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9月を飲みきった夢

アクリルガッシュの付着した筆を乱雑に筆洗に叩きつけるような夢。もう何回もこの夢を見ている。
劣等感で死にそうだったから、君を描いた。君は私の持ってないもの、私が欲しかったものを持っている。そのうえ君は、君の知らないうちに、君の手で、私の目の前で、見せしめに私を殺す。

君を見ると虫唾が走る。私が好きだった君から香る匂いはなくなってしまった。君が分からなくなった。君の1歩が私の3歩。君にいつまでも追いつけないで、きっと私がどこかで蹴躓いて転けても、君はそうね、10歩際でやっと振り向くのだろう。

君はあの時一緒に好きだった人の曲を聴かなくなった。
ライブにまで行ったのに、泣くほど好きだと言っていたのに。
君は私を苗字で呼ぶようになった。
「こっちの方がしっくりくる」という理由だった。
君は変わってしまった。
元々そういう性格だったのだろうか。
変わってしまうところが変わらないのか。
君を鳥かごに入れられるほど、私は崇高な人間じゃなかった。

人を神のように扱うのは好きじゃないけれど、どうにも君は神様みたいだった。無慈悲なところとか。
君が神様ならば、私の描いているこれは宗教画になってくれようか。先生に色が濁っていると言われたのは、私のこの感情の現れですとでも言えば許してくれようか。言わないけれど。
叩きつけた筆先は割れている。もう1年が経ってしまって、去年の記憶も思想も全部記憶から消えてしまった。
変わってしまったのは私なのか、君なのか、その両方か、はたまた何も変わらないまま?

君には見せない覚え書き、君が見ても気づかない恋文。
また月曜日、おはようを待つ。

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