アイスコーヒー
柔らかい、如何にも安い紙コップにロックアイスが2個、そこにヤカンに入ったアイスコーヒーをどぼどぼと注ぐ。なぜいつからヤカンに入っているのかは知らない。もしかすると紀元前から入っているのかも知れない。そんなわけはねえ。
そのフニャチンなコップを持って、溢さないように歩いてテラスに向かうといつもの面々が「おい、今日は遅えなカッパ!」「まだ生きてたかカッパ」などと声を掛けてくれる。
ベイパーを蒸しつつ背凭れに身を委ねると、早くも太陽はじりじりとおれの肌を虐め始める。ジリジリと鳴くアブラゼミの声が、おじさんがフライパンで焼かれるオノマトペのようで腹の底で少しだけ笑いの沸点を擽るのだった。