海辺の小鳥

翼を持って飛ぶことを
世間は良しとしないらしい。

空に憧れる人間たちを皆は軽蔑した。
迷惑者のように目を背けた。

私は海に恋をして、雲の上に憧れた。
宇宙まで行けねど、せめて雲の上まで。

翼が欲しかった。

その海は高潔だった。
けれど何も教えてくれなくて、どうにもならない海だった。

臆病な私は海を汚した。
汚れた海は乾き、やがて消えてなくなってしまった。

私は泣いた。
泣いて、その涙で新しい海を作った。
私はまたその海に恋をした。

その海も優しい海だった。
けれど不器用な指先で、私は何度も溺れた。

私はとうとう、翼を持つ決意がついた。
その海は翼を否定した。その海は涙を以て、もっと深い海にした。

けれど、それきり、その海は深くならない。海はまたきっと乾き始める。

私はまた海を汚した。
私はまた海を乾かすだろう。

私が空になった時、乾いたあなたの海は、
私のところに来てくれるだろうか。

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