暇を潰す

蒸し暑い平日の午前のこと
わたしの恋人を名乗る男が言ったのだ。
「もうすぐ誕生日なんですよねェ~…」
不遜にも、贈り物の指定をしてきやがったので、前菜に鉛玉を数発くれてやったのである。

さて、例のブツとは、道頓堀のゲーセンにあるクレーンゲームの景品だという。
さっと取ってくれてやろう。これでこの話は終わりだ。


さて、あの筐体…いまや鉄の粗大ゴミは、ブツを吐き出さなかった。
今思えば、店員を脅して拝借することも考えられたが…もうあそこには近寄れまい。
闇市を漁るのも面倒だ。
形と大きさはおおむね把握した。
その辺にある布切れと、中にティッシュでも詰めて、ボタンで目をつけ、色はマーカーで塗り、完成とする。これでこの話は終わりだ。
教養の高さとは、手先の器用さと直結する。



あとはヤツが帰ってくれば、これを渡せばよい。これでこの話は終わりだ。
少しばかり労力を使ったためか、空腹であった。
先に夕餉を済ませておこう。

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