琥珀色のなんとか。ほろ苦い。沢蟹
ネルでしっかりめに出したタカイトさんの焙煎コーヒーに、弱火でくつくつと温めた牛乳をあわせる。
とっても美味しいカフェオレできます。
『かもめ食堂』の映画。
群ようこさんの原作は未読のままで、大変失礼ですが、正直私はこの作品のことあまり好きではない。
ただ心に残っているのは、かもめ食堂の前にその場所でカフェをしていたという、おじさんの存在。
…彼のコーヒーは美味しかったらしいけど。お店、どうして潰れなきゃいけなかったんだろう。
家族と離れて独りになってさ。
そんな彼がお客として訪れて、主人公に「うまいコーヒーをいれるコツを教えてやろうか」と言い出すシーン。
──コーヒーは自分でいれるより人にいれてもらう方がうまいんだ。
それ。
私も知っていたよ。
最高に美味しいコーヒーを飲んだことだって、あるよ。
あとね。
もうひとつのことにもちゃんと自分で気がついている。
私の淹れたコーヒーを本当に一番美味しく飲むことができるのって、きっと私じゃないんだね。
自分好みの豆を選んで、好きな淹れ方していても。
それって少しさみしい。
だけどこの先の人生のよろこびは、そんな切ないような事実の中に、やっぱりたくさん詰まっているような気がする。
今年はたくさん、飲んでもらいたいな。
しつこく感想求めたりはしませんから(たぶん)。
わがままだって多少かなえてあげられる(たぶん)。
一瞬弛んだその表情を、こっそり見ていたいだけです。
1月8日。大坊勝次さんのコーヒーを見た(飲んだ)。
ポットの先から注ぎ出されるお湯が真っ直ぐで美しい。とても誠実な線だと思った。
以来始めたネルドリップ。
まだはっきりと手応えないけどそんなこと、思い返して日々をなんとかやっている。
真っ直ぐを通すって難しい。
まだまだ時間が必要そう。
でもなんか、私の淹れたコーヒーもいい感じの琥珀色って思えるようになってきて、自己肯定感、小さく前進しています。