映像『実写セーラームーン』(2007年)の解説
※※ どうぞ動画を見てからお読み下さい ※※
映像『実写セーラームーン』
脚本・演出 高山 銀平
2007年6月 カカフカカ企画第18回本公演『帰太郎』にて上演
(『カカフカカベストコント迷走編』に収録)
意味はないのですが、この動画のアップを雛祭りに合わせました。
我々は当時何本かのアニメのオープ二ングを実写化しましたが、この作品を最後にその歴史に幕を下ろすこととなります。
理由は単純明快、ウケなくなったからです。
宜しければもう一度、上の動画を今度は耳を澄ましてご覧ください。
動画はライブ音声なのですが、お客さんは感心こそすれ声を出して笑ってもらってはいません。
それはそうです。そのまんまなのです。
技術がいくところまでいってしまい、遊びや綻びの部分がなく元のアニメそのまんまなのです。
大変な手間をかけたった90秒の幕間動画を制作し、残り100分間のライブ部分の稽古はギリギリ、それでもってウケないとなると続ける意味は最早ありませんでした。
ついにカカフカカ企画のパロディ動画は終わりの終わりを迎えたのでした。
とはいえ、この作品はとても多くの方に愛して頂きました。(ご批判も含め)
その点は苦労に見合ったかと思います。
以下は制作過程の画像たちの片鱗です。
もうこの頃はメンバーも慣れたもので、特に細かい指示を出さずとも衣装や小道具の制作は流れるように動いていました。
ある日小道具を作っている最中のメンバーを見かけたので、
「何やってるの?」
「あ、これタキシード仮面の仮面です」
「あぁ、それだったらカヲルくんがいいなぁ」
「あぁ、はい」
『カヲルくん』というのは以前『実写エヴァンゲリオン』の撮影で培った技術で、
(https://note.com/kkfkkproject/n/nbad35fd52a17)
元の素材では再現しにくいものでも、元の素材をキャンバス化することにより強引に実現してしまうものです。
小一時間かけて作ったであろう仮面をぽいと捨て、白のドーランの残量を確認しに行く逞しい背中を僕は忘れられません。
同様にルナという猫のキャラクターも『カヲルくん』を使いました。
なんとも不気味で笑えます。
「ルナの色の全身タイツがないんですけど黒でいいですか?」
「えー、黒かぁ」
「分かりました、じゃあ塗ります」
逞しい。
この撮影で一番大変だったのはなんと言っても、
歌詞の《 ♫何度も〜 巡り会う〜 》の部分で、3人のキャラが背を合わせて回るところです。
演者は例によって一人なので同時に撮影ができません。
そして回転板を作る余力がなかったので、カーペットに段ボールを敷いて滑らせて回転させました。
それが中々上手くいかず失敗を重ねるうちに、どうやらダンボールの中心に演者と同等の重しが必要ということが分かりました。
そこで当時スタッフ参加してくれていた男の子がグリーンバックの余り布を全身に巻き付けて重しとなり、なんとか撮影できたのでした。
映像をよく見ると3人の足元に確かにそこに彼がいた証拠の影が見て取れます。(彼は元気かなぁ)
僕のお気に入りは最後の《テグスで髪の毛やセーラー服、スカートをヒラヒラさせる》ところです。
本当にアホっぽい。