五月雨

五月の太陽は意地悪い。
暑いとも寒いとも言わせぬその笑みは、
変に私を鬱屈した気持ちにさせる。

五月の空は眠たい。
青くなりきれなかったような青空は、
きっと春眠暁を覚えず
急いでやってきたのだろう。

五月の夜は寂しい。
勢いの去った日常が、
耳鳴りになって瞼にエンドロールを流す。

五月の雨は苦しい。
涙も隠せやしない、何も洗い流せやしない。
弱気で陰湿な雨粒の匂いがする。

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