田舎のマイルドヤンキー経営者
仕事でとある中小企業さんを訪問した時のこと。初めての訪問で少し緊張しつつ、アポ時間に到着。入口は薄暗く人の気配が無かったけど、ガラス越しにソファに座ってスマホ片手に手招きする人の姿が…。
「あ、この方が今日のお客さんか」と気づいて、建物の中に入る。「失礼します!今日はよろしくお願いします」と伝えても無反応。特に招き入れる様子もなく、先方はソファに座ったままスマホを見ている。
「ん?あんまり歓迎されていない?」と感じながら、名刺交換。といっても先方からの名刺はなし。うーん、やりづらい。というか呼ばれて来てるんだけどな、僕。
話をしていたら、天候が気になってスマホを触っていた様子。職業柄、天候に左右されるので仕方なく、それなりに納得。打合せも盛り上がることは無く、淡々とこちらから説明や提案をして、ポツポツ受ける質問に回答する時間。
表情も眉間にシワをよせて強張っている。「あれ、メンチ切られてる?」正直これからお仕事一緒にやるテンションではない。ただ、先方の話を色々聞く時間になると機嫌が良くなり始める。
最近の出来事や大変だったこと等を話してもらえ、口数も少しずつ増えていく。受ける側としては、「凄いっすね」「大変ですね」と共感&肯定の連続。雰囲気は最初に比べて柔らかくなる。「はじめからこのスタンスで入りたかったけど、ムズかったな…。」
まだ話したそうな雰囲気はあったけど、時間になったので打合せを終えて建物を出る。ヤンキーの先輩と会っていた時間のようだった。昔バイト先にいた暴走族の先輩の顔が浮かぶ。
いわゆるマイルドヤンキー経営者。最初のコミュニケーションは難解だけど、徐々に盛り上げながら接すれば話はできるようになる。見た目や態度はイカツイ。それでも田舎なので仕事はある。
ローカルで仕事をしていると、たまにトンデモナイ人と出くわす事がある。慣れないうちは怯んでいたけど、最近は淡々と受けれるようになってきた。むしろ、珍獣ハンターのようにそんな出会いを面白がってもいる。一緒に仕事をしたいかどうかは別として。
次はどんな珍獣に出会うのかな。人も選択肢も限られている田舎だからこそ経営者も多様だし、そんな人たちが集まって地域は出来上がっている。