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知財業界での大ピンチ:弁理士会務に携わる若手を増やそう!~企業弁理士の会務・西野先生インタビュー~

おはこんにちこんばんは、そしてはじめましての方ははじめまして。
弁理士のかねぽん、こと金子愛子(@kkak_patc)です。

今回は、ドクガク先生企画の「弁理士の日記念ブログ企画2022」への参加投稿です。「知財業界での大ピンチ」をテーマに、私も知財業界を勝手に盛り上げる一員に加われればと存じます。

★企画ページはこちら★


1.会務活動が大ピンチ!

さて、統計的なお話は他の方の投稿に任せまして(きっとどなたかがテーマにしてくださっているはず・・・)知財業界の皆様におかれましても「若手が少ない!」という実感は年々感じておられるのではないでしょうか。

ただ、最近の「知財若手の会(通称:チザワカ_ @chizaiwakate )」の活動をみても、意外と、若手の方はいらっしゃるんですよね。
むぅさん(@yupy85130177 ※チザワカ発起人の期待の若手)のお言葉を借りるなら「一体今までどこに隠れていたんだ」と。

事実、年々、若手の数は減っています。少子化ですからね、今は仕方ないです。若手の絶対数を多くするには、もう産むしかないですよ。それは国全体の問題です。かねぽん、ガンバル

しかし、それとは別に、「表に出てくる若手の数が少なくなっている」という問題もあると思います。これは、今からでも解決可能であり、かつ知財業界にいる我々が解決すべき課題であると感じています。「表」の定義も様々ですが、弁理士の一員として、今回は日本弁理士会の会務活動に話題をしぼって、お話しようと思います。

日本弁理士会https://www.jpaa.or.jp/)は、弁理士が強制的に加入する団体であり、弁理士等の業務の改善進歩を図るために様々な活動を行っています。日本弁理士会の目的には、知的財産制度の普及活動が含まれています。

日本弁理士会(地域会を含む)では、その目的を達成するために、様々な事業を実施しています。これらの事業は、弁理士の義務ではなく、弁理士の自主的な活動(会務活動)等によって支えられています。つまり、ボランティアです。

例えば、私は今、日本弁理士会の付属機関である広報センターにて、日本弁理士会のノベルティグッズの企画・作成や、日本弁理士会公式マスコットキャラクター「はっぴょん」の知名度向上等を通じた弁理士の知名度向上活動を行っています。

「はっぴょん可愛いよはっぴょん」

他にも、弁理士の研修を企画、実施する「研修所」ですとか、知財関連法に関する政策提言の作成等を行う委員会特許委員会等)、最近では2025年の大阪・関西万博への対応のために立ち上げられた「2025大阪・関西万博対応委員会」など、様々な会務活動がございます。

これらの会務活動、参加されるのはほとんどが事務所勤務の弁理士であり、企業内弁理士の割合は事務所弁理士と比べてかなり少ない状態です。感覚的には、会務において、企業内弁理士は事務所弁理士の半分以下です。やはり企業に所属していると、環境や、会務を行う「きっかけ」に欠けるのでしょう。

そして、特に若手の方において、企業内弁理士の割合が近年増加しています。昔は、「弁理士資格を取ったら企業から退職して事務所又は独立」というのが通常ルートだったようですが、近年はその傾向はあまりみられず、弁理士資格をとってもそのまま企業勤めを続けられる方が多いようです。

かくいう私も、企業知財部に在籍中に弁理士資格をとり、2016年に弁理士登録をしてから2019年まで、企業知財部にそのまま在籍していましたし、結婚に伴う転居という要因がなければ、転職することなく今でも知財部で仕事を続けていたと思います。そして、私も、企業内にいた頃は、会務活動を全くしていませんでした。したくなかったわけではなく、そもそも会務活動を行うという発想がなかったのです。

直接の因果関係は不明ですが、企業内弁理士の増加に伴い、会務活動に参加する弁理士数は減少しています。日本弁理士会の会務に参加する弁理士数が減少すると、日本弁理士会による知財普及活動等の質も低下し、益々知財業界が盛り上がらなくなるのではないか?

そうなると、弁理士に興味を示す人が減り、若手の弁理士数が減り、・・・という負のスパイラルが待っているのでは?

会務活動を行う弁理士数の減少、これは、まさに「知財業界の大ピンチ」です。

2.会務活動の魅力を伝えたい!

そこで、今回は(前置きが長くなりましたが、、)若手弁理士の方、特に、企業内等にいて、日本弁理士会の会務活動をしたことがないよという方に、会務活動の魅力を知っていただくために、弁理士界のレジェンド、西野卓嗣先生への独占インタビューを実施しました。

「表に出て活躍すれば、いつの日か、こうなれるかも!」という憧れを抱いていただいて、会務活動に携わる若手弁理士や、弁理士を目指す若者が少しでも増えればと存じます。

3.西野先生のご略歴

インタビューの紹介の前に、簡単ではございますが西野先生の経歴を紹介いたします。

西野先生は1969年(昭和44年)三洋電機株式会社に入社後、同社において技術部門を担当される傍ら、弁理士試験の勉強を開始され、特許部門に転属されました。その後、合格率3%程の時代に合格され、1982年(昭和57年)に弁理士登録をされました。

その後、1993年(平成5年)、東亞医用電子(現シスメックス株式会社)へ転職されました。訴訟等のために世界中を駆け回られ、知財本部長及び同社の役員としてご活躍なさった後、同社を退職されました。

現在は西野特許事務所の経営をなさるとともに、特許業務法人サンクレスト国際特許事務所の顧問弁理士をなさっています。

日本弁理士会の会務に関しては、企業弁理士時代より精力的に活動され、企業在籍中に常議員、研修所副所長、執行理事、副会長等を経て、現在に至ります。

これまでの弁理士業務功労により令和4年春、旭日双光章を受章されました。

受章祝賀会にて旭日双光章と並ぶ西野先生

西野先生のこれまでのご職歴につきましては、2013年の月刊パテントVol.66 No.1の特集記事《知財における人材育成》「知的財産本部長の苦悩」にユニークな切り口にて掲載されておりますので、どうぞ御覧ください。

https://system.jpaa.or.jp/patents_files_old/201301/jpaapatent201301_038-055.pdf

4.西野先生インタビュー ~企業弁理士の会務~

受章祝賀会にて花束と(右:西野先生、左:かねぽん)

ー(インタビュワー:かねぽん。以下略。)この度は、旭日双光章のご受章おめでとうございます。今日は、西野先生が今までご活躍なさった会務活動ですとか、その時々のエピソードを通じて、会務活動の魅力について教えていただきたいと思います。
 丁度、本日(インタビュー実施日:6月16日)に昨年合格組を含む90名の新人弁理士の方々の登録情報が公開されました。ぜひこの機会に、若い世代に向けて、熱いメッセージをお伝えいただければと存じます。

https://www.jpaa.or.jp/new/newregi2022-0616/

ーまずはじめに、西野先生にとっての会務活動をするきっかけについて聞かせてください

ちょっと待ってね、今思い出すから。もう大昔やからなぁ(笑)
35歳で弁理士になってから割とすぐに始めたんですよ。あのときは企業にいたんだけど、月刊パテント(※日本弁理士会が毎月発行している会誌)を見て、それに色々な委員会活動の報告が載っているから、それを見たことがきっかけだったと思う。月刊パテントと、あと同期の集まりだね。

俺の同期って、全国で70人くらいしかいない時代で、大阪だけでも十数人。ほぼ同期全員と親しくなれていたんだよね。それで「あなたはどういう委員会に入るの?」とか「じゃあ俺も何か入ろうか」とか。月刊パテントと、同期との会話がきっかけで、それじゃあ自分も何かやってみようかって思ったのが最初だね。

それと、好奇心は旺盛な方だったんで、せっかく弁理士資格取ったんだし、ぼーっとしてるって言ったら語弊があるけど、同期以外の他の弁理士たちと話をしないで過ごすのはつまらないなぁと思ったんじゃないかな。もうだいぶん昔のことだからきちんとは覚えていないけれども(笑)、感覚的には、そういうきっかけだったね。同期と月刊パテント。

今だったらね、ウェブサイトとか色々と情報が得られるけれども、当時は弁理士関係の情報を得るといえば月刊パテントと日本弁理士会から送られてくる書類くらいだったからね。

あと、会務活動をしない場合には、例えば会社にいたら、会社の弁理士は会社の人としかほとんど会わないよね。事務所の弁理士も、大きい事務所だったら違うかもしれないけれども、特に小さい事務所だったら、極端な話、同じ事務所の弁理士2~3人くらい、あとお客さんと、自分の同期くらいとしか話せないでしょ。

僕はやっぱり、社会人になって、色んな人とできるだけ話をしたいと思っていた。コネクションを持つことって、自分の利益というより、好奇心によるところが多いじゃないですか、色んな人と色んなことを話してね。もちろん、単純なお友達でもいいんだけど、それだと弁理士である必要はないんだけど、やっぱり同業の人で、大雑把な意味で知財界隈にいてて、そういう人たちと話をしたい。なにも弁理士会に貢献しようってわけではなくて、まぁそういう事を考えてもいいんだけれども、やっぱり自分自身の好奇心を満たす。色んな人と話をして。

会務活動を始める理由は、自分のためでいいと思うんだよね。その中で勉強になることもあるし、弁理士はやっぱり知的好奇心を亡くしたら俺は終わりだと思ってるから。原点は知的好奇心だね。

確かにSNS等の集まりもいいと思うけれども、それに加えて、あまり自由すぎるのではなくて、色々な委員会に入って組織立って活動すると、同業のひとがこういう事考えているなとか、また違った情報が入ってくるから、知的好奇心が刺激されると思うんだよね。

-若手におすすめの会務はありますか?

ひとつは、自分の勉強、弁理士の業務を遂行する上で、勉強になる会務かな。必ずしもそういう会務ばかりではないからね。要は実務系の委員会。それに行くか、研修所とかね、そこだと色々な講師と仲良くなれるから。どこを選ぶかは重要だね、若い人が選挙管理委員会なんて最初から選んでも、あまり学びにならないと思うし、けっこう大変だし、最初からするのはオススメしないですよ(笑)

やっぱり実務系の委員会を選んで、勉強してみることかな。だって、弁理士試験に受かったくらいで、仕事が十分にできるはずがないじゃないですか。まだまだ知らないことがいっぱいあるでしょう?だから、さらに勉強を続けないと

実務に出てくると、知らないことがたくさん出てくるでしょう?もちろん、会社や事務所の先輩に聞くっていうのもあるけれども、他の環境にいる仲間同士で話をして、そういう勉強も必要だからね。そのためには、そういう委員会を通じて弁理士の友達を持つ。そうすると、お互いに「こういうときどうしてますか?」とか、そういう相談もできるようになるんだよね。

実務系の委員会は、本会(日本弁理士会)じゃなくても、地域会※もあるし、地区会※もある。何かいっぺん、実務系の委員会に入ってみて、会務を経験してみるのが良いんじゃないかな。

地域会=日本弁理士会の地域組織。日本弁理士会の本体(通称:本会)と比べ、より地域に密着した活動を行います。北海道会、東北会、関東会、北陸会、東海会、関西会、中国会、四国会、九州会があります。
地区会=地域会をさらに都道府県単位等で分けた地区組織。関西会の場合、滋賀地区会、京都地区会、兵庫地区会、奈良地区会、和歌山地区会があります。

-ありがとうございます。私も弁理士として自分の色を出せるように、会務活動を通じて勉強を続けていきたいと思います。
-ところで、西野先生は、会務活動を始めてから今まで、ほとんど途切れなく会務活動を続けていらっしゃいますよね。会務活動を継続できている理由はあるのでしょうか?

それはいろんな知らない人たちと仲良くなって、自分のネットワークが広がるということ自体が、楽しかったからかな。弁理士同士だから、別の業界の人よりも、お互いに悩みが分かるじゃないですか。

それと、ある種の惰性がついてくるのね。会務をしているとね、次年度に何もしないとなると寂しいやない。だから、僕の場合はそれで、辞めちゃったら寂しいから、ちょっとくらい、何か続けていきたいって思ったのがあるね。あとね、やっぱり声をかけられるんですよ、「西野さん、次は何やるんですか」って(笑)

続けられているのは、「弁理士会のために」っていう大上段なことはほとんどなくて、まぁ少しはあるけれども、それよりも、会務活動は基本、自分のためにやるものだからね。自分のためでないと、続けないよね。自分のためだね

-なるほど、自分のためということがやはり重要なのですね。それでも30年以上継続なさっているのは本当に凄いと思います。そのほとんどの期間が企業在籍中の活動かと思うのですが、お仕事と会務の両立はどのようになさっていたのでしょうか?

それはね、・・・やっぱり・・・運やな(笑)

ー運!!(笑)

その会社、っていうより、上司によるんやね。僕の場合は、あの頃は企業に弁理士なんていない時代だったけど、上司が弁理士じゃないと中々難しいところもあるね。上司が弁理士だったら比較的、会務活動をさせてくれる可能性があるんだけれども、上司がね、「なんだ会務って、仕事せぇ仕事」ってなってしまうと、中々難しいね。だから運によるところもあるね。

だけどね、それだけじゃなくて、そういう(上司に理解がない)場合でも一生懸命アピールすればいいと思うんだよね。僕が弁理士になった頃の上司は、そんなに理解のある上司じゃなくて、弁理士でもないし。

でも、会社で色々と問題や、分からないことが生じた場合に、「弁理士会に行って勉強してくるわ」と僕は言ったわけ。僕が会務で勉強することが、もちろん会社のためにもなるわけですよ。当然のことながら。まぁ、単にお酒を飲みに行くだけのときもあるけれども(笑)。そういうときもあるんだけれども、そういうふうアピールして、上司を口説く努力をしたね。結構苦心したよ。

はじめのうちは、会社が終わってからの時間帯に開催されている委員会に入って活動して。それだったら会社の都合とか関係ないからね。で、そのうち段々と、日中の委員会にも出るようになったね。最初のほうは、会社からのOKがなくても行けるところに入って、夕方に活動していたね。

今だったら、会社の勤務時間がフレックスタイムになっているところも多いから、昔よりももっと自由に動けるんじゃないかな。

でもやっぱり企業内弁理士が会務活動するには上司との関係も大事だね。僕がシスメックスで本部長をしていた頃は、部下に「会務活動やっていいよ」と言っていたね。もちろん仕事が優先なんだけれども、とはいえ、たかだか1ヶ月に1回くらいの会で、仕事がうまく回らへんって、そんなことありえへんでしょ。だから、そういう意味では、僕の部下はラッキーだったと思うよ(笑)

-なるほどです。会務を始める場合、上司の考えや、委員会の開催時間帯も要チェック事項ですね。

と、こんな答えで大丈夫かな?(笑)
俺も、だいぶん昔のことだから、思い出しながら答えているんで、あなたの望む答えになっているか分かんないんだけれども(笑)

ーいえいえ!十分ですよ(笑)
 私もあまり誘導せずに、西野先生のナマの声をお伝えしたいと思っていますので!(笑)

ーそれで・・・次の質問も、少し記憶を辿っていただく必要があって恐縮なのですが、これまで会務活動をなさっていて、特に印象に残っている活動やエピソードがあれば、ぜひとも教えていただきたく。

う~ん・・・もう20年近く前になるかな、それまで弁理士っていうのは、出願代理と、侵害訴訟では補佐人になれたんですよ。それが丁度、僕が研修の委員会か何かをやっているときに、付記試験(※特定侵害訴訟代理業務試験)が始まったんだね。

その制度を立ち上げるときに、弁理士が、まぁ弁護士と一緒にだけれども、一応、「訴訟の代理人になれる」っていう、そういう法改正とかの政策提言の作成に携わってね。

要するに、他の業界の反対もある中で、どうやって弁理士としての権利を獲得していくか、という活動に関わって、その後には、試験が始まった初年度の試験を受けて、付記資格も取って。

だから、付記弁理士の制度ができたときに、それに関われたというのが一番印象に残っているかな。

ー凄いですね。それこそ、弁理士の世界を変えるような活動というか、規模が大きすぎて凄いとしか・・・

もちろん、自分ひとりの力じゃなくて、色んな人の力を合わせた結果なわけだけれども、僕なんかもそのうちの一人のつもりで活動して、その制度ができて。

それで、さっきの「弁理士資格を取った後の勉強」の話に戻るんだけれども、付記も同じで、じゃあ付記を取ってすぐに訴訟ができるんかいというと、そうではないよね?

それで、研修所で、付記資格に合格した人に向けて、さらに実務修習を受けさせるようにしたわけ。そのときに僕は講師をしたんだけれども、15年くらい前から、5~6年くらい前まで講師をやっていたかな。

そのときも、やっぱり頑張って法改正をして獲得した付記っていう資格だからね、「せっかく取っても資格だけで使えなかったら駄目だろう」ってことで。使える資格にするために、付記弁理士に対して、実務を教えましたね。
俺は結構実務やってたからね、前の会社でね。

弁護士とか、訴訟をよくやっている弁理士と講師陣を組んで講義をしましたね。講師活動も会務活動の一種だと思ってるんで。だから、付記弁理士の制度関連と、その後の教育だね。やっぱり印象に残っているのは。その辺のレベルになってくると、弁理士としての使命感もあったね。

ースケールが大きい話で、ちょっと圧倒されているんですけれども・・・笑

いや、だって印象に残る活動を話せっていうんだから(笑

ー話題はガラッと変わるのですが、改めまして旭日双光章の受章おめでとうございます。受章なさった感想ですとか、受章のお知らせを受けた日の様子を伺ってもよろしいでしょうか?

まず、叙勲にあたっての閣議決定があるんよね。

ー閣議決定!

それでもって、受章が確定するんやね。確定後に、日本弁理士会の会長から電話で連絡が来ました。

素直に思うのは、会務活動って、もちろん自分のためにやってきたんだけれども、結果として、多少、弁理士会として「お前ようやってきたな」と。そういうふうに褒められたんだなと。中には、勲章取るために一生懸命頑張る人もいるんだけれども、企業で知財やっていて叙勲受けている人ってほとんど知らないんだよね。叙勲受けている人って、ずーっと事務所の人ばっかりだから。

そういう意味でも嬉しかったね。俺は企業知財が長かったから、叙勲には関係ないだろうと思っていたけど、ちゃんと評価してくれたんだなって。

素直な感想としては、意識はしなかったけれども、自分のためと思ってきてやってきた会務活動が、結果として評価されて、嬉しかった。それが本心かな。

ー若い世代、特に若手の弁理士に向けて、会務活動に関してでもよいですし、関さないことでも、何か伝えたいメッセージがあればお願いします。

まずね、企業内の弁理士って、弁理士資格の意義・意味があまり分かんないじゃないですか。弁理士には出願代理の専権があるけれども、会社の中で明細書書いたりとかそういうのって弁理士だからできるってわけじゃないでしょ。

だから、僕は、弁理士資格をできるだけ活用して、弁理士資格の意味を自分で感じたかった。僕はある意味ラッキーで、海外含めいろんな訴訟を経験して、色んな人と会って、弁理士資格ってやっぱり持っていて意味のある資格だと思ったけれども。人によっては、そういう経験に出会わない人もいるわけだから。

だから、若手の人は、弁理士資格の意味をね、自分で見つけてほしいなと。「自分にとって弁理士資格って何なんだ」と。それが見つからないと、なかなかしんどいからね。何でもいいから、「俺は弁理士だ!」ってなってほしいね。

僕らの時代は、企業内弁理士なんてめったにいないから、名刺出すのだってすごい快感だったね。他の人と違うって。「おっ」て反応もあって。今はそういうのほとんどないから、難しいけどね。それでも、「自分は弁理士だ!」っていうことで、自分の弁理士としての意義を見出してほしいなと。その内容は人それぞれだろうけれども。

若い人にはね、弁理士資格を過小評価せずに、「どうせ・・・」なんて言わずに、弁理士資格をどうやって活かしていこう!てなってほしいかな。

ーありがとうございます。私も、ちょうど今、キャリア迷子になっているところなのですけれども、私なりの弁理士の意義を見いだせるように、仕事や会務活動に精進していきたいと思います。

ーそれでは、最後になりますが、今後の、西野先生の目標ですとか、夢、チャレンジしたいことについてお聞きしてもいいでしょうか。

う~ん、難しいなぁ。
あのね、僕ももう後期高齢者になったから(笑)

普通は、僕の同級生とか、誰も仕事していないんだよね、普通は。だからこれからチャレンジというわけではなくて・・・んー・・・ぼーっと弁理士を続けるのではなくて、少しでも弁理士としてイキイキと生きていきたいね。80歳にして元気な人もいるし、そういうのを見ていると思うね。

仕事って本当にいろいろあって、講師活動もそう、まだまだ明細書だって書けるし、中間処理だってできるし、争いごとは今でもバンバン相談に乗っているし。弁理士として、あとどれだけイキイキできるか、それをどれだけ延ばせるかっていうのが、今後かな。

-今日は貴重なお時間をありがとうございます!


5.インタビューを終えて

西野先生のパワフルかつユニークな体験とメッセージに刺激され、こうして記事を編集している今も、「私だったら何をしようかな」という思いが沸々とわきあがっています。

印象に残ったのは、「弁理士は知的好奇心を亡くしたら終わり」「弁理士試験に受かったくらいで、仕事が十分にできるはずがない」そして、「自分の弁理士としての意義を見出す(※自分は弁理士だっ!と思えるようになる)」というメッセージです。

弁理士の数が増えるにつれて、一昔前よりも、弁理士としてのプライドが薄れてきているのでは、と、私も思います(昔がどうだったかを私は知らないので「昔の弁理士像」は想像の域を出ませんが)。

しかし、せっかく弁理士になったからには、堂々と弁理士でいたい。そのためには、知的好奇心に裏打ちされた勉強を継続すること、その手段のひとつとして、会務活動に携わる。このサイクルの魅力を実感しました。

未だ会務活動にチャレンジしたことがない弁理士の方も、この記事をきっかけに、会務活動への一歩を進めていただけたらと思います。

6.会務活動を始めるには?

いざ「会務活動をしたい!」となっても、具体的な始め方が分からないことには手がつけられませんよね。最後に、会務活動の始め方をご紹介いたします。こちらは一例でして、他のルートもあるかと思います。

1)気になる会務活動を見つける
インタビューにもありましたように、月刊パテントや、今では日本弁理士会のウェブサイト(例えばこちら:https://www.jpaa.or.jp/about-us/attached_institution/ )でも会務活動の紹介が載っていますので、その中から気になる活動を見つけてみましょう。

同期や同僚、知り合いの弁理士、Twitter等のSNSで繋がっている弁理士が会務を行っている場合には、その方から情報をもらってもよいでしょう。特に、「定例会議がいつ・どの時間帯に、どこで開催されているか」「どんな雰囲気か」等、月刊パテント等では得られない情報が期待できます。

2)公募に応募してみる
例年、年度が変わる数ヶ月前(令和4年の場合には1月下旬)に、日本弁理士会から「附属機関及び委員会の委員公募について」といった公募のメールが届きます。応募のためのURLが記載されていると思うので、そこからフォームに入力して応募しましょう。年度の途中で追加募集がなされる場合もあります。日本弁理士会のメールは要チェックです!

最近は会務活動をされる方が少なくなっていますので、大抵の場合、希望通りの委員会等に入ることができますが、応募多数の場合には第2希望以降となる場合があります。

会派に所属されている場合には、会派から「委員会等の所属希望」を問うメールが上記の公募メールの頃に届きます。おそらく。この場合、会派宛にご自身の希望を回答した状態で、委員会等に公募をしますと、配属の調整の都合を付けてもらいやすくなります。

特に実務系の委員会は人気が高いことが多いので、会派に入ってから公募にチャレンジしてみてもよいかと思います。

3)活動開始!
ここ数年は、本会の活動はZOOM会議が基本となっています。はじめからあまり気張らずに、まずは会議に出てみて「どんな流れで1年活動するのかな?」「どんな弁理士がいるのかな?」と雰囲気をつかむところから始めてみると良いと思います。

登録年数が若い方(登録番号が大きい方)は、会議の議事録をWord等でとるお仕事が振られます。まずは議事録をとりながら、どんなことを決めていく活動なのかを掴んでいきましょう。

7.まとめ

1)会務は自分のための勉強手段!
2)参加しやすい時間帯の、タメになりそうな会務から始めよう!
3)「僕は弁理士だ!」というプライドを持とうぜ!!
4)会務・・・しようぜ!!!!

ご覧いただき、ありがとうございました。

P.S.  受章祝賀会のお肉が旨すぎたんよ

ではでは!!

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