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人的関係の変化は賃料増額請求の理由になるのでしょうか?

Q.
一刻館の建物の所有権は響子さんが所有しています。土地の所有権は響子さんのお義父さんが所有しています。お義父さんは息子の嫁を可愛がっており、安い地代しか受け取っていません。
その義父さんが亡くなりました。アパートの敷地はその弟さんが相続しました。響子さんに特に何も思い入れの無い弟さんは、響子さんに対して、地代の賃料増額請求を行いました。
この地代の賃料増減額請求は賃料が「不相当」になった場合にすることができます。「不相当」の判断にあたっては、一般社会の経済事情の変動のみが勘案されるのみであり、当事者間の個別的事情は勘案されないのでしょうか?

A.
賃貸借契約当事者間の主観的・個別的事情の変動も勘案されます。
最高裁判例においては、一般社会の経済事情の変動のみならず、当事者間の主観的・個別的事情の変動も「事情の変動」として認めています。例えば、親戚、友人関係などの人間関係に基づき賃料を恩恵的に安く設定していたような場合で、賃貸物件の売買などにより当事者が変更になったような時には、事情が変わったと見ることができます。
今回の場合も、親族関係が変更になっており「事情の変動」があったといえ、賃料増額請求は認められると考えられます。

★世戸弁護士のコメントです。
借地借家法において、土地の賃料増減請求が認められるためには、「地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」といいます。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき」(借地借家法第11条第1項本文)という要件に該当する必要があります。
民事調停法は,その24条で,「宅地又は建物の貸借その他の利用関係の紛争に関する調停事件は、紛争の目的である宅地若しくは建物の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定めるその所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。」と定め,24条の2で,「借地借家法(平成3年法律第90号)第11条の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第32条の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。
2 前項の事件について調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、受訴裁判所は、その事件を調停に付さなければならない。ただし、受訴裁判所が事件を調停に付することを適当でないと認めるときは、この限りでない。」と定め,調停前置主義(訴訟の前に必ず調停で話し合いによる解決を試みなければならないとするルールのこと)を定めています。


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