大学1年生に送る 講義を最大限に吸収するためのアドバイス
春から大学の講義が始まります.4月から新たに大学に入学された方は,初めて大学の講義を受けることになります.このnoteでは,大学の講義を実り豊かにするコツをお伝えします(コツと呼ぶには大仰ですが).
レジュメにメモをしよう
大学での講義は高校までの授業と異なり,ある種の主体性が求められます.一般的に,大学教員が手取り足取りフォローすることは期待しないほうが無難でしょう.
大学ではスライドを投影する講義が現れます.そのような場合には,レジュメが配られることがほとんどです.スライドを見ているだけで講義は終わってしまいますが,それではあまりにももったいないです.
レジュメにメモを取りながら講義を受けましょう.レジュメには講義のすべてが書かれているわけではありません.レジュメに載っていないもので,重要なことは2つあります.
図:私の学生時代のレジュメの一部
1つ目は先生が話すことです.レジュメは要点がまとめられていますが,細かい点は口頭で伝えられることが多くあります.例や言い換え,ニュアンスなどレジュメには書かれていないことが多いのです.先生の話に耳を傾け,メモを取りましょう.
2つ目は自分が思ったことです.講義を受けていると,あれこれ思うことがあります.単に先生の「ここが重要だ」という点をチェックするだけでなく,この点は面白いなぁ,ここは知らなかった,あるいはよくわからなかったなどなど思うところがたくさんあると思います.そういったことは積極的にメモしていきましょう.
面白い点や知らなかった点はメモすることで,より深く記憶に刻まれます.また,テスト前に見直せば重要な点を見直すことができますし,卒業後に見直してみると「ここにマーカーがついてる,今と感性が違うなぁ」というように意外性を楽しむこともできます.
わからない点については,あとあと調べるためにメモをします.特にわからない点は本を参照して調べましょう.すぐにスマホで調べるのもよいですが,間違った情報が書かれていることもままあるので,本を参照するのが安心です.
すぐに「わかった気」にならない/すぐにわかろうと焦らない
メモをとるのは,講義の理解度を深めると同時に,自分の理解したもの/理解できなかったものを整理するためでもあります.
スライドを見て話を聞いていると講義の内容を「わかった気」になりやすくなります.しかし,たとえば授業が終わったあとに授業の内容を説明できるようになっているでしょうか.おそらくそれは難しいでしょう.わかったと思っていても,実は自分の言葉で説明できない(=わかっていない)ことがあるからです.
しかし,講義の内容をあれこれ考えながら生活していると,徐々に理解が深まっていくことがあります.わからない状態と長期間向き合うことで,理解が深まるのです.講義を受け,メモを取り,何がわかって何がわからないのかを整理し,わからない状態を抱えて生活する.こうすることできちんと講義の内容が身につくのです.これはスライドを使わない板書中心の講義でも同じです.
高校生,そして受験期を乗り越えてきたみなさんの中には,「講義を受けたらその場で理解しないといけない」というある種の脅迫観念を持っている人がいます.しかし,その固定観念は捨て去ってください.
さきほども述べましたが,わからない状態と向き合うことで理解が深まることがあります.焦らず,じっくり理解する術を体得しましょう.
自律した学習にむけて
大学では,最終的に卒業論文ないし卒業研究をまとめなければいけません.その内容は誰からも教えられることはありません.自分で見出していかなくてはならないのです.
そうであるならば,普段の講義から自律した学習の仕方を訓練していくのはいかがでしょうか.今回,紹介したコツは講義を受け,他人の助けを待たずに自ら理解へ向かう方法であるといえます.そういう意味で「自律した学習」のひとつと言えるでしょう.
みなさんが講義を最大限に吸収し,自律した学習者・研究者に育つことの一助になれば幸いです.