発達障害の警察官

私はある県の男性警察官(高卒)13年目です。 
(18歳で任官、地域課交番勤務10年、部隊勤務2年、警察学校1年)
7年前にADHDと診断されましたが、現職です。

警察官を目指す人、若しくは現職警察官が「警察官 発達障害」等と検索した時、一つのケースとして参考になればと思い、自分の体験を書きます。

私は24歳の頃、業務過多によるストレスから精神安定剤の処方を期待して心療内科にかかりました。
その結果、ADHD(注意欠陥・多動性)つまり発達障害と診断され、1ヶ月間、ストラテラという注意力を安定させる薬の投薬治療をしました。
ストラテラを副用すると、確かに物事を落ち着いて考える傾向が強まる体感がありましたが、食欲減退などの副作用が私には重く感じられました。
更には「ADHDとそうではない人との境目が、短時間の診察と簡単なアンケートから為されるのは如何なものか?」「医師が薬を長期処方したいがための診断ではないか?」「自分の性格は個性の範疇であって、発達障害と名付ける程なのか?」と懸念があり、福祉手帳の交付を受ける前に治療を中止してしまいました。
その年に試験に受かり、25歳で巡査部長に昇進して7年経ちます。

この7年、診断結果を踏まえ、自分の性格を「かなりのおっちょこちょい、いわゆるド天然」であると認識し、障害者というマイナスな自覚はせず、普段から短所を意識的にフォローし、長所を活かすことを念頭に置いて仕事なり私生活を過ごしました。

やはり比較的ミスが多いですから、人に迷惑をかけること、辛くて辞めたいと思うこともありましたが、他人と話すのが嫌いではないこと、映像解析や書類作成等の得意分野があって、人に頼られる(ある意味いいように使われる)のが拠り所となり、これまで現職を続けて来ました。

上司には、ADHDを報告していません。
自分から上司にカミングアウトすることは、ADHDが障害のカテゴリに入る以上、それは暗に現配置からの移動を希望する報告であり、周囲の迷惑を考えると組織の利益にならないと思われること、医師の診断があるとはいえ直後に投薬を中止して業務に支障が無かった点から、あえて伏せています。
(当然、今後私が職務上大きな問題を発生させれば、監察の調査でADHDがミスの原因と位置付けられた上、再診からの退職勧奨は十分に考えられます)(また、公務員は職務に影響し得る診断結果を上司に報告する義務があると私は解釈しますし、発達障害の診断を黙っていること自体問題であると重々承知しておりますが、あくまで一つのケースとして書きます)

一方、部下・同僚には、事あるごとに自身の診断経験を話し、ADHDとはどのようなものかを伝えています。
発達障害に対する理解を深めて欲しい個人的な気持ちと、例え同僚から口伝てに上司に発覚したとしても、それが自らの申告でない以上、過去の診断結果から部署を移される事態にはならないことから、あえてそうしています。

この13年間の私の主観ですが、現職警察官の中に『心療内科を受診すれば発達障害と診断される性格の持ち主が1割程度は存在する』と確信します。
一般企業と同様、面接試験で露呈しない程度の発達障害は、個性として抱えたまま採用されています。
警察学校では、35人程度のクラスに3~4人、今思えば発達障害だと思われる人が散見されましたし、私もその一人で、ミスが多くクラスで浮きましたが、幸い私の知る限りミスの多い人を虐めて排除する流れは無く、多くの場合、悲観して退職する程の結果にならずに続いているのです。

むしろ、警察幹部に目をやると、発達障害と診断され得る個性の強い人こそ、仕事に固有のこだわりを持ち、ペーパーテストをパスして幹部になるケースが多い傾向にあると思います。
悪く言えば突飛、良く言えばユニークな発想を恥ずかしげもなく前に出すADHDやアスペルガーといった個性の長所を活かして、特に組織の改革という点で活躍していると私は感じます。

このページに辿り着いた方に伝えたいのは、
・発達障害でも警察官はやっていける、採用され得る、活躍の場がある
・発達障害を抱える警察官は多く、診断を受けていない(申告しない)だけの場合が多い
・発達障害は程度の幅があり、診断を受けても悲観しなくてよい、治療を中止して生活できるなら無理に続けなくてよい
の3点です。

発達障害のある警官に取締られたくないと不快に思う人もいるでしょうが、どこからを発達障害と捉えるかは、現実には個人の申告に左右されます。
公言せねば分からない程度の障害ならば、殊更に意識せず、警察官を目指してください。続けてください。
医師の診断があったとして、それに悲観して可能性を失わないでください。

この書き込みが誰かの参考になることを願います。

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