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二元論でなく、二項動態。境界領域で何をするか。

もう会期が終わってしまったが、先日、中之島美術館で開催されていた「開館1周年記念展 デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン」に行ってきた。
https://nakka-art.jp/exhibition-post/design-art2023/

企画の内容が素晴らしく、見ていて飽きないものであり、非常に興味深かった。主催者からの「ごあいさつ」の文章が素晴らしく、触発されたので、以下、一部を抜粋して紹介したい。

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 アートと、あるいは美術とデザインは、大阪中之島美術館の活動の両輪です。その両輪はこれまでも左右に分かれて、同じ方向に進みながらも専門的な研究をベースに、別々にくっきりとした軌道を刻んできました。しかし、この1周年を機会に、その軌道を交差させ、あらためて、「アートとは」、「デザインとは」、そしてその境界を考える展覧会を開催することといたしました。美術とは、アートとは何だろう。デザインとは何だろう。そのような問いはいつも私たちのそばにあり続けました。大阪中之島美術館は、その問いに答えを出す役割を担い、そして問い続けてまいります。しかし、その過程で、一度立ち止まって、来館者、鑑賞者である皆さまにこの問いについてお尋ねしてみたいと思いました。美術館らしく、アンケートという方法ではなく、展覧会という形で。
 この展覧会は、皆さまの展覧会です。感じたこと、思ったこと、考えたことを表現できる方法を用意しています。この展覧会で、大阪中之島美術館は、皆さまが作品を巡る小旅行の控えめなコンシェルジュでありたいと思います。アートにもデザインにも、そしてその境界にも、唯一の正解はありません。ただ、あなたの正解はあなたのなかにあると思っています。それをぜひ教えてください。
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展覧会に入ると、展示された作品毎にアートと思うか、デザインと思うかをアナログスケールでどちら寄りかを選んでいくということが出来るようになっていた。私の知っているものだと、柳宗理のバタフライスツールなどもありました。確かにあれは、アートであり、デザインだなと思う。

ここ、最近の自身のテーマとしては、この展覧会になぞらえるとしたら、それはアートなのか、デザインなのかではなく、どれぐらいアートであり、どれぐらいデザインなのだろうかと問いを持つことにある。目の前に起きている事象は、言葉で表現すると、これは正しい、これは間違っていると、二元論的に語られがちだが、実際のところはそんなに単純ではない。
私自身の仕事に関連していうと、病気(の人)と健康(の人)、治療と臨床試験、社会貢献とビジネス、科学と倫理、アナログとデジタル、現在と未来などで考えることが多い。たぶん、いずれの場合においても、どちらかに偏るのではなく、両方ともどう共存させられるのかということを常に問いとしてもつべきではないかと考える。野中郁二郎先生の言う二項動態である。この状態にあって、初めて境界領域で何をするかが考えられると思う。

振り返ってみると、自分自身も境界領域に興味があるし、境界領域が好きなのだなと思う。治験や臨床試験の世界も、まさしく境界領域の世界だ。科学の世界にビジネスが大いにからんでいる。
自分自身のキャリアの初期は、専門家として何者になれるかということを思っていた。ただ、実際にずっと企業で働いていて、かつマネジメント業務をするようになった中では、自分の専門性を磨くことが出来ないかもしれないという危機感を抱いた。ちょうどよいタイミングに大学で仕事をする機会を得ることが出来て、挑戦してみることを選んでみた。
大学の中で仕事をするようになっても、結局、境界領域の中で仕事をすることが好きなので、結果として、なにかの専門性を強く磨かれていないような気がするし、マネジメント業務をすることを進んでやっているような気がする。

ここ、最近は、ずっと対話とファシリテーションを学習している。Mimiguri社が運営するCultibase Schoolにもファシリテーション型マネジメントコースにも1期生として参加した。対話とファシリテーションにより、2つの課題をつなげられるというのが、もしかしたら、自分の中にあるのかもしれない。

良い意味でも悪い意味でも、これをやれば正解というものは無くなってきてしまったと思う。
これからも、二項動態させる中で、何をしていくを常に考えながら、日々、学び続け、取り組み続けていきたい。

*ようやく、noteにこのことをかけたが、また、あらためて、他のことも書いて、記録に残していきたいと思う。


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