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乳児連れでの国際線長距離フライト体験記

乳児連れでの長距離移動は正直とても大変だ。夫の海外駐在に帯同する形でメキシコに引っ越してから、約9か月間で娘を連れてすでに5回の国際線長距離便を経験し、こんなにも辛いものか、と正直最初は驚いた。「やることなくて暇すぎて映画4本も観ちゃったよ〜。」なんて言っていた学生時代の海外旅行をもはや別世界の話に感じてしまうほど、常にバタバタ、体力も気力も消耗し、目的地に辿り着く頃には1、2キロ痩せたような気分になる。(実際にはたぶん痩せていないのがまたつらい。)

そんな、乳児連れでの長距離国際線利用について、実際に乗ってみて分かったことや感じたことを書いておきたいと思う。私は昨年8月末に初めて成田からメキシコシティへ飛行機に乗ることになり、役立つ情報を求めてネットの記事やブログを読み漁っていたのだが、なかなか同じようなシチュエーションの体験談に出会えず、当日までかなり不安を感じていた。だからこそ、私の体験談が少しでも誰かの役に立つ情報になれば、と思っている。

1. 最も便利な席はビジネス最前列窓側

エコノミーにもビジネスにも乗り、最前列にも最後列にも座った私の結論としては、ビジネスクラスの最前列窓側が1番便利だと感じた。理由は2つある。まず1つはスペースが広いこと。自分の座席内に赤ちゃんを寝かせられる平らなスペースを確保できることによって、オムツ替え、着替え、軽い運動、睡眠、何をする(させる)にも格段に楽になる。もう1つは、CAさんによるサポートが手厚いこと。エコノミーでもお願いすれば手を貸してくれるものの、ドリンクサービスや機内食の配膳、他の乗客の方への対応で忙しく、タイミング次第で頼める場合とそうでない場合があったり、かなり時間が掛かったりする。一方のビジネスでは、離陸前に担当のCAさんがサポートのニーズを確認に来てくれ、飛行中もギャレーから様子を窺い、困ったときはサッと出てきて助けてくれる。私が乗ったときは、育児経験のあるベテランの方がついて下さり、抱っこを何度も代わってくれた。最前列窓側もギャレーにいるCAさんと最もコミュニケーションが取り易い位置、という点で便利だと感じた。

2. バシネットが役立つのは寝返り前まで

機内の各コンパートメントの最前列には目の前の壁にバシネットと呼ばれるベビーベッドが付けられるようになっている。利用の条件は各航空会社によって異なるが、ANAの場合は『2歳未満かつ体重10kg以下』で、事前に電話で予約すれば利用できる。

私はこれを娘が8kg弱の時に一度利用したが、「今はもう使える月齢は過ぎているな。」という感想を持った。10kgが上限とはいうものの8kgで決してサイズも大きくない娘ですら、中に入るとほとんど余白スペースはゼロ。寝返りができないために寝かせて10分で目が覚めてしまい、それ以降は14時間のフライト中一度も利用しなかった。逆に言えば寝返り前で仰向けに寝ているだけの時期であれば、バシネットの中にも寝ていられる可能性が高く、有効に使えると感じた。

3.オムツ交換台は大泣きされる覚悟で連れていく

機内のトイレの中にはオムツ交換台が設置されていることが多い。便座の上部にある収納式の板を壁面から引き出し、その上に子供を寝かせてベルトで固定する形だ。しかし、機内のトイレは比較的狭く薄暗い空間で、慣れない赤ちゃんはかなり緊張する。うちの娘も最初は入った瞬間から顔を強張らせ、台に乗せられる前から火が付いたように泣き暴れ出したので、危なくてオムツ交換どころではなかった。初めて乗ったときは、最初のオムツ交換でつまづき、焦ったのを覚えている。それ以降は、CAさんに相談をして問題がなければ、座席にオムツ用の防水シートを敷き、その上でサッと交換するようにしている。

4.離乳食は多めに持参

2歳未満の乳児で座席の確保は不要でも、航空券の購入は必要となる。ANAの場合は航空券を購入すると、離乳食の要否も同時に確認される。私も一度、このサービスをありがたく利用させてもらうことにし、荷物を減らすために家からは少しの離乳食しか持参せずに行ったことがある。しかし、航空会社が用意できる離乳食は量は多いが種類は少ない。私が利用した時は人参とじゃがいもピュレがそれぞれ子供茶碗にかるく1杯ほど運ばれてきた。結局大さじ2杯くらいずつを食べさせたが、機内で提供される離乳食はあくまで『ちょい足し分』程度に考えた方が良いとこの時感じた。また、搭乗時刻の遅延や到着後の渋滞など、移動時間が想定より長くなることは大いにあり得るため、離乳食は荷物になっても多めに持ち歩いた方が絶対に良いと思う。

5.ストロータイプのマグは中身の噴出に注意

飛行中の高度変化によって密閉されたボトルの中の圧力も変化する。そのため、外出先での赤ちゃん用水筒としてよく利用される、ボタンで蓋を開けるとストローが飛び出すタイプのマグは、機内で不用意に蓋を開けるとその瞬間に勢いよく中の液体が噴出してくる。ストローを飛び出させる前に、蓋自体を一旦緩めて、中の空気圧を下げれば問題ないのだが、私はそのことを知った後も何度もうっかり蓋を開け、その度に自分の服や荷物をびしょ濡れにしている。毎回覚えている自信がない私のような人は、麦茶や水など噴出しても被害の少ないものにした方が良いと思う。ちなみに、離着陸時、大人は耳抜きのため唾を飲んだりするが、自分でそれが出来ない赤ちゃんにはミルクやお茶など飲み物を飲ませると耳が痛くなるリスクが下がって良い、と助産師さんから教わり、私は毎回やるようにしている。

6. 防寒着は必ず手荷物に入れる

飛行機の中は寒い。離陸後、高度を上げるにつれ、だいぶ機内の空気もヒンヤリとしてくる。大人は機内で貸し出してくれるブランケットを利用すれば問題ないが、肌の弱い赤ちゃんはブランケットでかぶれることがある。昨年、夏のメキシコから常夏のハワイに行った私は、大した防寒着も持たずに薄着のまま機内に乗り込み、離陸後とても後悔した。ブランケットを借りて娘をくるみ何とか急をしのいだが、到着後のハワイで肌がすっかり赤くかぶれてしまった。それから、手荷物がかさばろうとも必ず2種類ほどの防寒着と綿のバスタオルを持ち込むようにしている。

7. 時差調整は頑張らない

到着後にスムーズに日常に戻れるよう、連れている子供の時差調整も頑張ってしたくなるところだが、個人的には無理せずに寝られる時に寝ておくのが一番だと思う。日本からメキシコに戻ると娘も5日間くらいは昼夜逆転の生活になり、毎回辛い思いをしている。けれど長時間の移動は親だけでなく子供にとっても非常に負担が大きいので、出発前も移動中も無理やり起こしたりせずに、成り行きに任せて寝かせておくのが良いと思っている。


こうして書いてみるとかなり主観的な内容で、どなたかの役に立つとはあまり思えない仕上がりになった。けれど、この記事を書きながら、早く今の混乱が収束して『移動の辛ささえ乗り切ればどこへでも行ける世界』がまた戻ってきてほしい、と改めて強く感じた。




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