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自転車のチューブ交換を初めてやってみたら、”アレ”まで初めてやることになった

北国に住む私には、毎年暖かくなってくるとやることがいくつかあって、自転車の空気入れもその一つです。雪の時季に使われず、カバーも掛けずにほっといた愛車にはクモの巣が張り、タイヤの空気は抜けているもので、さて今年もいっちょやるかなと裏庭へ様子を見に行ったところ、ん?、なんかいつにも増して沈んでないか?

前輪
後輪

なんか前も後ろもパンク並に抜けてるんですけど・・・空気入るのかな、これ。うーん、どうしたものかと暫く思案・・・そこで私、あっ!と思い出したのです。

裏庭にほっとかれている自転車を「愛車」と言うと自転車愛好家の皆さんにはしこたま怒られそうですが、それでも言っちゃう我が愛車「GIANT SEEK R3 ライトブルー」は、2011年に自分への誕生日祝いとして購入したもので、当時都会に住んでいてマイカーを持っていなかった私は大変重宝しておりました。購入したジャイアントストアで定期的にメンテナンスしてもらうことで愛情を注いでいた、というのは言い方で、単に自分でやるのは億劫だという本音の裏返しだったのですが、2015年に突如として北国へ移住することとなり、その土地にジャイアントストアがないことを知った私は焦りました。私はこれからどうすればいいのですか!と駆け込み訴えへの勢いでいつもメンテしてくれる店員さんに相談したところ、店員さんは静かにこう諭してくれました。
「自分でやりましょう。あなたならできるはず」
そして私はその場でメンテに必要な最低限の備品を購入し、愛車と共に北国へと旅立ったのでした。

そうだ、あの時買ったチューブがあるじゃないか。あれを使わないでどうする。いつ使うの?今でしょ!
という訳で、そんな私の初めてチューブを交換した話、ご興味がある方は暫しお付き合いください。

まず、今回やってみるにあたって、教科書にさせて頂いた動画が以下になります。ジャイアントストアくまもとの近藤さんよる解説がとってもわかりやすく、大変助かりました☆

よーし、この通りやってみるぞー。まずは以前買っていた交換用部品を収納棚から引っ張り出してきました。

左から、チューブ、タイヤレバー、マルチミニ工具、ん?この輪っか何に使うんだっけ?、エアポンプ、掃除用ブラシと雑巾です

よし前輪から始めるとしよう。作業しやすいように本体を上下にひっくり返しました。

ハンドルとサドルで割としっかり安定します。よくできた作りだなぁとこんなことにも感心。

仏式バルブのキャップとナットを外し、バルブの先端を押して空気を完全に抜きます(もう完全に抜けていたけど・・・)。

さて、ここからが本格的に初めての作業です。タイヤの中のチューブを引っ張り出すために、タイヤレバーを隙間に差し込んでタイヤを外していきます。

1本目に差し込んだタイヤレバーの反対側はスポークに引っ掛けて固定します。
2本目を差すとが割と簡単にカバっと外れます。動画の近藤さん曰く、2本目は1本目の近くに差し込むと外しやすいそうで、その通りでした。
2本目をスライドさせていくと、どんどん外れていきました。

タイヤがリムの外側に外れたところで、ん?何でタイヤが本体に付いたままなんだ?と我に返る・・・そうです、順序が違うのです。先に本体からタイヤを外さないでどうするよ・・・いきなり近藤さんの教えに背いた私、動画をもう一度見返し巻き戻しやり直し!

まずはタイヤを挟んでいるVブレーキを解除します。
フックに引っ掛けてあるだけの単純な構造に二度感心。
簡単に解除できました。そして・・・
タイヤの軸で固定されているクイックリリースを解除します。
レバーを開いてクルクル回してやると・・・
カコンと簡単に解除できました!この構造に三度感心。

タイヤを本体から外したところで、先程開いたタイヤとリムの隙間からチューブを取り出していきます。

バルブに近い所から隙間を拡げていき、チューブを引っ張り出していきます。
ぐるっと一周してバルブの近くまで取れました!
バルブをリムから引き抜いて・・・
外れました!

そして動画の解説を参考に、タイヤの裏側やリムに傷や穴、異物混入などないかチェックしました。

指を入れてなぞっていき、感触に違和感がないか確認しましたが、正直よくわかりません・・・
リムはきれいのようです(初めてなのでそう思いたいだけかも・・・)

よーし、いよいよ新しいチューブの取り付けだ。

箱の中にきれいに折り畳まれたチューブに何故か興奮する私
動画の解説によると少し空気を入れてあげたほうがチューブがタイヤに入りやすくなるとのこと。
リムとスポークの汚れを落とし、今までかけてこなかった愛情を今更のように注ぎます。
バルブをリムに差し込んで・・・
リムの内側にチューブをはめていきます

ここで、うーん、うまくはまらない・・・近藤さんは堅いタイヤもあってはめにくい場合もあると言っていたけど、年数が経ちすぎてカチコチになっているような気がする。なんとかタイヤの内側にスペースを作ろうとバルブ付近に指を挟んでスライドさせたところ・・・事件は起こりました。

「プシッ!・・・シュー・・・」
なんか嫌な音がした。
今、確実に嫌な音がした。
マジか、マジなのか。
せっかくとっておいたチューブなのに?
やったのか?やっちまったのか?
あぁ、あのイントロが聞こえてくる・・・

この時私の脳内には大音量の「トッカータとフーガ ニ短調」が鳴り響いたのでした。
バルブ付近に開いた穴を確認し、半絶望に陥る私。
自身への激しい失望の中、むくむくと始まる自問君と自答さんのダイアローグ。
どうする?どうするよ?
新しいチューブをネットで取り寄せるか?
そんな簡単に買って済ませるのか?
せっかくとっておいたチューブをこのまま台無しにするのか?
直せないのか?・・・ん?
直せないの?直せるんじゃないの?
やったことないけど、やってみればいいんじゃないの?
パンク修理なら100均やホームセンターにもパーツが売ってたよね?
ひょっとしてできるんじゃないの?
その時不意に、あの人のあの言葉が蘇る。
「自分でやりましょう。あなたならできるはず」
そして私は猛然と駆け出したのでした。
近所のダイソーへ向かって。

あったー!100円でこんな便利セットが買えるなんて、現代日本はどうかしてるぜ!

よーし、パッケージ裏の説明書き通りやってみるぞ。

まずは穴が開いた周辺を表面がざらつくぐらいやすりでこすります。
そしてゴムのりを塗り・・・
指で伸ばしてすっかり乾くまで5分くらい待ちます。
乾いたらパッチを貼って・・・
ハンマーで叩いたり柄で伸ばしたりしながらしっかり貼り付けます。
よし、貼れたぞ!

なんか一応できたような気がする。でも、できたことの感動よりも、こんな簡単で良いのかという不安の方が大きい。空気を入れてみても抜ける音はしないし大丈夫そう。こんなもんかなぁと一抹の不安を感じながらも、本来の目的であるチューブ交換へ立ち返ります。

先程の失敗を教訓に、今度はチューブをリムに合わせて入れていくというよりもタイヤの中に押し込んでいく感じで、チューブを収めていきました。するとどうでしょう・・・

割としっかり収めることができました。チューブに空気が少ないのでフィット感はないですが、この状態でとりあえず空気を入れてみるとします。

空気が入っていくにつれリムとの隙間が埋まっていき、見た感じ均一にタイヤが張っているようなので、このままいきます。
空気を入れる量は「MAX 85 psi」とタイヤに刻印されているので80psiぐらいにしておきました。

タイヤから空気が抜ける音はしなし、リムとタイヤの隙間もうまく埋まっているようなので、この勢いで本体にタイヤを取り付けます。

タイヤの軸を本体にはめて、クイックリリースのレバー側ではなくナット側を回して締め具合を調節します。
レバーが良い力加減で閉じればOKのようです。

Vブレーキのフックを引っ掛けて、ブレーキの設置完了と同時に、前輪のチューブ交換達成です! テレレレッテッテッテーン♪
心に鳴り響くドラクエのレベルアップの音、暫しそれに浸る私。でも、いつの間にか辺りが暗くなってきている・・・いかん、陽が沈んでしまう。陽が沈む前にやり遂げなければ。そして私は後輪のチューブ交換へと勇みました。前輪で得た経験を活かし、作業はスピードアップです。

本体から後輪を外すため、まずはクイックリリースを解除します。
ナットを緩めます。
後輪にはチェーンや変速機が付いているので、前輪と比べると少し外すのが難しいですが、チェーンが外れやすいよう事前に一番重いギアに入れておくことが大事です。それから変速機を後ろに傾けてタイヤを持ち上げると、割と簡単に軸が本体から外れます。この構造に四度感心。
ん?でも、タイヤが何かに引っ掛かって外れないな・・・ここで私、また順序を間違えました。先にブレーキを解除しないでどうするよ・・・またしても近藤さんの教えを忘れた自分に辟易しつつ、そんな感傷に浸る時間はありません。
Vブレーキを解除した後、再び変速機を後ろに傾けてタイヤを持ち上げると・・・
するっと本体からタイヤが外れました!
そして、タイヤレバーを挟んでタイヤとチューブの隙間を作り・・・
チューブを引っ張り出し・・・
少し空気を入れた新しいチューブをタイヤとリムに押し込み・・・
空気を満タンにして・・・
先程外した時と逆の手順で本体にタイヤを取り付けます。
変速機を後ろの傾けてチェーンを一番重いギア(一番外側)に引っ掛けて、タイヤの軸をセットします。
クイックリリースのナットの方で締め具合を調節しレバーを閉じます。
Vブレーキのフックを引っ掛けてブレーキをセットし・・・
チェーンのリンク一つ一つに油を差して・・・
完了です!

最後は駆け足になりましたが、なんとか日が暮れる前にやりきりました。
試乗してみたところ特に違和感無し。
これでいいのか、これで大丈夫なのか、本当にできたのか。

その1週間後、愛車に乗って町の図書館へ。
最初は恐る恐る漕ぎ出したものの、家からの下り坂を風を切って回転していく愛車。
タイヤはすこぶる快調で次第に興奮していく私。
図書館へはいつもより早く到着しました。
どうやらチューブ交換は成功のようです。

借りていた本を返した後、久々に図書館の裏山を散歩してみました。
裏山から望むこの町は今日も平和で、ありがたい暮らしです。

何事もできることには初めてがあり、やってみることでできるようになる。
やってみないことにはできやしない。
そんな当たり前の事を改めて感じたチューブ交換&パンク修理でした。
「自分でやりましょう。あなたならできるはず」
7年前にこの言葉をくれたあの店員さんと、動画の近藤さんに感謝。
ジャイアントストアのスタッフさんは素晴らしいです。
いつかこの自転車に乗って感謝を伝えられる日が来ることを願って、今回の手記を終えたいと思います。
長文お付き合いいただきありがとうございました。

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