【京都大学公共政策大学院・地方行政実務実況シリーズ】「データの利活用による行政の効率化・高付加価値化」(第3回授業:2019年4月22日)

業務プロセス改善(RPAブームを例にして)

授業本文

1. 今日の授業のポイント

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今日までを概論として位置付けていますが、4回目以降の授業でもこれまでの話に戻っていくところもあります。
今日は、データ利活用による行政の効率化なり高付加価値について、どういうことが言われているか考える授業です。

論点は3つです。

・業務プロセスの改善
・データに基づく業務改善・施策立案
・クラウドサービスの活用

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これは、今年度京都府庁において予算化されたものですが、これを踏まえながら、議論の中心は、最初の「業務プロセス改善」になります。残りの2つについては、今後の授業で取り扱うあるいはみなさん自身で手を動かして感じていただくことを通じて、戻ってくる論点かと思いますので、その際にメンションできればと思います。

2. RPAブーム?

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それでは、前回授業でお示しした参考資料としての横浜市総務省の資料において、いわゆるRPAと言われているものについて、そのブームを例に考えていきたいと思います。

RPAと自治体

RPAって名前聞いたことありましたか?
自治体の実務において、今流行っています。今日も3人の自治体職員さんもお見えで、すでに取り組まれておられる方もいらっしゃいますし、これからお考えで、今日お見えになった方もおいでではないかと思います。授業においては、こうした状況そのものと、その際に何が問題になっているのかということをお話します。

京都府の予算をご紹介しました。割と大きな予算で、もともとは平成29年度から取り組んでいますが、今年度は初めて「生産性向上」という名前で予算として打ち出しています。それはこれまでやってきたことを踏まえて取り組みを加速させようというものですし、今、京都府に限らず自治体の重要なテーマとして出てきたということかと思います。

それは、横浜市もそうですし、総務省の研究会、そしてのちほど取りあげますが、国も今年度予算をつけて、自治体の取り組みを加速させようとしています。京都府も、こうした動きに先んじてというか、そこまで偉そうに言うつもりはないですが、そのトレンドを作ったと言われています。それを示す意味で、ちょっとビデオをみていただきましょう。2018年6月のNHKの「おはよう日本」で京都でのRPAの取り組みを放送された中で、京都企業とともに京都府庁のことも紹介いただいたものです。

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実際にご覧いただいたようなRPAを使用したのは、平成29年のことですが、
放送でも「全国から問い合わせが殺到しています」とあったように、本当に問い合わせが殺到して、視察にも多くの自治体さんがお見えになりました。よく冗談で視察受け入れ料金を徴収した方がいいんじゃないか、という話がありますが、実際そう思いました。取っていませんが。

RPAとは

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RPAはRobotic Process Automationと言われるもので、ここでいう「ロボット」は、工場におけるオートメーションとパラレルに、我々のようなオフィスで働くホワイトカラーにも同じように自動化を適用できるのではないかというものです。つまり、ロボットといっても、ハードウェアというよりも、パソコン上のソフトウェアとして文字を入力したりメールを送ったり、Webサイトを見たりするといったイメージです。

みなさんも、レポートにつかうために、Webページの情報をコピペしていることがあると思いますが、あれを自動で行うというもので、結局はパソコンの操作としては一緒のことをしています。

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ロボットが何をする、という見方よりも、何をしているかをイメージするために説明の仕方を変えますと、仕事には、ゴールがありますよね。つまり、「これをやって、次はこれをやって…最後これが目的」というものです。自治体の「お役所仕事」のイメージをどれだけお持ちかありますが、だいたいがやることは決まっていると言われています。日本の行政は、ジョブディスクリプションが決まっていなくて担当業務は決まっていても、具体的な内容が厳密に定まっているというアメリカ式ではなくて、業務そのものが繁閑があり、そのためにメンバーでそれをうまく吸収しながら非定型的な業務もこなす、というものです。

とはいえ、図の作業1から6のような定型業務もあるわけです。この一部を自動入力・自動作業といった人を介さないやり方をする訳です。これによって、一番大きく出てくるのは時間をかけない、さきほどのビデオでも、人手でやると300時間かかるものが30時間弱で済んだとありましたが、人であればそれだけかかる作業が、RPAでは短くできるというものです。具体的には、作業5のところにあるように、それが作業結果のチェックだとすると、その前は、人がひたすら入力してそれをチェックするというよりも、入力作業はRPAに任せることで、その間に人は別の作業ができるということになります。

昨今、残業を減らそうということがよくクローズアップされ、それを狙うためのRPAもありますが、そうではなくてじっくり考える時間を捻出する、普段は時間に追われて創造的なことを考えてもらうという意味での働き方改革にうってつけだと考えられているわけです。

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こうしたものは、金融機関を中心に進められたものですが、このページでいう国内導入企業が5000社とあります。昨年度の授業でお話したときは、まだ桁が1つ少なかったです。今年は、またもっと増える、使っていないことがおかしいといったことになるかもしれません。そして、RPAを導入したら、5割以上の業務工数が削減できると言われています。京都府の事例でも、自動実行により、所要時間が1/10になっていましたね。

さきほどのビデオでもあったように、自動化するときのツールとしてRPAが作業をするということによって、業務の25%が自動化される2019年であるというように活況を呈していることになっています。

自治体RPA ブーム

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京都府が実施したのは2017年でしたから、相当に早いものでしたが、自治体はそこから検討が急速に行われました。おそらく、今や自治体において、RPAを知らないことはないのではないかと思います。

今日は亀岡市さんが来られていますが、亀岡市さんがされたのはこの間ですよね。その前から検討をしていたということでしょうか?

(亀岡市)そうですね、この春に実証実験でやりました。(経緯としては)上から話が来たものですね。

おそらく他自治体でやっていた話を聞いて、そういうことになったんでしょう。さきほども、来られている兵庫県さんともお話されていたかと思いますが、自治体間の情報共有のパイプは、いろいろありまして、都道府県単位の会議や京都府でも府と市町村の集まりがあります。そうした場で「どうだった?」という形で、1800自治体が同じ業界として情報交換を行う。

ブームの終わり?

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そういう意味でブームなんですが、私はブームの終わりに差し掛かっていると思っています。それは悪い意味で言っているものではなくて、これはガートナーという調査会社が毎年出している「ハイプ・サイクル」と呼ばれる図です。

先端技術が、社会にどのように受け入れられているか、技術としてどの程度成熟しているかということを示したものです。これが正しいかどうかという議論もありますが、ここでは構図そのものとして、「黎明期」の後に、「流行期」が来て、その後「幻滅」といった流れを理解しましょう。ここから先が重要だと思いますが、それが安定していく過程だと整理するものです。それによると、2018年にRPAはピークを過ぎたものとされています。

最初の授業でも申し上げたとおり、この業界でこのように言われることはなぜなのか。持ち上げたり梯子を外したりするようなことによって、何をしようとしているのか、そういうメタ理解を持つことが重要です。

3. RPAを通じて理解する自治体の業務

自治体職員は、何に忙しいのか?

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話を進めると、横浜市の実証実験の報告書を読まれて、みなさんどう思いましたか?99.1%の削減率を達成したとありました。400時間程度のものが数時間になるような効果が出そうだというものでした。これは一定期間で実施したことを年間分として割り戻したものです。だいたい一定期間、3ヶ月程度が多いですが企業と無償で実施したりすることで、どのような可能性があるかを試すパターンが多いです。

その結果としてよく出てくる話は「これだけ減りました!」というものです。

私は、この削減率そのものはあまり重要ではないと思っています。すごい減ると「すごいな」と感じますよね、やはり効果があることを証明したいというモチベーションがあるので、そうなります。そのことそのものは悪いことではありませんが、そうした効果が出てしまう仕事がたくさんあるということは何だ?ということでもありますよね。

横浜市の場合は、報告書にもあるとおり、取り組んだNTTデータによるレポートが別途ありますが、その整理で言えば「基本的情報処理業務」とされている、データ入力、貼り付け、計算といったもの、それは自治体職員がよくやっていることですが、忙しいとされている自治体職員、これは正規・非正規ともにですが、そうした業務が積み重なっている中で、RPAが入るとこれだけ削減できる、すると普段やっていることって何なんだろうとなります。

また、報告書にはあまり書かれていないことですが、なぜこうした業務があるのはなぜだろう?と思わないでしょうか?おそらく、報告書はそこは注意深く説明を回避しているからで、すでにある業務だとして、その是非には言及しません。それは、現にその仕事をやっている職員からすると、「おまえの仕事なんて要らない仕事なんだ」と感じてしまうことになってしまいかねないからですね。

では、こういう業務があった方がいいかどうかは、いろいろ感じられるところですが、あくまで全体の仕事のほんの一部で、その手順でやっている「基本的情報処理業務」の一例として出ているとしておきましょう。そうしておいて、「基本的情報処理業務」があるね、と抽象化して全体像を把握するために抽出されたものだと理解しましょう。具体的に業務の是非はその上での話だということですね。

RPAで成果を出すことの難しさ

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もう1つ分かってきていることは、仕事の中身に係ることではなくて、人がその業務をしなくてよくなるので、その分の人件費がいらないのではないか、ということがメリットとしてよく出てきます。

そうした中で、思い切って書かれた報告書として、愛知県一宮市の結果では、

削減効果は金額換算すると、RPAソフトのライセンス費用と同じです

と書かれています。

やって浮いたコストと導入コストが同じです、ということですね。

NHKのビデオであったように、たくさん同じような定型業務があるのであれば、RPAではなくて本来システム化すればいい話です。この結果で同じように言っていることとして、システムではできないことをプログラムを変更して求められることができるようになることを、バッチ処理と言っていますが、それとも費用は変わらないと言われています。

RPAでこのようなことができる、というだけでは金銭的なメリットが出ないということを言っているわけです。一宮市さんも、無償で企業から提供してもらって実証実験をやられています。無償で提供する企業側も、実績が欲しいわけですよね、実績を持って、別のところに営業にいくわけですから、そのため(PR費用)に、当該自治体からはお金をもらわない、Win-Winでやろうというのがよくあるパターンです。

つまり、1自治体で1つの業務では効果がでないということであれば、

・1つの業務ではなく、複数の業務でやる
・1つの業務ではあるが、同じ業務をしている複数の団体でやる

ことができれば、コスト的なメリットがあるのではないか、という話になります。

4.あるある4兄弟

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これだけ仕事の時間が減ると、工数削減のみでなく、新しいことを生み出す時間を持てるという別の効果があるわけですが、こういうRPAの効果って何なんだろうという、自治体に限らず、企業の間でも、この手のITツールを導入するときに言われることです。

そして、RPAが流行っている。同じように行うと、さまざまな形で結果が出て、分かることが増えてきました。自治体だけでなく、民間でも毎日のようにRPAの報道がありました(最近はそうでもありません)が、それを、ここでは「あるある4兄弟」として、注意すべき点まとめてみます。それが、先ほど申し上げたメタ理解のための補助線です。

①ロボットに対するイメージ

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まず、ロボットに対するイメージです。
RPAは実際はここであるような実体的なロボットではないですが、たまたま「いらすとや」であるようないろんな見方を投影させていることがあります。こういうことを「居酒屋談義」という言い方で、結局、RPAに答えを求めても意味がないものと思います。

なぜなら、右側に貼り付けたスライドで率直に言っている人がいます。これは実際にRPAを現場に適用しているエンジニアの方のコミュニティで発表されていたことですが、
・できることをさせているだけ
・結局はプログラミングが必要
ということが分かった上で、では自分たちは何に使うのかということを考えるべきではないかというものです。

②行政の業務実態

未解明な業務の詳細

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このときの「何」というものが、自治体にとって難しい問題を示します。

業務の時間というだけでなく、仕事の具体的なもの、つまり「書類を作成して…」といったタスクのようなもの、から、スライドでは手続きのことを書いていますが、この手続きがどのくらいあるのかという量的な把握がないと全体像が分かりません。

そこで、オンライン化された手続きについて国が実施した調査ですが、面白いのは、オンライン化できれば、その後はソフトウェアで処理できて人手を介さなくなることで確認作業や間違いがなくなります。そうしたものが、一体どの程度あるか、といえば、オンライン化されたものは20%となっています。

その上で、重要なことは、「不明」で、全体の63%あるというものです。手続きの中身というより、「年間手続件数」とあるように、どれくらい使っているかということも不明なのです。運転免許や地方税の徴収といった、いわゆる行政の仕事だとみなさんイメージがあるものは、この表では、年間手続件数で上位のところにいますが、オンラインできるかどうかも分からないものが、これだけあるということが分かるようになったのがつい最近だということです。

実際、どうすればいいかは答えがあるものの、できていないものがたくさんある。最初からオンラインで出来ていればいいのですが、本人確認をどうするかがボトルネックになっています。そこには紙が介在するために、人による転記とか確認といったものが発生するわけです。

前回授業でご紹介したような、大学図書館の利用者証の更新もそうでした。更新したいと申し出た人が本人なのかを確認する手続きがボトルネックになっていて、そうしたものがとにかくたくさんあるというものです。

業務の棚卸しが不可欠

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では、こういうことは解決できないのでしょうか?特許庁の例で説明すると、資料そのものは、AI活用可能性というテーマの資料ですが、それを検討するために業務の棚卸しをしています。AIって何だと説明はせずとも、「データで取り扱いができる」と簡単に定義、ないしはそうしたものを表裏一体であると考えましょう。「デジタルにできる業務」がどのくらいあって、どういう形でデータで使えるかということが、特許庁で言えばレベル4とか3とか本来は綺麗に分類できることが重要です。それが自治体においては、まだまだ分かっていない。

逆に言えば、こういうものを綺麗にして、自分たちの業務をきちんと理解しないと次のステップにいけない、これがRPAによって少しの効果があったとしても、他の業務もやめられないということがあります。

公務員組織は持続可能か?

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また、業務の量もそうですが、行政の業務実態では、人がいないという問題もあります。左側のグラフは、同じく一宮市の資料ですが、労働者が2040年に向かって公務員も含めて減少するとなっています。それに高齢化の進展によって行政サービスが増えるため、業務量が増えるわけです。それに必要な業務量を投入するために、AI・ロボティックスを導入したいね、となるわけですが、そのために、先ほどから言っている「何だかよく分からない業務を減らす」ことによってそれを生み出さないといけないわけですね。

そのためには、全部調査をして、分解をして…となります。それが現状のマンパワーの中で実施してその中身を判断して決められるのだろうか、現実的な実態として難しいのではないかなということですね。

③ITベンダーと行政の関係

ITベンダーはどのように見られているか

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次に、身も蓋もないことを言えば、RPAを販売するITベンダーさんの方からも考える必要があります。そうした業界の人と行政がお互いをどう見ているか、ということの理解も必要です。

説明は、ITベンダー自身が作成した資料で行います。投資家向けに説明している資料で率直に書いていますが、左側は、マクロで日本国内のIT投資の動向がこうで、右側は、それに対してどのような戦略を行っていくかを説明した資料です。

(投資家)IT運用案件のような利益率の高い案件は今後減っていくが、どうするのか
(会社側)RPAは好調(=儲かります)

とやりとりしています。

右側の図で「プロダクト軸」の区分で、既存マーケットにおける新機軸と位置づけられるAI・RPAというものを、言い値で買って(=会社を儲けさせるだけで)いいのか、ということにもなりかねないですね。もちろん、売り買いの世界ですので、高く買う・安く買うということはありうるわけですし、次のスライドでは、ITベンダーさんが総務省の研究会で、自治体のデジタル・トランスフォーメーションを支援していきたいということを表明しています。

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ここに論理的な破綻はないわけですが、この資料でも、ずばり利益率の高いコンサルティング、アウトソーシング受託といったものを書いているわけです。こうした話に自治体も乗っかるのか、ITベンダーのためでない一方で、そうしないと先ほどの今後のトレンドの中で業務がどうにも回らなくなるという現実もあるわけです。

ITベンダーはどのような立場なのか

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もっと、さらに身も蓋もなく言えば、お互いのことを言い合っていることも公になっています。

左側の図は、自治体側目線、右側の図は「ベンダ提供資料」とあるように、作成は総務省ですがベンダによる目線で描かれているものです。

左は、行政側で「ガバナンスの弱い」小規模団体とありますが、システム投資の費用対効果をきちんと見極められるか、という意味で言うと、それができていないときにどうしよう、売り手側の言いなりになってコストが上がりますよね、つまり自治体がいい鴨になっていないか?と言われているものです。

他方、ベンダ側も、仕様が固まった商品(パッケージ)を販売するというものではなく、お客さんが求めるカスタマイズを行うことが、割りに合わないということもある言っています。

それはなぜかと言えば、議事録に書かれていることですが、東京なり、京都でもそうではないと思いますが、こういう業界では、スキルを上げていくために仕事が必要です。いきなりバリバリできるというものではなく、勉強してスキルを高めていく、そういうチャンスを求めて、最近は大阪で仕事をしていたエンジニアさんが、地方にも等しく自治体はあるわけで、手掛けられる仕事があることはわかっているが、成長のチャンスがないため、東京にそれを求めていくという流れがあります。

また、地方には同様に役所の中にもスキルを持った人がいないのですね。そうしたときに、制度をシステムに落とし込める技術に明るいのは、実は自治体の中ではなく、ベンダにあるということが往々にして起こります。というのは、行政の制度は頻繁に変更になります。特に近年は、国が補正予算を編成して、例えば既存の給付制度に臨時で別の給付を追加したりします。制度設計とその周知に時間もなく、自治体がすでに有しているシステムで対応しようと考えるのは当然です。補正予算では、通常そのシステム改修の費用も国が負担しますが、ともかくもシステム改修を急がないといけないときに、とにかく改修を行う費用が高止まりして、わーっと作る。それが当たり前になると、自治体側も職員がノウハウ蓄積のため、その担当を続けざるを得ないという実態が生まれるわけです。

自治体とベンダが対峙するというか、向かい合って仕事をするときに、持ちつ持たれつという関係が発生してくるわけです。

2025年の崖

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そうしたことは、自治体に限らず、2025年の崖と経済産業省では言われていますが、そうしたスキルを持った人も等しく歳を重ねていきますから、それまで担っていたシステムのメンテナンスが、エンジニアがいなくなることで保守できなくなるのではないかという問題設定です。

そうした事態は、お客さんである自治体側にとっても、コストが高止まりするばかりか、新しい分野に人的リソースをさけないという構造的な手詰まり感に対して、実際2025年なのかはあるかもしれませんが、早晩発生していくこととして認識されています。

これを誰が解決していくのか、となるときに、自治体の話ですと、考えるべきは国との関係だと思います。

④国と自治体の関係

地方自治と標準化要請の緊張関係

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さきほど1800自治体あって、同じような業務をやれば、99%といったような自動化できる業務があるとなったときに、1つ1つの自治体で実施することであれば、同じコストがかかってしまうような構造ですから、では、国として1つにまとめるではどうか、と言いたくなりますね。しかし、それは地方分権の理屈の中で、国が自治体の業務を決めてしまうのはダメではないかという議論が出てくるわけです。

しかし、そうした抽象論のレベルで言ってよいものでしょうか。というのは、業務の中身がわかっていない現状で、「すべき・すべきじゃない」と議論できるものでしょうか、ということですね。これが地方自治の論理とデジタル化のための標準化要請との緊張関係と言えるものです。

そうしたときに、国が考えていることとして、総務省の審議官が説明していることに注目しましょう。

・国が財政調整をして、地方の仕事を回している実態
・自治体の効率化のためのシステム投資の原資の大部分を国がコントロール

している実態があります、と。

これが前提である以上、国も自治体向けのお金を減らしたいわけですね。他方で、自治体はもっと欲しい(そして自分の業務を効率化する投資をしたい)という構造ですよね。お互い効率的に財源を使いたいというところではWin-Winになるはずが、ここでの発言は、
・自治体はシステム投資をつぎはぎでやってきた
・裏負担として国が財源の保証をする仕組みに財政制約がある
から、自治体の今後の投資に対して、国がどこまで付き合いきれるか、と言うことを率直に言わざるを得ないというものです。何も考えていないということではなくて、分かっているけどできないというなかなか難しい問題構造があります。

国による業務プロセスへの関与

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こうしたときに、法律の規制として、国は地方自治法なり、行政法を勉強された方なら「法律による行政の原理」という概念があるとおり、国が法令で定めを置くことがあります。その定めのうち、手続き的なもの、例えば申請の定めを置くものの、「どうやってそれを行うか」というレベルのもの、昔であれば通達ですが、今であれば技術的助言だったり、省令で様式を定めたりもしています。ここでは案件処理過程という言い方をしていますが、手続き的な統制をしてはいるものの、具体的な業務は自治体側が決めているということがあります。

そうしたことは、国が財源のコントロールもするし、仕事の内容を決めるというのは、地方分権の観点からすれば好ましくないので、好きにさせようとなっても、システム的な制約やそもそもお金があるのか、という問題があります。さらに、RPAのようにみんなが同じように使わないと費用対効果が出ないようなものを使うようなとき、1800自治体がいっせいのーせで、やるのかと言えば、希望的観測ではないか。

そのとき、どのくらいのことを手続きで定めるか、それをシステム処理で行うとした場合に、どのようなシステムにするか設計書を書けるかどうか、さらには設計書通りなのか、言い換えればシステムを作り始めてようやく分かるようなこともあり、出来上がってから全然違うものになっていたということもあります。

さらに、この授業で申し上げるべきことは、こうしたことは供給者側の目線であって、住民側であれば、例えば引越しのときに、自治体によってちょっとずつ違うというようなこと、最初から分かっていたらそうしたのに、というようなことがあります。会社あて提出書類を用意したら、実は自治体が用意する標準的な書類だとそれが書かれていない、欲しいことを証明するのはまた別の書類ですとなった。手数料であれば、350円がもう350円必要になったというようなことで、たかだか350円ですが、2度手間ですし、一緒にすればよかったではないか(それがクレームとして出てきたらどうするでしょう)、みたいなことですね。さらに、様式に余白があってそれを追記できるようにシステムで対応すればいいじゃないか、となると、そのためのカスタマイズをしようとなってくるわけです。

若干模式化したかもしれませんが、戦後70年続いてきた自治体における行政は、団体自治の強化が図られるなど大きく変貌を遂げてきたとは言え、国との関係や住民との関係においては、手続きの枠組みそのものは、継続されて、変わらないということもまた事実だと思います。

国と自治体の間での事務の内実

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これをさらに、国と自治体の間での事務の内実を見ていくこともできます。例としているのは、地方公共団体の財政の健全化に関する法律における財政健全化比率の算定・報告をすべし、とされている事務です。

報告する数字については、他の事務、ここでは地方交付税の基礎数値として持っている数字なり、決算で定めた数値も用いることになります。実態として、そういう他のところで作った数字を使いなさいとなるわけです。

市町村は、それらから数字を転記をして、都道府県に提出します。法律上は自治体が総務省に報告するとありますが、都道府県においてとりまとめる(政令市は別なことが多いですが)という運用をしています。

すると何が起きているか。
市町村の担当が提出した書類に不備がないか、都道府県職員がチェックをします。すると、どうしても間違いがあるわけですね、それを市町村に戻して、再度作業をしてもらう。それが直れば都道府県が取りまとめて総務省に報告するというわけです。これを1800自治体がやっている。

なぜ間違うか、の中身は、単純なものもあれば、根深いものもありまして、これらはエクセルの所定の様式に入力してもらうのですが、例えば単位未満の処理で起こることがあります。1つ1つの単位未満を合計すると数字が丸めた場合の結果と1違うことがありますよね。演算は間違っていないけども、入力した本人が見えないところで数字が合わないということを、間違いだとして往復するわけです。まさに年中行事として忙しい時期に同じ役所の中と、都道府県と市町村との間で輻輳しているわけです。

こうした現状に対して、何を変えるべきか?

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京都府が中心になって、「3つの様式の数字は同じなのであれば、システムを統合して、1つ入力したら他は自動転記するように国がシステム構築すべき」と提案したら、総務省は当初、

地方団体の責任で公表するので、それに係るシステムは地方団体で構築するべき

だと回答しました。

いやいや、そうさせているのは国でしょ、ということで、地方分権に関する提案募集の有識者会議は、国の配慮責任だとして、地方側に負担のない形で整備すべきではないかとされたものです。最終的には、その方向になりました。「負担のない」というのは、金銭的な面と業務的な面の両方を含むものだと思いますが、そのように業務をするよう設計したのだから、国は現場の実態がどうなるかきちんと考えなさいよということですね。

ただですね、私、確かにこの提案制度に持っていくように担当課にお薦めしたのですが、決着の仕方としておかしくないか?とも思っています。自動転記する内容を見てみましょう。今は、それぞれの様式を開いて、場合によっては紙に打ち出して見比べて、まずは紙で赤字か何かで書いていくでしょう。それはそれで…と思いますが、たくさんの数字を確認するにはそうしがちです。それをエクセルで入力して確認する、というものでしょう。それと同じことを、単にエクセルの関数でリレーションかけるとかそういう話になるのでしょうか。

端的に言えば、これは総務省に報告するという法律の規定ですが、総務省側が欲しい形でやっておけばいいのではないかと思います。「自治体が総務省に報告する」は、数字を1つ1つ丁寧に入力することを意味するのでしょうか。よく考えると不思議です。他の様式で報告済みなんだから、同じ数値を自治体が別途入力するという手順が必要なのか、誰が入力しても同じなのではないかということですね。

あるいは、同じ意味ですが、その先行する書式の中で同時に健全化法に基づく報告も兼ねられないのか。単に法制度ができたのが前後しているだけで、おそらく先行する交付税の手続きなり、決算統計の手続きを参考にした、実際にはしていない可能性もありますが、総務省は違う部署が担当するわけですけども、自治体は同じ人が場合によっては担当しているでしょう。

決算統計での分析では、数字の確認するために、京都府調べでは、60項目とあります。京都市以外となりますから、25市町村、60項目の合計を、この時期には10人なりの職員が対応します。まあ、一発オッケーだったらまだいいですよ。しかしそうならないときに、市町村も「終わったー」と思ったら、京都府から「入れ直せ」とくるわけです。しかも、それは最終的にはエクセルの単位未満の処理の問題だったりする。その徒労感はなかなかなものがあると思います。

自動転記は一歩前進ではありますが、その手前の自治体内での作業はRPAで何とかすればいいという問題でしょうか。また、これは総務省での事例ですが、他の省庁でも同じことがたくさんあるわけです。

行政のデジタル化では、ワンストップとか、ワンスオンリーということが言われています。住民サービスの向上の観点で言われていることですが、そもそも行政間の手続きというか、制度の見直しも随時行われていますが、こうした点からの検討はあまりなされません。現場の担当の「徒労感」にとどまっていることが多いからです。

申し上げたかったことは、国の制度設計によって、自治体の業務がどうなっていくかの想像力の話です。総務省であれば、書式の原案は、大抵は担当課の係長さんが決めています。そして、決算統計でも、毎年少しずつ変わるわけです。「●表の▲が変わりました」と。その変更に意味はあるのかもしれませんが、基本的な情報処理がこうして1つ増え、それが全国に及ぶという話でして、まずこうしたところをどうするかというのが実態であります。

議論が深まらない

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さて、次に、こうしたRPAなりAIの導入について、国の未来投資戦略、いわゆる現政権で言うところの成長戦略ですね、それを毎年改定する中で、公共サービスのスマート化も対象になり、議論が行われています。議事要旨なので、出席者は分かりますが、発言者が書かれないため、どの省庁の発言かが分からないようになっていますが、その議論をしていると言っても、同じ言葉を使っていてもその意味するところが微妙にズレていることが露わになっていることをご紹介し、検討しましょう。

例えば、何を問題にするか、という意味でのイシューに関してであれば、

・手続きの電子化、オンライン化、添付書類の撤廃といったことへのソリューションの過程でRPAを導入したい
・手続きが継ぎ接ぎだらけの状態でやるのではなく、まずは制度そのものを見直すべき、単にベンダー儲けさせるだけではないか

こんな議論になっています。
もちろん、ベンダーさんにその気になってもらわないといけないわけですので、後者の意見にはそのことにも触れている訳ですが、簡単にRPA入れようなんて言うなよといったように議論がすれ違いになっています。

また、どういう段取りで進めるかというロードマップに対するズレは、もっと深刻に感じます。ともにデータがないといけないという点では共通していますので、議論が成り立っているように見えるのですが、違う世界の人たちが会話しているように見えてきます。

他方では

・システムが使いやすいかといったUI、UXも大切

これは一見よいようなことを言っているように見えますが、もう一つの意見を見ると違うように見えてきます。

・標準化の観点からは、データを綺麗にしていくことが必要。デジタル化にはそのベースラインとしてベースレジストリを整えることから始めないといけない。

つまり、前者は具体的なデータの中身について議論をせず、システムの話をしているわけです。後者で言っていることは、データの定義が定められていて初めて、データをさまざまに活用するとかそれによるシステムが効果的に運用できるといったことを言っており、同じように「データがないからRPAとか自動化ができない」と、表面上同じような話をしていても、データの中身を見ることと、その担い手の話も視野に入れた際に、まったく違うことを言っていると思います。

こうした議論を見たときに、自治体側は、残り少ないリソースをどう投入して進めていけばいいのか、戸惑うのではないでしょうか。言ってみれば、国の中でも言っていることがちょっとずつ違うような中で、言われてきたら違うところに連れて行かれたということがありうるし、これまでは元に戻れたのかもしれませんが、今後同じような保証が、財源問題、体制の問題両面でも確たるものがないと言わざるを得ないと思います。

国も、よく言えば、試行錯誤しているということかと思いますが、1800自治体みんながこうした状況を待てるのか、ということを思うわけです。

ここまでのRPAの話で明らかになったことは、こういう問題構造が明らかになったことではあります。それには答えが出ている訳ではありませんし、このような試行錯誤状態ということでもありますが、明確になったこと自体はポジティブだと考えましょう。

つまり、RPAの登場によって「ああ、こうなったらいいな」というようなポイントが、それに向かうすべがRPAであると言っている訳ではなくて、RPAによって、よりリアリティがあるものとして明らかになりつつあること、課題が明確になり特定されたこと、これらはポジティブに考えることが大切だと思います。

5.「普通に」RPAを活用する

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その上で、RPAブームを横目に見つつ、考え方として別の軸をお示しするため、京都府で最近活用している「RPA」についてご紹介しましょう。クラウドサービス、第3のプラットフォームを使えば、RPAソフトをわざわざ買わなくても同じような自動化ができるという、その意味で「普通に」使った事例のご紹介をして話を締めたいと思います。

メールの送信・受信時間を自動記録する

私が担当しているネットワークの管理業務の中に、メールの受信状況を把握するというものがあります。これは外部からメールが送られてくる際に、ウイルスチェックをするなどの仕組みがあって、その処理が遅延していないか状況を把握する必要があります。

これまでは、職員のパソコンにあるOutlookで定期的にメールを送信して、それを着信させて、メールボックスにあるメールの送信時間と受信時間を見て、どのくらい時間がかかっているか目視するという業務フローになっていました。

すると、

・パソコンを立ち上げていないとメール送信ができない
・目視でメールを都度見ないと状況が分からない

といった問題がありました。これは、端的に言えば、パソコンをいわばアナログに使っているだけですね。

その一方で、みなさんもGmailとか使っていると思います。今回は、Office365というクラウドサービスを使って、そこからメールの送信時間や受信時間を抜き出して、その差分をとることで、メールが到達する所要時間を計測して、スプレッドシートの所定の場所に入力する、というワークフローを作ることを考えます。

このOffice365には、ワークフローを自動化するFlow(現・Power Automate)というものがあります。さまざまなクラウドサービスを連結させて、自分のやりたいことをすることができる訳です。

その中に、メールを繰り返し、自動送信するという部品があります。

さきほどの従来の業務フローを、クラウドサービスのOffice365に変えたらどうなったか。
Flowを使えば、Outlookメールを自動送信するブロック、Googleスプレッドシートに自動入力するブロック、があらかじめテンプレートとしてあって、それに必要な情報を入力するとメールからスプレッドシートに必要なデータを自動で入力できるというものです。

さらに、みなさんも今後触っていただきますが、TableauのクラウドサービスであるTableau Onlineでそのスプレッドシートを30分おきに呼び出して、可視化するとご覧のような色でメールの受信時間を示すアプリができるわけです。

もちろん、メールシステムを保守するベンダーさんはいます。しかし、障害発生になるまで連絡はきません。その一方で、ユーザーから「メールが何かおかしい」という問い合わせがきます。「おかしい」ということは、何かがあるのかもしれないということで、言われて初めて気が付くと、対応が後手に回ることも多いわけで、今どういう状況なのかを知りたいわけです。では、そのときだけ作業を中断して、手動で確認するということをするのかと言えば、わざわざそうはしたくない。

メールの到達の所要時間を計算するといっても、それを色で示すのは、数字よりも見てすぐ分かるというものですし、実際、厳密な数字までは必要ないわけです。だいたいの感じが分かれば、ご覧のとおり15分おきに微妙に状態が違います。そのトレンドを一目で知りたいということで、このようなビジュアルにしています。

このように、自動化されて集められたデータで、アクションをする、メールを送信するとかそういった手前のことが仕事ではなくて、色を見て状況を把握して何かアクションをするということが必要な訳です。そのために、クラウドサービスを組み合わせて、これは月2000円ほどで、Officr365のメールやワードなど一式を利用する中に含まれていますが、この中で安価に自動化であるRPAを実現することができるわけです。

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こうした考え方は、左側の図で、2008年時点の資料を載せましたが、パッケージソフトの所有からクラウドサービスを利用の流れの中で10年前からすでに言われていたものです。1からシステムを作るものというよりも、業務に合った機能を組み合わせるという「作らない」システムという考え方が重要です。

また、このことは右側のように総務省の研究会でも言及されています。
この際重要なのは、Officeのように多くの人が使っているサービス、これはサービス改善のサイクルも早く、それがさらに多くの人が使うようになる理由にもなっているものですが、そうしたサービスに合わせた仕事にすることで、サービス側がよくなるとそれを使う我々業務側の生産性も勝手に上がってくれます。

例えば、さきほどの例ですと、Flowでデータのやりとりができる情報はまだ限られていますが、今後増えてくるでしょう。また、Tableauの自動読み込みは30分ですが、ついこの間までは、そもそもスプレッドシートの自動読み込み機能はありませんでした。機能が盛り込まれた後、ユーザーが欲しい機能が実装されていくという流れがある以上、今後も便利になっていくことが予想されます。

6.国の取り組み

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そうしたことを視野に、自治体の業務を変えていくための取り組みとして、今年度総務省が「自治体行政スマートプロジェクト」と題して、自治体の業務を標準化して、AIやRPAなどを活用した取り組みを提案してください、と発表しました。これは全額国の予算で実施するもので、1000万円とか1500万円といった規模でやろうとしているものです。多分この授業の後半の頃にはどういう事業が採択されたかご紹介できるかと思います。
(採択されたものは、https://www.soumu.go.jp/main_content/000622403.pdf

次回の授業のご紹介です。
次回は、オープンデータとデータ利活用の概論となります。ここに紹介しているオープンデータ研修ポータルとデータアカデミーのサイトを事前にご覧ください。これまで全国の自治体で実施しているこれらの取り組みや、資料も公表されていますので、どういうことを扱っている話なのかは理解できるかと思います。授業では、この2つの関係を軸に議論していきたいと思います。

質疑

Q RPAの選定の基準はどのようなものがあるのか?

A 京都府のケースで申し上げると、プロポーザル制度による入札で選定しました。その基準の大きなポイントは、自治体での実績がない時点でしたので、「民間企業における実績」でした。行政の業務プロセスは、今日の授業でお話したとおり、まだ分からないというのが実情ですから、民間企業における取り組みを説明いただき、それを踏まえて行政での適用に対して、どのような具体性を持って取り組めるのかという点で評価をしています。6社応募があり、外部評価委員による選定を実施して、事業者を決めました。

横浜市の例でもそうですが、費用対効果をどう説明するかは、やはり難しいと思います。中身がなかなか分からないことについて、期待が先行したりその逆だったりする中で、どのように説明していくか苦労されているという話も伺いますね。


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