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【写真エッセイ】季節を連れてくる人々
最近身体が東京の秋を忘れかけている。
トライアスロンのような夏を走り切って、倒れ込むように辿り着く秋。火照った全身をひんやり優しく冷やしてくれる秋。
メキシコシティの気温は今ちょうど東京のそれと同じくらいなのに、過酷な夏を越えていないだけで、秋の感じ方がまったく違う。ここでは季節は自然に移り変わっていくのではなく、ぐいぐいと人々が引っ張ってくるものらしい。
目抜き通りで行われたフラワーフェスティバルなるものを覗いてみたのは、先週の終盤。
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”花”と言いつつ花以外を売る店の方が多いのが、この国らしくていい。
マリーゴールド・フェスティバルの写真を撮った一年前を懐かしく思い出しながら、ゆっくりと歩く。
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なるべくモノは増やさないように、と頭ではわかっていても、可愛いものに出会うとつい娘の顔が浮かんで手が伸びてしまう。ピンク、黄、オレンジのかぼちゃロウソクを買った。ひとつひとつ手作業で作られたというロウソクは、いびつさが味わい深くていい。幼稚園から帰ってきて見たら喜ぶだろうなあ、とホクホクする。
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ビニールハウスがトンネルのように連なった会場を抜けると、不思議とすっかり秋の気分だった。
遠い1万km以上離れたアジアの国で昔から人々が移ろいゆく季節を楽しんできたように、この国の人々も長い間、こうして思い思いに楽しみながら次の季節を連れてき続けているのかもしれない。