューできなかったTHE RAMPAGE
ようやく本題、武知海青くんのお話です。
前述の通り、2017年にメジャーデビューを果たしたTHE RAMPAGE(以下、ランペ)ですが、結成のきっかけはその3年前2014年にさかのぼります。
当時「EXILEをもっと増やすぞ!」というオーディション「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」をはじめ、いろいろなオーディションを開催していたLDH。
そこでファイナリストになったり、別のボーカルオーディションで合格したりした子から16名を集め「THE RAMPAGEの候補生」として、正式メンバーの座をかけたドサ回りライブ「武者修行」(正式名称)を行います。
いや、武者修行て。やっぱりプロレスぽいんですよ。ちなみに、この武者修行という名のドサ回り、EXILEと三代目以外のグループはみんな経験している(はず)。
GENERATIONSとFANTASTICSの時は「夢者修行」表記でした。「闘強導夢」のノリだ!HIROさん!
近ごろ流行っているオーディション番組だと、視聴者投票なんかでデビューメンバーを決めたりしますが、LDHのオーディションは基本的にHIROさんの意思のみ。
さんざんドサ回りをして、なんやかんやあって、さあさあ果たして誰がランペの正規メンバーに選ばれるのか。ハラハラドキドキしながら迎えた「武者修行ファイナル」。
HIROさんが出した結論は「全員合格。全員でデビュー」!!!!
ズコーとなりましたけども、正直。じゃあこの武者修行はなんだったの?という疑問もわきましたけども。まあ、HIROさんのやることなので。セオリー通りにいかないところも面白いわけで。
全員合格、全員でメジャーデビュー。まあ、ここまではいいでしょう。問題はここからです。
2014年9月に16人が正規メンバーとして完成したランペですが、一向にメジャーデビューを果たすことなく2年という歳月を費やすことになります。
その間、なぜかまたドサ回り武者修行を何度かやらされ、さりとてデビューする気配はなく、ファンも困惑するだけの時間を過ごすはめになりました。
普通だったら鉄は熱いうちに打つよね。テレビでオーディションを見てファンになった子の気持ちがアツアツのうちにデビューするでしょうに。2年ってあんた、寝かせすぎだよ。
ファンもさることながら、メンバーもよく腐らず持ち堪えたなと思います。デビューできると思って地方から上京してきたメンバーもいるだろうし、親御さんも気が気じゃなかったでしょう。
DDTで2年も練習生期間を過ごした選手っているんでしょうか?心折れるよね、普通。しかも海青くんが上京したのは15歳のとき。10代の2年て本当に途方もなく長く感じたと思います。
LDH所属なんていうと大手芸能事務所だし、ファンにキャーキャー言われて華やかな芸能生活を過ごしてきたようなイメージを持たれるかもしれないけど、意外と泥臭く練習生期間を過ごしていたりもするんです。まあ、こんなにデビューできなかったのランペだけですけども。
寝かせすぎた影響なのか、デビューしてもなかなかオリコン1位を獲得できず(ストリーミングサービス勃興期であるということも理由としてはありますが)。飛ぶ鳥を落とす勢いで売れていった三代目ニキのようにはいきませんでした。
ただ、各々が作曲の能力やコレオグラファーとしての能力を発揮し、地道にライブを続けるうちに少しずつですが人気が拡大していきました。俳優業で成功するメンバーもちらほらと出てきて、去年の8月にはようやく初めてオリコン1位を獲得!
前述した『HiGH&LOW』も世代交代して、三代目のがんちゃん主役から今はランペの川村壱馬くんと吉野北人くんがメインになり、ますます人気コンテンツに成長しています。主役が変わってもパワーダウンせず!ずっと面白い!
そんなこんなで結成して10年、今が一番グループのいい時期に差し掛かっていると思います。
武知海青くんの話
三代目以降の若手の中で、多分今一番売れていてノリにノッているのがランペです。グループ活動もさることながら、個人活動も活発化しています。俳優業で才能が開花した子もいるし、DJをやったり、ラジオMCをやったり…。そもそも16人もいるので、チームとして一丸になりつつも、それぞれが個性を磨かないと埋もれてしまうという過酷さがあるんですよね。だから、各々が武器を見つけ、それを磨き続け、今少しずつ花開いているような状態だと思います。
そんな中で、フィジカル担当として頑張っているのが海青くんです。母親がダンススクールを経営していたので、将来ダンサーになるということは早くから決めていたようです。一方、小学5年生でジュニアオリンピックに水泳バタフライ種目で出場したりもしているので、スポーツの世界に進むという進路もあったのかもしれません。
アーティストとしてデビューしたあとも、ボディコンテストに出たり、柔道で黒帯をとったりと、とにかくフィジカル面で結果を鬼ほど出してきた海青くん。
LDHはそもそもフィジカル押しというか、事務所内にジムを設けているくらいですから、筋トレに対する熱量は他の事務所よりはぜんぜん高いのです。
しかし、海青くんほど肉体鍛錬を極めた人はLDH史上初なのではないかと思います。なにせ、プロレスデビューまでしちゃうんだもの。おかしいよね。しなくていいじゃん、普通。アーティスト活動だけで大変なんだから。そんなに体を酷使しなくても…。
でも、憶測ですけど、こうやってひとつのことを突き詰める姿勢、嫌いじゃないと思うんですよHIROさんは!私はHIROのなんなんだって話ですけど。
普段の海青くんは爽やかでおおらかなイメージでしたが、プロレスデビューまでしてしまうってことは、記者会見で上野選手が「肉体に対する狂気性」みたいな言い方をしていたけれど、うちに秘めたるものがあるのでしょうね。
とにかく控えめなんですよ、彼。いつもはやっぱりボーカルにスポットライトが当たりがちだし、キャラクターも優しいから、俺が俺がのタイプじゃないので率先して前に出てくる感じでもないし。
パフォーマンスのときも上背があってガタイもいいから、どうしても後ろの方に配置されがちで。
たとえば歌番組で3〜5分くらいの出番があっても、ぜんぜん映らない!あんなにかっこいいのに!!
でも私は個人的に海青くんのダンスが大好きだし、あの鍛え抜かれた大きな体で踊るからこそ発揮される美しさに惚れ惚れします。もっともっと前に出て、大勢の人に海青くんの魅力を知ってほしいと願っていました。
プロレスの舞台は否が応でも海青くんにスポットライトが当たる。こんな機会は今までなかったし、ひとりで写ってるポスターを見て興奮しました。一世一代の大舞台だ!!
プロレスラーの中にもいるじゃないですか。実力はあるんだけど、なかなかチャンスを掴めないような選手が。そういう人はどこにでもいる、どんな世界にもいる。華やかな世界にも、陰日向に咲く花がある。
でもそういう人にもチャンスが巡ってくるようになっているのがエンタメの面白さで、海青くんにとってこれはチャンスかもしれなくて、だからこそ掴み取ってほしい。
DDTのファンの人が、ひとりでも海青くんのファンになって、推してくれたらいいなと思います。誰かがTHE RAMPAGEの話をしていたら、割って入って「私は武知海青推し!」と言ってくれるような人がひとりでも増えたらいいなと思うのです。
どうかどうか、あたたかい声援を送ってあげてください。「海青!」と名前を呼んでください。そうしたらきっとランペのファンの方々もDDTを好きになってくれるし、相互に作用できる。お互いの愛してやまないエンターテインメントを交換して、それぞれに楽しさが増幅する機会になってほしいと願っています。
最後に私ごとですが
記事を書くのはこれが4本目です。
これまであまり感情的に書かないように意識してきたんですが、今回はダメでした。感情が爆発するでしょう、こんなもの。
だって好きなプロレス団体と好きな芸能事務所がこんなふうに邂逅する確率って何%あります? 奇跡だもの。
両者を愛している私は確信していますよ、絶対に相性がいいはずだと。
LDHには格闘家も所属していて、総合格闘技とLIVE が融合したエンタテインメント『POUND STORM』というイベントを打ったりもしたんですけどね。
違うよHIROさん、そっちじゃないよ、そっちにラブドリームハピネスはないよ。と思っていたのでね。
いや、HIROさん、気持ちはわかるよ。たしかに総合格闘技は流行ってる。でもHIROさん、あんたが『HiGH&LOW』をはじめてファンの層を変えちゃったんだから、今のLDHファンが見るべきもの、それはプロレスだろうさ! 物語を読むのが好きなファンで溢れているんだから!
総合格闘技には大きなラブとドリームがあるかもしれない。でもLDHファンが求めるハピネスに欠けていると思う。DDTにはハピネスがある。
本当にDDTとLDHでしかなしえなかったコラボレーションだと思うんです。絶対に他のプロレス団体とか、芸能事務所じゃ無理だったと思う。攻めるのが好きなもの同士でないと、なかなかやれないですよ。高木さんとHIROさんの脳みそでなければこんなイベントは起こせないはず。
実はLDHはサイバーエージェントとの合弁会社である「株式会社CyberLDH」を持っているので、もはやDDT(サイバーファイト)とも義兄弟といって過言ではないでしょう!サイバー兄弟だ!こうなったら末長くお付き合いしていただきたい!
両者のファンにもそれぞれに新しい出会いと刺激を与えるような、そんな1日になることを期待しています。
1万字を超えてしまいました。書いてて楽しかった。ハイになった。
本文はここまでです。ご拝読ありがとうございました。
有料部分には何も書いてませんが、ブログを書くこと自体これが最後かもしれないので、最後に募金箱を置かせてください。なんかこう、4本書いたうち1本でも面白ければ100円ください。書いてよかったな〜と思えます。
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