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『レジェンド/Legends』特殊な封入と《ニコル・ボーラス/Nicol Bolas》

2025年明けましておめでとうございます!

年末にsignedを購入し、ついに初代《Nicol Bolas》が四枚揃ったため、今回の話題はエキスパンション・『レジェンド/Legends』についてです。
なんでボーラス一枚からエキスパンション全体に話が広がるの?と思いの方もいると思いますが、その辺りは後編で。


特殊な封入とは?

タイトルにある「特殊な封入」。これは最近話題になったため、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

「アンコモンにグループが二つ存在し、一つのBOXには同一グループのアンコモンしか封入されていない」

というものです。例えば
グループ:LIST-Aに《森の知恵/Sylvan Library》
グループ:LIST-Bに《カラカス/Karakas》があります。

BOXで『レジェンド/Legends』を購入し、1PACK開封したところ、アンコモン枠からLIST-Bの《カラカス》が出てきました!この場合はLIST-Aの《森の知恵》はこのBOXからは絶対に出てこない!という感じです。

「Make No Mistake」というWoCの過去の"やらかし"をまとめたWoCのデザイナー、Mark Rosewater氏の記事があります。

こちらは杉井光氏による和訳版

#10 - Biggest Mistake - Card Mix in Packaging - Legends
Early Magic had its fair share of mistakes dealing with card mix in packaging. The biggest error though happened in Legends. All the uncommons were split into two groups, Group A and Group B. Through a mistake, all of the uncommons in a box were only from one of the two groups but not both. This meant that players could not buy a single Legends box and collect all the uncommons. Players were forced to find other players with the opposite box and trade.

Make No Mistake

やっちまった10号 -カード・パッケージング- レジェンド
初期のM:tGは、カードのパッケージングミスに対して公正な負担をしていた。しかしレジェンドで最大級のパックエラーが起きた。すべてのアンコモンがAとBの2グループに分けられてしまい、1ボックスの中のアンコモンがすべてどちらかのグループのものだけ、という事態になってしまったんだ。つまり、レジェンドを1箱買ってもアンコモンは絶対にコンプリートできないということだ。揃えるためには、もうひとつのグループの箱を買った人間を見つけてトレードしなければいけなかった。

M:tGやっちまった小咄集

封入のグループ分割は公式でも"やらかし"として捉えているようです。
出現確率が公平ではないというのは生産・商品管理上問題となりますよね。

ロスト・レジェンド

この情報の認知度が最近上がったのは「団結のドミナリア」のコレクター・ブースターに「ロスト・レジェンド」という要素があったためです。

「団結のドミナリア」初期ロットのコレクター・ブースターからは「レジェンド/Legends」のカードが約3%の確率で封入されているというものです。

《The Tabernacle at Pendrell Vale》が出る可能性あることで話題になりましたね。強力な再録禁止カード、強さに比例した金額をしたこのカードが…!?となれば夢がありますね。

この「ロスト・レジェンド」にもLIST-A/LIST-Bの概念が存在します。

それから、元の『レジェンド』のカードがすべて封入されているわけではありません。1994年当時の印刷照合の関係で、単純に何ケース開封しても引き当てられなかったカードがあるのです。それには以下が含まれています。

ロスト・レジェンド

LIST-A/LIST-Bの影響で《マナ吸収/Mana Drain》はロスト・レジェンドからは確実に出ません。当時少し話題になって気がします。

リストはどこで明記された?

このLIST-A/LIST-Bに関しては公式Webページには載っていません。また、国内の情報発信サイトでも確認できませんでした。そのため、海外のWebページで探しているとWikiサイトのFandomにてLISTに関する記述が見つかりました。

mtg.fandom.comより引用

これがどのように頒布されたのかはわかりませんが、当時のWoCも問題を把握し、カードの交換対応を行っていたようです。その際に顧客が交換可能なカードが何かを検索できるようにLIST-A/LIST-Bが明示されたようですね。『Legends』発売日が1994年6月10日、交換受付期限が1994年8月31日なので問題把握から対応までは早かったようですね。

カードリスト

二つのグループのカードリストを掲載していきます。以下の要素を編集で追加しています。

  • 日本語カード名

  • カード画像一覧(コレクターNo順)

LIST-A

《Adventurers' Guildhouse》
《アルボリア/Arboria》
《Backdraft》
《Blight》
《青の魔力貯蔵器/Blue Mana Battery》
《Brine Hag》
《Cathedral of Serra》
《繭/Cocoon》
《Deadfall》
《永遠の戦士/Eternal Warrior》
《Floral Spuzzem》
《Frost Giant》
《Great Defender》
《緑の魔力貯蔵器/Green Mana Battery》
《Hammerheim》
《Heaven's Gate》
《Hunding Gjornersen》
《象牙の守護者/Ivory Guardians》
《Kry Shield》
《土地税/Land Tax》
《Lord Magnus》
《マナ吸収/Mana Drain》
《竜公マーホルト/Marhault Elsdragon》
《山イエティ/Mountain Yeti》
《プラデッシュの漂泊民/Pradesh Gypsies》
《主の存在/Presence of the Master》
《人形遣い/Puppet Master》
《狂暴ウォンバット/Rabid Wombat》
《ラジャンの精/Radjan Spirit》
《Ramirez DePietro》
《秘宝の障壁/Relic Barrier》
《束縛された秘宝/Relic Bind》
《Sea Kings' Blessing》
《Seafarer's Quay》
《求道者/Seeker》
《シミアの夜魔/Shimian Night Stalker》
《Silhouette》
《Sir Shandlar of Eberyn》
《シヴィトリ・スカーザム/Sivitri Scarzam》
《Spectral Cloak》
《魂の絆/Spirit Link》
《Sunastian Falconer》
《森の知恵/Sylvan Library》
《タックル蛆/Takklemaggot》
《トー・ウォーキ/Tor Wauki》
《Undertow》
《地獄界の夢/Underworld Dreams》
《Unholy Citadel》
《塵の壁/Wall of Dust》
《Wall of Light》
《Wall of Putrid Flesh》
《Wall of Tombstones》
《白の魔力貯蔵器/White Mana Battery》

LIST-A-白
LIST-A-青
LIST-A-黒
LIST-A-赤
LIST-A-緑
LIST-A-マルチカラー
LIST-A-土地

LIST-B

《忌まわしき者/Abomination》
《蒼穹のドレイク/Azure Drake》
《バックファイア/Backfire》
《Barktooth Warbeard》
《ボガーダンの獣/Beasts of Bogardan》
《黒の魔力貯蔵器/Black Mana Battery》
《血の渇き/Blood Lust》
《大喰らいの巨人/Craw Giant》
《Crevasse》
《Demonic Torment》
《Dream Coat》
《Dwarven Song》
《オームズ=バイ=ゴアの邪眼/Evil Eye of Orms-by-Gore》
《堕天使/Fallen Angel》
《要塞化/Fortified Area》
《Great Wall》
《大いなる禁猟区/Greater Realm of Preservation》
《Hammerheim》
《恐怖の中の恐怖/Horror of Horrors》
《Hyperion Blacksmith》
《Ichneumon Druid》
《Infernal Medusa》
《ジャスミン・ボリアル/Jasmine Boreal》
《ジェディット・オジャネン/Jedit Ojanen》
《Jerrard of the Closed Fist》
《カラカス/Karakas》
《Kasimir the Lone Wolf》
《宿命/Kismet》
《Kobold Drill Sergeant》
《コボルドの監督官/Kobold Taskmaster》
《Lady Orca》
《Lesser Werewolf》
《Life Chisel》
《Marble Priest》
《Part Water》
《Pavel Maliki》
《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》
《始源の軟泥/Primordial Ooze》
《Quagmire》
《AErathi Berserker》
《赤の魔力貯蔵器/Red Mana Battery》
《生まれ変わり/Reincarnation》
《Reset》
《Righteous Avengers》
《Riven Turnbull》
《セゴビアの大怪魚/Segovian Leviathan》
《盾の壁/Shield Wall》
《嵐の運び手/Storm Seeker》
《Sylvan Paradise》
《The Lady of the Mountain》
《トバイアス・アンドリオン/Tobias Andrion》
《Tolaria》
《Torsten Von Ursus》
《Touch of Darkness》
《荒々しき自然/Untamed Wilds》
《Urborg》
《未来視/Visions》
《驚きの壁/Wall of Wonder》
《疾風のデルヴィッシュ/Whirling Dervish》
《変化の風/Winds of Change》

LIST-B-白
LIST-B-青
LIST-B-黒
LIST-B-赤
LIST-B-緑
LIST-B-マルチカラー
LIST-B-土地

特殊な封入と印刷過程と《Nicol Bolas》

ようやくメインの話題に入れます。とはいえここから明確な情報源がなく、推論に過ぎない部分が増えますのでご了承ください。

初代ニコル・ボーラスの裏面には特殊な規則性があるのをご存じでしょうか?知っているのは私との付き合いが長い人くらいなので説明に移ります。

それは「左下に点がある」というものです。

偶然ではありますが、私のタイムラインには初代ニコル・ボーラスを持っている人が多数いるため、過去に調査を行うことができました。

DM等でいただいたものも加えると約65%ほどに同一の点が確認できました。我が家の場合は3/4が点ありとなっています。

これとLIST-A/LIST-Bの話は関係あるの?ということですが、

  • LIST-A/LIST-Bで別れたアンコモン

  • 点の印刷がされている/されていないで別れた《Nicol Bolas》

…なんか関係ありそうじゃないですか?
例えば、こんな感じで複数に分けて印刷をしていたとか

あくまで憶測100%

黎明期の話です。把握しているスタッフもいないでしょうし、未開封BOXも現存数が少なく、検証はできないでしょう。
だとしても、今手元にあるカードからMtGが作られて間もないころのことの想像ができるというのは楽しいですよね。それを議題に同好の士と雑談するのもまた。

終わりに

2025年初Noteは初代ニコル・ボーラスの観察がきっかけとなりました。新年の抱負に相応しいスタートダッシュを切れたと感じています!

『霊気走破』を前にニコル・ボーラスに関して見直す良い機会にもなったかと思います。歴史の深いゲームと歴史の深いドラゴン、まだまだ学びは付きません!

今年もこんな感じかと思いますが、お付き合いくださる方々は本年も何卒よろしくお願いします!

John


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