大手の方が安心?
今日は、零細仲介業者だからこそのポジショントークだと思って読んでください。
不動産仲介は大手が安心、って思われる方が多いと思います。
もちろん、零細の方が安心っていう訳でもないんですけど、大手が安心っていう訳でも無いんです。
これが製造業だったり、金融業だったりすると、ある程度の資本が必要ですし、人員がいないと成り立ちません。例えば、数人の社員で自動車を自分で設計して、作って、販売する、なんてことはできません。
不動産業の中でも分譲会社なんかだと、賠償問題が生じたような場合のことがあるので体力のある大手の方が安心です。
でも、不動産仲介業って、大手であるメリットってあんまり無いんです。
不動産仲介業の場合は、一人で仲介業務の全てを行うことができます。大手と言っても、この「一人」が多くいるだけなのです。
大手になると余計なコスト(賃料、宣伝費、人件費)がかかる分、逆に大変になるんじゃないかと思います。
では、補償問題は?
きちんと調査していれば仲介で賠償責任が発生するようなことはまずありませんし、万が一発生した場合のための保証金制度が設けられています。
零細業者でも、仲介という点では大手と同じ業務を行いますし、同じサービスを提供することができるのです。
でも、大手の方がネットワークがあるんじゃないの?
確かに、大手の方が社員も多いし、専用の大きな不動産ポータルサイトを持っているので、ネットワークがあるようにも見えます。
でも、宅建業者の最大のネットワークは、全ての不動産業者に加入義務があるREINSです。
一般媒介以外の不動産物件は登録しなければならないことになっているので、売り出されている物件情報は、ほぼREINSのサイトで調べることができます。
このREINSに物件を登録することにより、全国の宅建業者が検索できるようになるのです。
逆に、大手のネットワークがあることによって、利用者には不利益になってしまう場合があるのです。実は、このネットワークは不動産会社自身のためのものなのです。
それはこんな理由です。
前提として、不動産の売買が成立すると、売主さんから物件の売却を依頼された仲介会社は売主さんから、買主さんから物件の紹介を依頼された仲介会社は買主さんから手数料を頂きます。
不動産業者としては、売主さんからも買主さんからも手数料をいただくのが理想です(両手取引と言います)
でも、零細業者の場合、自社で買主候補のお客様のストックがある訳ではありません。
売主さんに不動産売却のご依頼をいただいても、自社のお客様に紹介することはしません。というか、ストックがないので、できません。
レインズに登録して、素直に全国の宅建業者に買主さんを探してもらうことになります。
仲介手数料は売主さんからだけ頂くことになりますが、きちんとご希望価格で成約させることが最優先です。
この点、大手の場合には、自社に買主候補のお客様のストックを抱えています。自社のお客様に買っていただきたい、と思うのは当然です。
ただ、結果としての両手取引になった、というのならば問題無いのですが、これを目的としてしまうと、問題が生じます。
一つ目は、売出価格を調整してしまうこと。
売主様のことだけを考えれば、なるべく高く売ろうとするのが仲介会社の役目です。でも、両手取引を目的としてしまうと、想定する自社の買主様の予算内の売出価格に調整してしまうことになります。売却可能額の上限を狙うことさえできません。
もう一つは、他の宅建業者からの買主では成約させないようにすること。
一般媒介以外の物件はレインズに登録しなければなりません。
当然、登録された物件に、他の宅建業者からお問合せが入ります。
普通ならば、物件の詳細資料を送ることになります。
が、他の宅建業者のお客様で成約してしまうと手数料が半分になってしまいます。
そこで、「商談中」だとか、「買付入ってます」だとか言って、資料を送らない会社もあるのです。
迷惑するのは売主さんですが、このような取り扱いを受けていることはなかなかご自身では分かりません。
もちろん、大手が全部こんなことをやっている訳ではありません。ここまでやるのはほんの一部の会社です。(宅建業者の方ならば、どの会社のことかすぐに分かると思います)
もちろん、買う時も売る時も弊社を利用していただくのが一番嬉しい!
ですが、買う時には大手を利用して、売る時は大手を避ける、というのが不動産会社の賢い使い方だと思います。