まずはお手紙
港北のコーナンで看板を取り付けるアンカーを物色しているところでスマホが鳴りました。
知らない固定電話の番号からです。
「もしもし、鎌倉鑑定の小林さんですか?」
上品なご婦人の声です。
「わたくし、品川区〇〇のAと申します」
おーお電話、ありがとうございます!
お待ちしておりました!
二日前にお手紙をお送りしていたAさんからのご連絡です。
一年ほど前から、地主Mさんの底地整理を行なっています。
その境界確定測量をお願いしている土地家屋調査士さんから、
「この金物屋さんに貸している土地は、Mさんの土地じゃないですよ」
確かに公図を見ると、金物屋さんの敷地は、お隣のA病院の土地の一部であるように見えます。
Mさんは、この金物屋さんからは、何十年も地代をいただいています。
どういうことでしょうか?
MさんがAさんの土地を自分の土地だと勘違いして地代を頂いていたのでしょうか?
それならば、この土地はAさんのものです。
一方で、公図が間違っているのならば、この敷地はMさんのものということになります。
前者の場合、Mさんには時効取得を主張するということも考えられますが、Mさんとしても地元で嫌われるようなことはしたくありません。
Mさんとご相談しました。
その場合でも時効取得は主張せず、Aさんに土地を返還する代わりに、これまで金物屋さんから受け取っていた地代の返還もしない、という落とし所を用意しておきました。
その上で、まずはAさんにお手紙をお出ししました。
「金物屋さんの敷地を所有されている認識はございますか?」
人によって、何を失礼に感じるかは違います。
でも、一度失礼だと思われると大変です。
相手の為人が全く分からない時は、最も古風な通信手段、手紙から始めます。
「いきなり電話しやがって」
と怒る方はたまにいらっしゃいますが、
「いきなり手紙送りやがって」
という方には会ったことはありません。
(もちろん、手紙では状況説明と連絡手段の確認だけで、何も要求しないのが前提です)
1週間してご連絡をいただけなければお電話します。
今回は、すぐにご連絡をいただけました。
「金物屋さんはうちの土地じゃありませんよ。もちろん、公図?を訂正していただけるのならば、協力しますよ」
良かった!
まぁ、実際のところ、ややこしい方はそんなにいらっしゃらないと感じています。